12月13日公開の映画「屍人荘の殺人」を観賞した。この映画は今村昌弘原作の作品を映画化した作品である探偵女子に誘われたミステリー愛好会の2人がある騒動に巻き込まれ、そこで起きる殺人事件に遭遇してその事件探偵女子と共にを解決していくストーリーである。

殺人事件の先に見るのはあまりにも身勝手ない犯行の理由だという事に辿り着くのだった。




ミステリー同好会という2人だけしかいない同好会にひょんなことから依頼を受けた事によって殺人事件に巻き込まれていく。事件そのものは普通では有り得ない事件ではあるのでほぼそういう視点を排除して観る必要はあるものの、その事件は色々な偶然から起きた事件でもあった。

果たして事件の真相はいかに?

キャスト&ストーリー




結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとしてミステリー愛好会の葉村譲と明智恭介は何か事件があると色々な事に首を突っ込んでいた。しかしその推理は必ずしも当たっているとも言い難い内容であったり、葉村譲は明智恭介の助手という役割で事件に向き合っていた。

そんなある日自称「探偵少女」剣崎比留子がある別荘の合宿に事件が起きそうと参加を促してきた事から2人は事件に巻き込まれていく事になる。剣崎比留子が一体何者なのか?と言われると最後まで明らかになる事はないのだが、少なくてもかなりの推理力ある探偵である事は確かだ。

合宿は紫湛荘という場所で行われ、そこで昨年行方不明になった女子学生がいるという事だった。その紫湛荘の初日に葉村譲と明智恭介は即事件に巻き込まれる事になる。その近くで行われたロックフェスで何者かがウイルスをばらまきゾンビ化する事件が起きた。

ゾンビになった者は致命傷を与えない限り死ぬ事はなく、参加したメンバーたちは紫湛荘に立てこもるしかなくなった。しかしそこで明智恭介は葉村譲にある言葉を残してゾンビの中に消えるという事態に葉村譲は剣崎比留子と共に紫湛荘で起きる事件と向き合っていく事になった。

この時点で殺人事件は事実上発生してしまっているんだけれど、事件を追っていく上でゾンビの存在はかなり大きなウエートを占めてしまっているだけに見る側としてはゾンビパニックという状況だ。

そんな中でこの事件は合宿主催者らによる卑劣な事件である事を葉村譲と剣崎比留子は突き止めていくが、次から次へと犠牲者が続く中で犯人は一体誰なのか?そして犯人の本当の目的は何なのか?

結末は劇場で観てほしいけれど、この作品を振り返った時にゾンビパニックにしなければ成立しなかったのだろうか?という疑問があるのだけれど、確かにゾンビの力を借りなければこの事件を起こして発生させる事そのものが簡単ではない事は容易に想像できる。私自身原作は未読なので原作もゾンビパニックなのかは知らないけれど、不確定要素がなかったならこの事件は起こせなかったのは間違いない。

犯人が次々と殺し続けた理由に辿り着いた時には確かに犯行動機は納得したんだけれど、こういう合宿ではよくあるケースの事件と言ってしまえばそれまでだけれど、何かの合宿に参加する時には自分の身を守れるようでなければ事件の被害者になってしまうという悲しき事件でもあった。

総評としてゾンビパニックにしてしまった事で観る作品としては面白いけれど、探偵作品としては質を下げてしまった感が否めない。もう少しそういう探偵作品として考えた時に有り得ないような現象をそのまま取り込む事をせずに描いてほしかったというのがある。それでもこの作品の事件としては面白かっただけに不確定要素の中で起きた事件を解決する事もまた探偵ものとしてはスリリングな面白さを引き出しているのかもしれない。



屍人荘の殺人 (創元推理文庫)
今村 昌弘
東京創元社
2019-09-11




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