3月15日公開の映画「まく子」を観賞した。この映画は西加奈子原作の作品で小学生のぼくが子供と大人の狭間にいる事で様々な葛藤を感じるが、ある少女との出会いによって次第に成長していく姿が描かれていく。



少年から大人へ成長する過程を描いた作品だけれど、確かに子供心にあんな大人になりたくないという気持ちは少なくないと思います。私自身はあんな大人の1人になってしまうのかもしれませんが、何時の時代もそんな時代を通り過ぎていくのは誰もが同じ道を辿るという事でもあります。そんな少年のぼくにある少女が舞い降りてきます。その少女が言い放つ言葉に少年のぼくはどう感じる事になるのだろうか?

キャスト

南雲慧演じる山粼光
コズエ演じる新音
南雲明美演じる須藤理彩
南雲光一演じる草磲剛
コズエのオカアサン演じるつみきみほ
ドノ演じる村上純
慧の担任・小菅演じる橋本淳
類演じる内川蓮生
キミエ演じる根岸季衣
校長演じる小倉久寛

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

小さな温泉街に住む小学5年生の「ぼく」は、子どもと大人の狭間にいる。ぼくは、猛スピードで「大人」になっていく女子たちがおそろしかった。女の人とみれば、途端にだらしなく笑う、父ちゃんみたいにはなりたくなかった。だから、否応なしに変わっていく自分の身体に抗おうとしていた。そんな時、コズエがある日突然やってきた。コズエはとても変で、とてもきれいで、なんだって「まく」ことが大好きで、そして彼女には秘密があった…。

結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとして小さな温泉街に住む小学5年生の慧は丁度子供と大人の狭間に差し掛かろうとした。小学6年生と中学1年生が丁度不安定な年齢になってくる訳だけれど、小学5年生って大人扱いしない年齢だから確かにこの年齢だと自分の父親のような大人になりたくないという気持ちにさせるかもしれない。

そんな中で慧の前に転校生の少女コズエが現れる。身長は慧よりも高いのはこの年齢だと女性の方が成長が早いという事もあるけれど、驚いたのは慧の旅館に住み込みで住むという事だった。同じ場所に住むのだからコズエは一緒に帰ろうという事になった慧は最初こそ拒否反応を示したが、次第にコズエと一緒に帰るようになる。

そこでコズエは不思議な事を話すようになるのだが、この街以外から来た人にとって色々な風習に対して素朴な疑問を持ったりする事は珍しくない。特に小さな街になればなるほど村社会的な状況になり人間関係も上手くできないと孤立してしまうようなところでもある。

コズエはどういう訳か慧と話す時には必ずと言ってよいほど落ち葉をまく事に対して不思議に感じる慧だったが、コズエがまいた後には何かをもたらしてくれるようでもあった。そして慧とコズエは街のお祭りに参加するのだが、慧はそのお祭りでは何かを壊す行事であり、再生をテーマにしたお祭りに理解できずにいた。しかしこれこそが慧にとって大人へ成長する為のキッカケになる祭りになっていく訳だが、そのお祭りは旅館のボヤ騒ぎで途中で中断してしまい慧たちが作った神輿を壊す事ができなかった。

そこから慧は父親が不倫している相手と向き合ったり、父親と向き合ったりして行く訳だけれど、精神的に不安定な年齢だけになかなか納得できない事も少なくない。その中でコズエが素朴な疑問を慧
に向ける事で1つ1つ成長する姿が描かれていくのだが、コズエにはある秘密があった。その秘密を知った時慧は果たしてどんな奇跡を見る事となるのだろうか?

結末は劇場で観てほしいけれど、コズエの存在が慧を成長させていく訳だけれど、父親の不倫を観てしまった事であんな大人になりたくないという気持ちは観ている側でも十分理解できる事ではある。

私も女たらしではないから結婚していたら不倫はしないという気持ちでいるけれど、世の中はある事がキッカケでそういう不倫になってしまう訳でこればっかりは誰にもわからないものだ。慧も大人になった時にはこんな大人になるはずじゃなかったと感じる事になるのかもしれない。

でもこの年齢で不倫相手と向き合うというのはなかなか修羅場ではあるが、それでも互いにやり直したいという気持ちにさせるキッカケとなっている事がこのエピソードとしていい部分だ。そしてこの事がキッカケとなり慧は父親と向き合うキッカケとなっていくのだがその橋渡し役になったのがコズエだったと言える。

誰かがキッカケを与えてくれなければ慧は成長できなかったと思うし、このストーリーそのものが誰かが与えるキッカケが成長させてくれるストーリーなのだと最後でわかるのだった。

総評として慧はコズエと接するうちに色々な事を経験しそして成長していく姿は誰もが何かの経験を経て成長していくものだという事だ。この経験がコズエが去った後に待っているエピソードで慧が肝要に受け止める事ができるようになる一旦になるのだが、何事も経験していく事で成長していく訳で慧が経験した事は誰ものが色々な経験を経て大人に成長していくのだという事をコズエは残して行ったという事なのだという事を知るのだった。



まく子 (福音館文庫)
西 加奈子
福音館書店
2019-02-12

まく子 (福音館の単行本)
西加奈子
福音館書店
2016-02-25

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