10月30日公開の映画「罪の声」を観賞した。

この作品は35年前に起きた食品会社の事件をモチーフにした作品で35年前に使われた声の真相を求めて事件を追う記者と共に真相を求めていくストーリーである。

当時知らなかった事実を知った時に自分の生まれたルーツを知る事にもなっていく。

今から35年前に起きたグリコ森永事件をモチーフにした作品だけれどかい人21面相と名乗り警察を翻弄し日本史上初となる完全犯罪による未解決事件として今の語り継がれる事件である。

この事件当時色々なところでセンセーショナルに報じられたものだけれどグリコの社長を誘拐しておきながら犯人が全く捕まらないという事でどれだけ犯人が巧妙な手口だったのかというのを知る訳だけれど、今となっては多くの人が既に亡くなっており、この事件を起こした犯人もまた亡くなっている可能性は少なくない。

このストーリーではギンガ萬堂事件(ギン萬事件)として描かれる訳だが、当時使われた子供の声が自分の声だと知った男がこの事件の真相を知ろうと探っていく事になる。そしてそれを追った記者もまたこの事件を追っていくのだが、果たしてこの事件の真相とはどんなものだったのだろうか?

キャスト



ストーリー




結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとして曽根俊也は京都市内で父の後を継いでテーラーを営むごく普通の男だ。そんなある日父の遺品の中からカセットテープを見つけた事により自分の声が35年前に起きたギンガ萬堂事件(ギン萬事件)に使われた事を知る。

当時の声は既にインターネット上に流れており、当時子供だった声な為に多くの人はこの事件から30年以上経ている事もあり大人の声の本人と気づく人は殆どいない。無理もないけれど自分の声は子供の頃から大人になるにつれて変わるもので当時の声と今の声は違って当然だ。

そんな事から自分の声をどうやって使われてしまったのか幼き記憶を辿り始める。そして時を同じくして平成最後にこの事件を特集する事になった新聞記者の阿久津英士は当時の膨大な資料を辿りながら洗い直しをしていた。

当時解決できなかった事件が今になって解決するというのはさすがに無理があるというものだが、それでも特集という事で事件を追い続けていく。

当初は俊也が親戚を辿っていくが、そこで浮かび上がったのが俊也の伯父に当たる達雄という男性の存在だった。俊也にとっては小さな時の記憶しか残っておらずなかなか思い出す事ができなかったが、達雄がこの事件に関わっている可能性が次第に浮上していく。

一方で阿久津は別の角度から事件を追ったが犯人に辿り着ける証拠は全く挙がってこなかった。イギリスまで行ってもある人物に辿り着こうとすると口を閉ざされるという状況で事件に辿り着けず頓挫しそうになっていた。

そんな2人を結び付けたのがある料理屋の板前の証言からだった。これは難しい事でお互いに持っている情報が重ならなければ真実に辿り着けないという事を俊也も阿久津も初めて邂逅した時から感じ始めるのだが、この事件が1960年代に起きた学生運動からの発端であるという事が描かれる。

学生運動も昔はかなり過激であり、団塊世代の方々には様々な思いを持っているとは思うけれど、この時に活動したメンバーがこの事件に関わっているという描かれ方をしている。

日本では日本赤軍という過激派テロが存在するけれど、今の時代の人たちの多くはそういう過激派テロ集団が日本にいる事を知らない世代ばかりになったのでそういう過激な人たちがいた事がもう過去の時代のように感じるのも無理はない。

そういう事情を調べていくうちに狐目の男が達雄ではないかというところに辿り着いていくのだが、どうして達雄が犯人と目されるようになったのか?

結末は劇場で観てほしいけれど、1つ1つ状況を掴んでいく事でこれまで知らなかった事実も知っていった訳だけれど、それは俊也が知らなかった事実を知る事でもあり、取材した阿久津もまた生まれた頃の事件と向き合う事で当時を知らない人ほど視点を変えて見えるのではないかというのはある。

当時の常識と今の常識は違う訳だけれど、この事件は3つの声が存在した訳で、その声に翻弄された残る2人の数奇な運命もまたこれまで知らなかった人間模様も描かれている。当然3つの声があれば3つのストーリーが存在する訳だからその声によって狂った人生もあるし、全く知らなかったから何も知らずに育った俊也のような人生もあるという事だ。

総評として実際の事件は未解決のまま終わってしまっている訳だけれど、もし本当の事件を今の時代に全てが真実として明らかになった時にどういう経緯でこの事件を起こしたのかを誰もが知りたいところではある。

迷宮入りしてしまった事件だけれど、色々な視点から観る事でこの事件がこのような形だったのではないかという事を感じながら鑑賞すると35年前に起きた事件の背景を知る事ができるだろう。






罪の声 (講談社文庫)
塩田武士
講談社
2019-05-15






映画『罪の声』オリジナル・サウンドトラック
オリジナル・サウンドトラック
SMM itaku (music)
2020-10-28