1月17日公開の映画「ラストレター」を観賞した。

この映画は岩井俊二監督の最新作品で四半世紀ぶりに再会した同級生だった姉の憧れの人との再会にあの頃に送った手紙から当時の想いを知っていくストーリーである。

四半世紀前に公開されたLove Letterを思い出しながら観る人はその時代を思い出しながら振り返る事になる作品だと感じる。



岩井俊二監督作品で思い出深いのはLove Letterになる訳だけれど、この作品から四半世紀が経つのはそれだけ時代が経たという事になるけれど、当時主演した中山美穂さんも共演した豊川悦司さんも登場するあたりやはりLove Letterを意識した作品である事が感じられる。

高校時代と現代と四半世紀が経てしまうとそれぞれ人は変わってしまっている訳であるけれど、その時の想いはどうだったのかを時を経て知るとまた違った感覚に襲われるものだ。

そんな四半世紀を経て再び再会する当時の同級生の姉を憧れた人に再会する妹は姉はどうして亡くなったのか?そしてその人は姉を題材にした小説を読む事になるその娘たちはどう思うのか?時を経て知る真実とは?

キャストストーリー


結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとして亡くなった姉遠野未咲の葬儀を直後に同窓会に姉の死を伝えるために出席する事になった岸辺野裕里はそこで亡くなった姉を思っていた乙坂鏡史郎と再会する。

同窓会では姉の未咲と間違われた裕里は姉としてスピーチする事になり、そのまま同窓会後に鏡史郎と再会してあの頃を思い出しながら再会に心が揺れていた。

裕里は高校時代に転校してきた鏡史郎が入ってきた部活で一緒に活動していた。そこで鏡史郎から姉の未咲に手紙を渡した事により裕里は未咲に手紙を渡してほしいと頼まれていたが、その手紙を書いていたのは裕里だった。

それをしばらく知らずにやり取りしていたがいずれ裕里は未咲から本当の事を伝えるようにと鏡史郎に本当の想いを伝えたが、それは叶わぬものだった。その後鏡史郎は未咲と卒業後に付き合った時期はあったらしいがその後色々あり別れたのだったが、その後鏡史郎は小説を出版してその小説が未咲との事を綴った作品だった。

しかし時は経ち未咲が亡くなった事を知るまで鏡史郎は裕里と手紙のやり取りをひょんなことからする事になり、それぞれの想いを綴っていくが、途中から未咲の娘鮎美と裕里の娘颯香がその手紙を読んだ事で2つのやり取りをしていく事になるというものだ。

未咲が亡くなった理由については劇場で知ってほしいけれど、その事実を知るまでの経緯はそれぞれ裕里が未咲としてやり取りしており、鏡史郎は裕里とわかりながらも未咲に伝える思いで手紙を送り続けていた。

そしてある日再会する事になりそこですべての理由が打ち明けられる事になるが、この時点で鏡史郎は未咲ではなく裕里である事を知っていたと述べるのだった。いくら四半世紀の時を経ても姉と妹を見間違うような事はそうそうないけれど、あまり会った事が無い人だと時が経てしまうと姉と妹の違いを見分けられない人がいても不思議ではない。

そこから未咲の娘鮎美と裕里の娘颯香と対面する事になるが果たして鏡史郎は2人に未咲の事をどう伝えるのだろうか?

結末は劇場で観てほしいけれど、自分の母親が自分と同じ年頃にどんな恋愛をしたのかを知る事になる訳だけれど、娘から見る視点と親の世代から見る視点ではかなり感覚が違ってくる訳で自分の親はそうやって青春時代を過ごしていた事を親から知るのか?それともこういう何かの手紙から知るのか?という事になるが、自分のルーツを時として知りたい人もいる事を踏まえると亡くなった母が娘の鮎美が知る術は今生き残った人か手紙からしか知る事ができないが、手紙から知る母親の高校時代の出来事はやはり娘にとって知りたい部分なのだと思う。

特に鮎美の母未咲は最後には悲劇的な亡くなり方をしているだけに母親は本当に幸せな時があったのか?と思ってしまうケースはあると思う。妹の裕里が鏡史郎にあなたと一緒になっていたら・・・という言葉からもその無念さは滲んでくる。

ただこれはifになってしまうので未咲が鏡史郎と一緒になっていたらどうなっていたのかは正直わからない。未咲と別れて一緒になった男があまりにもいい加減な男だった事もあるのだが、人生って時としてわからない事は多いだけに、その男と一緒にならなかったならどんな人生を送っていたのか?でもそうなった時には鮎美はこの世に存在しないという事にもなる訳で人生って数奇なものであるという事だ。

それでも自分の母親は必ずしも不幸な人生を歩んだ訳じゃないと知る事ができるのはその時を一緒に生きた人じゃないと解らない事があり、娘の鮎美と裕里の娘颯香は母親が生きてきた高校時代の事を知ってそれぞれの人生を歩んでいく事になるのだった。

総評として今の時代手紙にして書く事が少なくなったけれど、手紙に残すからこそ伝えられる想いはある。それが時を超えて伝える事でまた伝え切れなかった想いを伝えられて気持ちに整理がつく事もある。もし未咲が生きていたなら未咲はどんな返事をしたのだろうか?というのはあるけれど、それはもう誰にもわからない事であり、その想いを娘の鮎美にあなたの母親の事を愛していましたと伝える事で娘の鮎美は救われたと思う。

ラストレターに込められた思いはあの時愛した人がいた事を娘が知り、その想いを知ってもらう事ができた事で気持ちに整理を付けられたという事でもあるし、妹の裕里もまた気持ちに整理がついて前へ歩めるのだと感じました。




ラストレター (文春文庫)
岩井 俊二
文藝春秋
2019-09-03


ラストレター
岩井 俊二
文藝春秋
2018-10-25

映画「ラストレター」オリジナル・サウンドトラック
オリジナル・サウンドトラック
SMR
2020-01-15

Love Letter
中山美穂
2014-08-27

ラヴレター (角川文庫)
岩井 俊二
KADOKAWA
1998-03-20

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