6月7日公開の映画「エリカ38」を観賞した。この作品は2018年に亡くなった樹木希林さんが企画した作品で数年前に起きた60代女性による詐欺事件をモチーフに60歳を超えても38歳と偽った女性の逮捕されるまでの経緯を描いたストーリーである。

人はどのようにして60代女性から38歳と騙されたのかを考える機会としたい。




世の中色々な事に騙されてしまう事は少なくないけれど、色々な巧みなやり方で騙される事がある訳で、それがどうして38歳と偽って騙す事ができたのか?という部分にも繋がる事件ではあるけれど、生前樹木希林さんが残して行ったこの作品を通じて樹木希林さんが何を残したかったのか?

キャスト

浅田美代子演じる渡部聡子
平岳大演じる平澤育男
窪塚俊介演じる橋本弘
山崎一演じる玉木亮介
山崎静代演じる小島マリ
小籔千豊演じる工藤周平
菜演じる葉菜愛
鈴木美羽演じる渡部聡子
佐伯日菜子演じる玉木香代子
真瀬樹里演じる中井亜紀
中村有志演じる中島金治
黒田アーサー演じる池田勝
岡本富士太演じる佐々木修
小松政夫演じる田中収三郎
古谷一行演じる竹田正道
木内みどり演じる伊藤信子
樹木希林演じる渡部薫

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

渡部聡子こと自称エリカは、愛人・平澤育男の指示を受けて、支援事業説明会という名目で人を集め、架空の投資話で金をだまし取っていた。しかし、平澤の裏切りを知るや彼との連絡を絶ち、裕福な老人を丸め込んで豪邸を手に入れる。エリカは老人ホームにいる母を呼び寄せると、自分で架空の支援事業説明会を開催して金をせしめる。

結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとして実在した事件という事でこの事件そのものを1度読み返したものですけれど、62歳の女性がタイの男性に38歳と偽って逃亡生活を送っていたという話だが、多額の詐欺事件の主謀犯の1人として逮捕されるまでの経緯がこの作品として描かれているものの、どうして人はこれほどまでに騙されてしまうのだろうか?というのが樹木希林さんが生前言い残したかった事なのだと感じている。

人は色々な事を言われる事で色々な考えを巡らしていく訳だけれど、ここに登場するエリカは人の中に入り込んでいかにして自分を信用させようとするのか?という事を巧に仕掛けていく。そしてそれが積み重なっていく事で信用してしまうという流れになっていくのだが、お金を出すという事はそれだけ出したい気持ちがあるかという部分が重要なのだという事だ。

出したい気持ちがあるかないかというのは非常に重要であり、いくら言われても出す気持ちがなければ一銭も出さないが、出す気持ちになってしまうとその歯止めが無くなってしまうものだ。ここで出てくる騙された人たちの殆どがそうやってエリカを受け入れてしまった人たちであるという事だ。

やはり甘い話には罠があるという事で美味しい話には慎重にならないといけないという事と、簡単に踏み込ませてはならないという事を念頭に入れなければ騙されてしまうという事だ。特に儲かるという話は騙されやすい訳で世の中儲かりませんという現実を知っていなければならないという事だ。

そしてここで描かれるエリカもまた数奇な運命を辿ってきた人物として描かれているが環境がその後の人生を左右する事は珍しい事ではないけれど、それ以上にこの女性もまた数奇な運命を辿った被害者だったと言い残したかったのだと思う。

総評として誰もが最初から詐欺師になる人はいないが、生きるために詐欺師になってしまう人はいるという事だ。環境が全てを変えてしまう事があるし、環境が違えがそういう事はなかったのかもしれない。でも環境だけで全てが決まる訳じゃない訳でその後の人との出会いによって人は変わる事もあるという事を付け加えておきたい。誰もが最初から騙される訳じゃないし、誰もが騙されない訳でもない。騙される時にはその理由が必ずあるという事を忘れてはならない。



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