2月11日公開の映画「ファーストラヴ」を観賞した。

この作品は父親を殺した娘を取材する公認心理師が殺した娘の真実に迫っていくストーリーである。

事件の真相を知る事によりこの事件がどうして起きたのかを考える事になるだろう。




事件が起きる時には色々な伏線があるものだ。その伏線に気づけるかどうかで事件の見え方が変わってくる。この事件もまた父親をどうして娘は殺さなければならなかったのかを知らなければ単なる父親殺しの事件として扱われるが、事件までの経緯を知っていく事で事件の印象は大きく変わってくる。果たして事件の真相はどういうものだったのか?

ストーリー



結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとして事件は就職活動中の女性聖山環菜が父親を殺したとして逮捕されるところから始まる。

環菜はアナウンサーを目指していたらしいが、その事で父親と意見の食い違いがあって殺したようだが、彼女の口から真実を語られない事で取材をしたくなった公認心理師の真壁由紀は環菜に興味を持って取材をする事にした。

そこで由紀が取材していくと彼女との面会で真実はそちらで探してくださいという思いがけない回答だった。つまり彼女の口から語る事はしないという黙秘の状態なので由紀もまずは彼女の事件までも経緯やそれに繋がる彼女の生い立ちを調べていく事になる。

そこで浮かび上がってきたのは環菜にはリストカット癖があったという事だった。それを母親に問い質すも何も知らないと回答され不思議に思う由紀はこの家族の事について色々疑惑を持つ事になる。

父親は美大の教授をしており、どうやら環菜が小さい時にあった出来事に影響があったようだ。そしてそれは由紀自身にも自らの過去の出来事と向き合う事になる。

由紀の父親はかつてある事に染めていた。当時そういう事に手を染めていた人がいたという事件になった事もある事なのだけれど、海外である事に手を染めてその事実を知ってトラウマになった由紀はその後この事件で共闘する庵野との出来事もフラッシュバックのように甦ってくるが、その事で今の夫と出会うという経緯があり、これもまた運命とも言える。

そんな中で環菜が父親を殺してしまうまでの過程が次第に明らかとなり由紀は真実に辿り着いた。果たして由紀が見た真実とは一体何なのだろうか?

結末は劇場で観てほしいけれど、人には思い出したくない過去というものが存在する。その過去と向き合う事ができるかどうかはその事例にもよるのだが、少なくても環菜には向き合うだけの精神力は備わっていなかったし、まだ向き合う時間が足りなかった。一方で由紀は既に20年近く時が経ており、この10年と20年の時の違いは想像以上に大きいものだ。

20年も経てしまうと人は色々な経験をしていくので違った考え方も生まれていく。しかし10年って長いようで短く10年では考え方に違いを出す事は容易ではない。それが由紀と環菜の違いと言ってしまえばそれまでだ。

そして何よりも環菜には身近に寄り添えるような人がいなかったし、いたとしても離れていった。由紀の場合は幸いに庵野と今の夫と出会えた事で向き合えるようになったが、環菜や最初から父親を殺そうという意思があった訳ではなかっただけに、やはりこれまで誰にも相談できなかったリストカットに至った経緯が事件のような悲劇に繋がったと思うと物事を避けて通る事はそれだけ悲劇を招く事があると言える。

総評として事件の経緯を知るとそこにまで至る環菜の心理状態を考慮する事ができる。もちろん殺しは行けない事だという事は100も承知だが、そこに至るまでに環菜の父親、母親がこれまでやってきた事を向き合わなかった事がこの事件の悲劇となったと言える。

人は向き合いたくない事は少なくないが、そこから向き合わずにいると事件のような悲劇になる可能性があるという事だ。人によって耐えがたい苦痛に気づいてあげられる事ができたなら環菜を救ってあげられたのかもしれないと思うと彼女もまた被害者の1人だったと言える。