8月30日公開の映画「引っ越し大名!」を観賞した。

この映画は参勤交代が当たり前だった江戸時代に幾度なく国替えを強いられた松平直矩を支える家臣たちの引っ越しにまつわるエピソードが描かれたストーリーである。

国替えには多額の費用が掛かる事になり国替え先は必ずしも同じ石高でない事で泣く泣く家臣を残さなければならなかった現実が描かれている。




国替えをするだけで財政の多くを消費するという参勤交代を行っていた江戸時代はとにかく参勤交代により財力を割いて幕府に逆らえないようにするという目的が1つにあった。この制度により18世紀には世界で数多くの戦争が繰り返された中で唯一日本だけは戦争のない時代を送ってという事でもいかに参勤交代や国替えが大名の力を与えない効果があったのかがわかる。

そんな中でも松平直矩という大名は幾度なく国替えを強いられた大名として知られる。色々悪い事が重なったと言ってしまえばそれまでだがそんな中でも松平直矩を支えた家臣たちはもっと大変だった訳でその国替えの大変さをレビューしたい。

キャスト

片桐春之介演じる星野源
鷹村源右衛門演じる高橋一生
於蘭演じる高畑充希
仲田小兵衛演じる山内圭哉
勘定奉行演じる正名僕蔵[
北尾俊蔵演じるピエール瀧
高橋四郎演じる飯尾和樹
田中衆三郎演じる和田聰宏
和泉屋若旦那演じる岡山天音
綾瀬主水演じる松岡広大
波津演じる富田靖子
蛭田源右衛門演じる中村靖日
戸田采女演じる矢野聖人
音松演じる鳥越壮真
小野田真之演じる斉藤暁
大野の妾演じる丘みどり
柳沢吉保演じる向井理
山里一郎太演じる小澤征悦
中西監物演じる濱田岳
藤原修三演じる:西村まさ彦
本村三右衛門演じる松重豊
松平直矩演じる及川光博

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

姫路藩書庫番の片桐春之介は、いつも書庫にこもりっきりの本の虫で、人と接するのが苦手なために“かたつむり”とあだ名される、いわゆる“引きこもり侍”。ある時、藩主の松平直矩は、幕府からのお達しで国替えを言い渡される。度重なる国替えのせいで借金まみれだというのに、またもや国替え。しかも今回の行先は、豊後の日田という、これまでになかった遠方への引っ越し!さらに、同時に減俸までされるという厳しい仕打ち、まさにお国の一大事!お国最大のピンチを乗り切るには国替えを仕切る奉行にかかっているが、あいにく前任者は死去していてノウハウもない。そんな中、書物好きなら博識だろうと、“かたつむり”の春之介に白羽の矢が立ち、“引っ越し奉行”に任命されて、すべての采配を取り仕切ることになってしまう。

結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとして松平直矩は生涯数多くの国替えを強いられた大名として知られている。そんな国替えは参勤交代よりも莫大な費用が必要となり国替えさせられた事により国力が大きく低下する事は言うまでもなかった。とはいえこの時代はもう戦のない時代なので戦準備をせずに済むだけまだマシだったとは言える。

とは言っても国替えには多額の費用が関わる訳でそのやりくりは想像異様に大変だという事がこの作品では描かれている。まず家臣の総移動だけれど、当然家臣団は殿と共に移動しなければならず行先の石高が今の石高より低い場合を除いて全員が国替えするのが当たり前だった。そうなると当然引っ越しする為の道具の整備が必要となり整備する事により今まで蓄えた物を諦めなければならなかった。

そうなるとそこで売却しなければならないものすらあるわけだけれど、この仕訳作業が本当に大変な事になっていた訳で、その役割に担ったのが片桐春之介という書庫番だった。書庫番は今でいう記録を管理する人たちであり、藩で起きた記録を克明に記載する役割を担っていた訳だけれど、その国替えを担当していた者が死去した事により役割が回ってきた。

片桐春之介は見た感じ頼りない人物ではあったが、細かい事に気が利く人物であったことから白羽の矢がたったが、如何せん1度も国替えを担当した事がなくそのノウハウを知るのが前任者の娘である於蘭から色々な引っ越しに関する資料やノウハウを提供してもらった事でいよいよ引っ越しが始まるのだった。

しかしその引っ越しには様々な苦難が待ち受けている事を片桐春之介らは知らなかった。何とか順調に作業を進めていたがその先にはある者の陰謀が渦巻いていた。果たして片桐春之介は無事国替えを成し遂げる事ができるのだろうか?

結末は劇場で観てほしいけれど、これだけの多くの人たちが動く訳だからお金が掛からない方が難しい訳で、しかも引っ越しをする上で色々な制約がある訳でそれらをやらなければならないという決まりも守らないとならないなど本当に厳しい国替えを強いられた事が描かれている。さらには石高が15万石から7万石に減らされた事で家臣を泣く泣く残さなければならなかったという事もこの時代において武士から農民になるというのは本当に武士として苦渋の選択だったと言える。

それでも数多くの国替えの先にようやく再び姫路に戻ることができるのはさらに先の事であった。

総評としてこれだけ数多くの国替えを強いられた大名は殆ど力を付ける事はできなかったと言えるけれど、その中で御家存続のために奮闘した家臣たちがいた事をこの作品では良く描いている。御家お取り潰しになった大名も少なくなかった中で生き残っていった大名はそれだけしぶとくこの平和だった江戸時代を逞しく生き抜いた。どの時代も国替えという引っ越しは一大事業であるという事だ。



引っ越し大名三千里 (ハルキ文庫)
土橋章宏
角川春樹事務所
2016-05-12