7月3日公開の映画「MOTHER マザー」(PG12指定)を観賞した。
この映画は実際に起きた少年による祖父母殺害事件をモチーフにした作品で、その日暮らしをする生活保護を受ける母親と小さな少年がその日暮らしを続けてホストの男と出会った事によりさらに荒れた生活を送る中で次第に少年が追い込まれていくストーリーである。
どんな母親でも母親は母親だが、改めてこの少年を救えなかったのかを考える次第である。
実に4か月ぶりに劇場復帰したのがこの作品になった訳ですが、2月までは普通に劇場鑑賞していた私にとって新型コロナウイルスによる感染拡大で映画生活も日常から遠ざかる事になったのは言うまでもなく、4月から5月にかけて映画館の休業によりさらに遠ざかる事となり、それ以上に多くの新作が来年への延期並びに未定という状況になってしまった。
今現在も何作か新作が公開され始めたものの劇場の50%までしか入れる事ができない為にスクリーンを多くして上映回数を増やすしかないのが実情だ。興行収入で成り立つ映画にとっては劇場だけでなく配信という新たなる考え方をしなければならない時代になった。
その中で4か月ぶりに復帰作に選んだのが長澤まさみさん主演作品という事で、彼女の作品では今までにない汚れ役を演じている。彼女が最後まで共感する事すらできなかったというこの母親に、少年は最後まで離れる事なく事件を起こしてしまう訳だけれど、この事件をどうしてら防ぐ事ができたのだろうか?改めて振り返りたい。
キャストストーリー
結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとして生活保護を受けながら荒れた生活をする三隅秋子は息子の周平と共に当てのない暮らしを続けていた。お金が無くなると実家に借金をしている為に実家からも勘当されてしまう。
そんな困り果てた中でホストの川田遼と出会ってしまいここから更なる荒れた生活へと突き進んでしまうのだった。最初に生活保護を担当していた宇治田守は周平を面倒見るなど親身になっていたがそれを突いて遼と秋子がお金を脅し獲るというまさにやくざそのものだが、もうこの時点で生活は完全に破たんしている以上こういう手段しかお金を得る事を2人は知らなかったという事だ。
これについては同情の余地はないのだが、問題はここで登場する周平を何とかできなかったのだろうか?という事だ。ストーリーの中で何度がターニングポイントは周平にはあった訳で、この何処かで周平が決断していたらおそらく周平は事件を起こす事はなかっただろうというのは感じ取れる。
1度目は宇治田守を頼って施設に入るという事だったが、ここでは遼と秋子が宇治田を刺してしまった事で周平もそういう訳にはいかずに秋子と共に逃避行する事になった。旅先でもチャンスがなかった訳ではなかったが、ここでは周平はまだ幼くどうする事もできなかった。
2度目は周平が中学生になった頃に大きなチャンスが巡ってきた。正直なところここが周平にとって秋子と決別する最大のチャンスだったと感じる。ここで周平は高橋亜矢という生活保護を支援する人と出会った事で勉強をしたいという気持ちに芽生えている。
この時には秋子は遼との子供を産んでおり、既に生活保護だけでは子供2人をどうする事もできなくなっていた。更には仕事をする意欲もなくホームレス生活を送っていた。この頃が周平にとっても秋子にとっても最大の変われるチャンスだった事は間違いないが、ここで別れた遼が現れた事でこのチャンスが無くなってしまった。
亜矢も周平を助けようと手を差し伸べていたが、これを秋子が拒否した事により周平を助かるチャンスは無くなったしまった事が彼にとっては変われるチャンスを失った。ここでもし周平が施設へ入っていたなら周平が事件を起こす事は間違いなくなかっただろう。
3度目のラストチャンスが周平が土木作業員として働いた時だ。ここで遼が秋子を頼らなければまだ救えたかもしれないが、ここで遼が秋子を頼って連絡してきた事で救える術はなくなったと言える。それでも雇った社長が周平を救おうとした事でチャンスがなかった訳ではなかったが、この時点で周平の稼ぎが秋子を助けているという状況ではもう周平は秋子から離れるチャンスはなかったと言える。
そしてそこからついに事件を起こしてしまうのだが、この結末は劇場で観てほしいけれど、正直なところ秋子から1度でも離れるチャンスがあれば周平は救えたかもしれないと思うと母子の依存というのはそれだけ難しいと言えるし、どんな母親でもその子供にとっては母親なのだという事だ。1度でも離れた事が無ければ子供が離れる選択肢ができるのか?と問われたら相当難しい事だと思う。これは保健所が強制的に離さない限りは無理だという事だ。
そして周平は最後に1番落ち着ける刑務所で14年の刑期を過ごす事になるが、ここでも印象的なのはホームレス生活をし続けた周平にとって規則正しく生活して狭いながらも独房の部屋があり食事も取れるというのは周平にとってはホームレス生活よりもマシだという事だ。生活保護では生活する事もままならなかった周平にとって独房が安らげる場所になったのは本当にそれだけ過酷な生活をしてきたからに他ならない。
総評として周平を何処でだったら救えたのかを考える作品なのだと私は感じている。もちろん秋子を救う事も考える必要もあったとは思うけれど、秋子が更生するよりも周平が更生する事をここは重点を置くべきところであるし、秋子はこの時点で生きる気力すら失っているだけに果たして構成できるのか?と問われると非常に厳しいと感じる。
周平が刑務所から釈放された時に再び秋子を支える為に生きていくのだと感じると秋子の存在がある限り周平は自由に生きる事はできないのだと感じるのだった。
この映画は実際に起きた少年による祖父母殺害事件をモチーフにした作品で、その日暮らしをする生活保護を受ける母親と小さな少年がその日暮らしを続けてホストの男と出会った事によりさらに荒れた生活を送る中で次第に少年が追い込まれていくストーリーである。
どんな母親でも母親は母親だが、改めてこの少年を救えなかったのかを考える次第である。
実に4か月ぶりに劇場復帰したのがこの作品になった訳ですが、2月までは普通に劇場鑑賞していた私にとって新型コロナウイルスによる感染拡大で映画生活も日常から遠ざかる事になったのは言うまでもなく、4月から5月にかけて映画館の休業によりさらに遠ざかる事となり、それ以上に多くの新作が来年への延期並びに未定という状況になってしまった。
今現在も何作か新作が公開され始めたものの劇場の50%までしか入れる事ができない為にスクリーンを多くして上映回数を増やすしかないのが実情だ。興行収入で成り立つ映画にとっては劇場だけでなく配信という新たなる考え方をしなければならない時代になった。
その中で4か月ぶりに復帰作に選んだのが長澤まさみさん主演作品という事で、彼女の作品では今までにない汚れ役を演じている。彼女が最後まで共感する事すらできなかったというこの母親に、少年は最後まで離れる事なく事件を起こしてしまう訳だけれど、この事件をどうしてら防ぐ事ができたのだろうか?改めて振り返りたい。
キャストストーリー
結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとして生活保護を受けながら荒れた生活をする三隅秋子は息子の周平と共に当てのない暮らしを続けていた。お金が無くなると実家に借金をしている為に実家からも勘当されてしまう。
そんな困り果てた中でホストの川田遼と出会ってしまいここから更なる荒れた生活へと突き進んでしまうのだった。最初に生活保護を担当していた宇治田守は周平を面倒見るなど親身になっていたがそれを突いて遼と秋子がお金を脅し獲るというまさにやくざそのものだが、もうこの時点で生活は完全に破たんしている以上こういう手段しかお金を得る事を2人は知らなかったという事だ。
これについては同情の余地はないのだが、問題はここで登場する周平を何とかできなかったのだろうか?という事だ。ストーリーの中で何度がターニングポイントは周平にはあった訳で、この何処かで周平が決断していたらおそらく周平は事件を起こす事はなかっただろうというのは感じ取れる。
1度目は宇治田守を頼って施設に入るという事だったが、ここでは遼と秋子が宇治田を刺してしまった事で周平もそういう訳にはいかずに秋子と共に逃避行する事になった。旅先でもチャンスがなかった訳ではなかったが、ここでは周平はまだ幼くどうする事もできなかった。
2度目は周平が中学生になった頃に大きなチャンスが巡ってきた。正直なところここが周平にとって秋子と決別する最大のチャンスだったと感じる。ここで周平は高橋亜矢という生活保護を支援する人と出会った事で勉強をしたいという気持ちに芽生えている。
この時には秋子は遼との子供を産んでおり、既に生活保護だけでは子供2人をどうする事もできなくなっていた。更には仕事をする意欲もなくホームレス生活を送っていた。この頃が周平にとっても秋子にとっても最大の変われるチャンスだった事は間違いないが、ここで別れた遼が現れた事でこのチャンスが無くなってしまった。
亜矢も周平を助けようと手を差し伸べていたが、これを秋子が拒否した事により周平を助かるチャンスは無くなったしまった事が彼にとっては変われるチャンスを失った。ここでもし周平が施設へ入っていたなら周平が事件を起こす事は間違いなくなかっただろう。
3度目のラストチャンスが周平が土木作業員として働いた時だ。ここで遼が秋子を頼らなければまだ救えたかもしれないが、ここで遼が秋子を頼って連絡してきた事で救える術はなくなったと言える。それでも雇った社長が周平を救おうとした事でチャンスがなかった訳ではなかったが、この時点で周平の稼ぎが秋子を助けているという状況ではもう周平は秋子から離れるチャンスはなかったと言える。
そしてそこからついに事件を起こしてしまうのだが、この結末は劇場で観てほしいけれど、正直なところ秋子から1度でも離れるチャンスがあれば周平は救えたかもしれないと思うと母子の依存というのはそれだけ難しいと言えるし、どんな母親でもその子供にとっては母親なのだという事だ。1度でも離れた事が無ければ子供が離れる選択肢ができるのか?と問われたら相当難しい事だと思う。これは保健所が強制的に離さない限りは無理だという事だ。
そして周平は最後に1番落ち着ける刑務所で14年の刑期を過ごす事になるが、ここでも印象的なのはホームレス生活をし続けた周平にとって規則正しく生活して狭いながらも独房の部屋があり食事も取れるというのは周平にとってはホームレス生活よりもマシだという事だ。生活保護では生活する事もままならなかった周平にとって独房が安らげる場所になったのは本当にそれだけ過酷な生活をしてきたからに他ならない。
総評として周平を何処でだったら救えたのかを考える作品なのだと私は感じている。もちろん秋子を救う事も考える必要もあったとは思うけれど、秋子が更生するよりも周平が更生する事をここは重点を置くべきところであるし、秋子はこの時点で生きる気力すら失っているだけに果たして構成できるのか?と問われると非常に厳しいと感じる。
周平が刑務所から釈放された時に再び秋子を支える為に生きていくのだと感じると秋子の存在がある限り周平は自由に生きる事はできないのだと感じるのだった。
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