2018年12月28日公開の映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」を観賞した。

この映画は筋ジストロフィーと診断された鹿野靖明さんが病院での介護ではなく自立した介護を目指しボランティアによる介護をしてもらう日々が描かれた実話のストーリーである。まだボランティアによる介護など制度が不十分だった時代に最後まで自由に生き抜いた彼の人生とはどんなものだったのだろうか?

昨年の作品のラストとなる訳ですけれど、本来ならもう少し早く公開してもらえれば昨年の年間べ水とに入れていたと思う作品だっただけに少し残念ではある。さて筋ジストロフィーという次第に体が動かせなくなる病気を患った鹿野靖明さんは実在した人物という事で1990年代が舞台となるこの作品の当時はまだ医療体制などが確立されていた訳じゃなく本当に手探りだった時代の話である。

そんな中で1人で病院ではなく自立してボランティアの協力だけで自立を可能にしたという点では本当に日本の介護の常識を大きく変えた人だと思います。そんな鹿野靖明さんの介護生活とはどんなものだったのか?レビューしていきたい。

キャスト

鹿野靖明演じる大泉洋
安堂美咲演じる高畑充希
田中久演じる三浦春馬
高村大助演じる萩原聖人
前木貴子演じる渡辺真起子
塚田心平演じる宇野祥平
泉芳恵演じる韓英恵
鹿野清演じる竜雷太
鹿野光枝演じる綾戸智恵
田中猛演じる佐藤浩市
野原博子演じる原田美枝子

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

北海道札幌市。鹿野靖明は幼い頃より難病の筋ジストロフィーを患い、34歳になる今では体で動かせるのが首と手だけ。24時間365日だれかの介助がないと生きていけない体にも関わらず、医師の反対を押し切って病院を飛び出し、市内のケア付き住宅で自ら集めた大勢のボラ(ボランティアの略称)に囲まれ、自立生活を送っている。わがままで、ずうずうしくて、ほれっぽくて、よくしゃべって…!

夜中に突然「バナナ食べたい」と言い出したりする自由すぎる男・鹿野を介助するボラは、彼と付き合いの長いベテランから、新人の大学生まで人さまざま。その一人、医大生の田中はいつも鹿野に振り回される日々。ある日たまたま鹿野宅を訪れた田中の恋人・美咲まで新人ボラに勘違いされてしまう。おまけに鹿野は美咲に一目惚れしてしまい、田中は彼の代わりに愛の告白まで頼まれる始末…!

最初は戸惑う美咲だが、鹿野やボラたちと共に時間を過ごす内に、自分に素直になること、夢を追うことの大切さを知っていく。ところが鹿野が突然倒れ、命の危機を迎えてしまう…。

以上こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話HPより


結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとして鹿野靖明さんは10歳の頃に筋ジストロフィーと診断されて以来病院で過ごす日々が続いたが、自らの意思で病院を飛ぼ出してケア付き住宅で大勢のボランティアを募って自立生活をするという当時では考えられない生活を送っていた。

言うまでもありませんが筋ジストロフィーとなって34歳の頃にはもう殆ど動かせるのは首と手だけという状況なので介護なしでは何もできない状況だった。それを24時間多くのボランティアで対応するという考えられないような事を当時やっていた訳でその理解を得るのは簡単な事ではなかった。

そんな中で鹿野靖明さんの介護に加わる事になった田中久、安堂美咲はそういう生活と体制、さらには鹿野靖明さんのわがままに翻弄されていく事になる。劇中でも描かれていましたが本当に鹿野靖明さんはわがままな事を何度も言って周りを翻弄するシーンが多いんですよね。

これは実話ですから本当にこのような事が続いたのだと思いますが、それでもこれだけ周りを翻弄しながらも鹿野靖明さんの下には数多くのポランティアが集まっていた。当然その中には中心メンバーもいる訳ですけれど、普通の仕事と生活をしていかなければならない中でボランティアとはいえ24時間鹿野靖明さんの介護に関わらなければならないというのは相当な激務だと思います。

まして鹿野靖明さんは殆ど動けない訳で少しでも目を離すと命を落とす危険すらある状況です。そして何より何かあった時に対応できる医師や看護師がいないと医療行為が生じるとボランティアでは何もできないという側面もある。それはこれから医者になろうとする人たちが関わった事でそういう人たちが経験する事でこれまでの常識に捉われない経験をした事はその後の医者となった時に大きな影響をもたらしたようですが、1度は人工呼吸器を付けなければならないほど命の危機を迎えてもなお鹿野靖明さんは生きる事を諦めなかった。

結末は劇場で見届けてほしいけれど、介護の現場として1人の人をこれだけ多くの人が介護しなければならないというのは介護の現場の問題点を改めて感じる事になる訳ですが、1人の人を介護するのにこれだけのボランティアがいなければ成り立たないという現実はこれから高齢化していく日本の最大の問題点でもある訳です。

鹿野靖明さんのような24時間要介護が必要な人は数人では成り立たないほど大変な介護になる訳で家族だけでは支え切れないというのはこの作品からも理解できる訳です。家族が介護するのは当たり前的な今の日本においてそれは多くの人を疲弊させる事に繋がるのだと思うと多くの人によって介護の現場を支えないと成り立たない現実もある訳ではありますが、やはり鹿野靖明さんのようにあれこれわがままを言う人が多いとやり手がいなくなってしまうのもわからないではないですし、お金を払えば何でもやってくれると思うようではいけないとも感じます。

ボランティアはそういう側面から率先してやろうという気持ちが必要だった訳で鹿野靖明さんもボランティアとして参加したからこそ成り立ったとも言えます。ただそれぞれに生活がある以上は低賃金で介護の現場を回す事は限界があるという認識をそろそろ意識を変えていかないといけないのではないかと感じた作品でした。

総評として鹿野靖明さんの自立した生活は今の介護の現場に活かされた事も少なくありません。これだけの難病を抱えても自立した生活ができる事を証明したという点ではその先駆者であると思います。

その点を踏まえても要介護する人を支えるというのはそれだけ人が多く必要という事も改めて感じた訳であり介護の人材不足が叫ばれて久しいですが、介護される側も介護されて当然という意識は絶対に持たない事が必要だと感じますし、これからの日本は介護する事を真剣に考えないといけないと思いますし寿命が延びるほど介護の問題も長い時間必要になるという事を警告した作品だったと思います。