6月7日公開の映画「違国日記」を鑑賞した。

この映画はヤマシタトモコの人気作品『違国日記』を実写化した作品で大嫌いな姉が事故死して残された姉の娘を引き取る事になった人見知りの作家と姉の娘の共同生活を描いたストーリーである。

誰かの親戚の子が1人になった時にどう接していくのか色々考えさせられるストーリーである。


成人になれば1人で生活していくのは何とでもなるけれど18歳未満の子が生活していくとなると簡単な事ではない。引き取り手のない子供は児童施設に預けられる事になるケースもある訳でそこでの生活はなかなか難しいものがある。

そんな中で親戚同士でも誰が引き取るのか難しい事が多くなかなか引き取り手がないケースもある。そんな中で亡くなった姉の妹が姉とは犬猿の仲だったが勢い余って引き取ると言い出した事から大嫌いだった姉の娘と一緒に生活する事になるのだが、果たして2人は一緒に生活していけるのだろうか?

キャスト&ストーリー



結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとして両親を亡くした田汲朝は親戚が誰が引き取るか話し合っていた。その中に亡くなった姉の妹である高代槙生はたらい回しになる朝を見かねて自分が引き取ると言い出した。

元々槙生は姉とは犬猿の仲であり朝が生まれてからも朝とは数回しかあった事が無いほど疎遠になっていた。槙生は作家として生活しており人見知りで人付き合いがあまり上手くない。そんな槙生が朝を引き取ると言い出したのはかつての自分に重ねた部分が強かったからでもあった。

しかし大嫌いな姉の娘という事は相当葛藤が強いのは言うまでもないけれど、嫌いな人の子供を引き取るって普通なら選択肢にないケースが殆どだ。私なんて嫌いな人と親しい人とは付き合わないほどその人の交流関係がわかれば近寄りすらしない。さすがに話す程度はしても付き合いたくないですよね。嫌いな人とは違うけれどその人ってその人の事を好きだったり愛している訳じゃないですか!それを知った上でという事は嫌いな人の思考と同じという捉え方をするので話しても付き合いませんというのが私の方針ですね。

だからこの作品ってどういう心理状況を踏まえて観るかで全然違ってくると思うんですよね。しかし姉が生きていたなら絶対に一緒に暮らす事は有り得なかったけれどその大嫌いな姉はもういないとなれば話は変わると思うんですよね。私も嫌いな人がもういないとなればそれまで嫌いな人と親しくしていた人とは何も因縁もないし悪い印象もなければ付き合ってもいいと考えるほどですから目の上のたん瘤の存在がいるといないではそれだけ変わってくるのではないかと思うんですよね。

確かに槙生にとって大嫌いな姉の娘という事はあってもその娘は姉とは全くの別人ですし、人格も違う訳です。心のどこかで割り切れればやれなくもないという事ですし、槙生が朝が嫌いという感情がないからこそ例え大嫌いな姉の娘だとしても引き取れたのだと感じます。

それでも全くの他人同然の2人なので当然合わない事も少なくありませんし、槙生も朝の思春期という事を踏まえると言葉を慎重に選ぼうとしています。それに対して朝はどうして槙生は自分と一緒に暮らそうと言ってくれたのか?とずっと思っていたけれど槙生は自分と朝は違うし考え方も合わないし解り合えないとまで言い切っている。

確かに槙生が抱えていた大嫌いな姉の事は大好きだった母の朝に理解してもらう事は確かに難し過ぎるね。大好きな人の事を大嫌いと言われて理解してくださいってこれは完全に水と油を理解する事に等しい訳で好きな事を嫌いな理由を納得できるか?と問われるとできない可能性の方が99%以上あるんじゃないかな?と思うんですよ。だから無理して解り合う事は必要ないと思います。

しかしそれ以外の事は寄り添っていく事でやっていくという努力はあって良いと思う。大好きな存在と大嫌いな存在をなしにして考えれば槙生と朝はやっていけない事はないというのが私の結論ですね。槙生にとって朝は大嫌いな姉ではないですからね。何も染まっていない朝に自分が大嫌いな姉について語る必要性はないと思うし、そういう過去があったと過去形にしてしまった方が槙生と朝は上手くやっていけると思います。

結末は劇場で観てほしいけれど、親戚の子供を引き取るにも色々な手続きの大変さもある事も描かれていきますが、それだけ他人の子供を育てる事はそれだけ大変な事でもあるという事です。いくら自分の兄弟の子供だとしてもその難しさは大きく、母親も心配するほどですから無理もありません。そしてそれまで1人で暮らしてきた槙生にとって他人と暮らす事はかなり生活の変化をしていく訳です。

かつての自分を重ねる槙生がそこにいるとも言えますが、朝にとってもこれまで殆ど接してこなかった槙生と生活するというのは大きく環境の変化になってしまいます。

それでも全く他人ではない事が救いではあるものの槙生が親代わりになる事はそれだけ大変な事でもありました。それでも槙生が苦手な事を朝がカバーする事で上手くやっていけるようになる。槙生も朝が来た事でこれまでにない事が続いたけれど2人の生活は始まったばかりでこれからだ。

総評として槙生と朝は考え方も違うし、お互いに解り合えない事もあるけれど、それでもお互いに寄り添って生きていく事はできるというところに辿り着いた。朝が高校を卒業するまでお互い寄り添いながら共に暮らしていくのだと思います。





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