2月16日公開の映画「リバーズ・エッジ」を観賞した。この映画は岡崎京子原作の作品を実写化した作品で、1990年代を舞台に若者たちがある死体を見つけた事からそれぞれが抱える問題と向き合っていくストーリーである。

10代後半に色々悩みながらもそれぞれ生きる難しさを感じながら生きている。

岡崎京子原作の作品は6年前のヘルタースケルター以来となるけれど、あの作品も本当に衝撃的な展開だったけれど、今回のリバーズ・エッジもまたかなり衝撃的な展開が繰り広げられるが、舞台は1990年代前半という事でこの時代は携帯やスマートフォンもないし、パソコンもない時代の話だけれど、舞台は荒れた定時制高校という印象もあるし、教育困難校という印象もある高校が舞台となる。1つの死体を発見した事から始まる。いじめられる青年、いじめる青年、そしてそれを助ける少女などなど色々な境遇から描かれる青春群像は何処へ向かうのだろうか?


キャスト

若草ハルナ演じる二階堂ふみ

山田一郎演じる吉沢亮

観音崎演じる上杉柊平

吉川こずえ演じるSUMIRE

ルミ演じる土居志央梨

田島カンナ演じる森川葵

他多数のキャストでストーリーが進行する。


ストーリー

若草ハルナは、彼氏の観音崎が苛める山田を
助けたことをきっかけに、夜の河原へ誘われ放置された<死体>を目にする。
「これを見ると勇気が出るんだ」と言う山田に絶句するハルナ。
さらに、宝物として死体の存在を共有しているという後輩でモデルのこずえが現れ、
3人は決して恋愛には発展しない特異な友情で結ばれていく。

ゲイであることを隠し街では売春をする山田、
そんな山田に過激な愛情を募らせるカンナ、
暴力の衝動を押さえられない観音崎、大量の食糧を口にしては吐くこずえ、
観音崎と体の関係を重ねるハルナの友人ルミ。

閉ざされた学校の淀んだ日常の中で、
それぞれが爆発寸前の何かを膨らませていた。
そうした彼らの愛憎や孤独に巻き込まれ、強くあろうとするハルナもまた、
何物にも執着が持てない空虚さを抱えていた。
そんなある日、ハルナは新しい死体を見つけたという報せを、山田から受ける…。

以上リバーズ・エッジHPより



結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとして若草ハルナは元カレの観音崎にいじめられる山田を助けた事からハルナは山田との関係が始まる。山田はハルナに女として興味がなく男しか興味がないとハルナに伝えている。今では同性愛は珍しい事じゃないけれど、この時代にはそういう事が理解され難い時代でもあり、もう1人ここで登場する吉川こずえも同性愛者である。


山田をいじめから助けたハルナはここから山田と接する事で山田とこずえが隠していた死体の秘密を知っていく訳だけれど、ここから6人の関係が動き出していく。


観音崎はいじめていた山田と接するハルナと復縁をしたがっていたがハルナはこれを拒む。ハルナは観音崎が暴力的な態度にうんざりしていたからでもあるけれど、それ以上に山田をいじめていた事が許せなかったと言える。それでも同じ学校にいる以上は会わないという事は難しい訳で学校時代はそういう事があると本当に気まずい気持ちを抱えて過ごす事になる。


この舞台になっている高校は定時制なのか、教育困難校なのか難しいところだが、規律的には崩壊している状況の中ではそれぞれの居場所は何処なのか難しい人たちが集まっているのは間違いない。ハルナ、山田、観音崎、こずえ、そしてルミ、カンナの6人が絡んでくるんだけれど、ストーリーの中心はハルナと山田であり、そこに観音崎、こずえ、ルミ、それ以外にカンナという図式ではあるけれど、カンナは元々山田が付き合っていた1学年下の少女であり、カンナが山田と付き合いたいという事で付き合いだしたけれど、元々山田は男にしか興味がない同性愛者である事をハルナに告げており、ハルナはその相談を受けていた。


ハルナはこずえとも次第に親しくなるもこずえはモデルであり、その体型を維持するために拒食症になっていた。そしてこずえの同性愛者である事もハルナは知る事でハルナは山田とこずえという同性愛者との関係に、観音崎との関係にも苦しむ事になっていく。


そんな中でハルナにある事件が起きた事で全ての日常が変わってしまう。果たしてその事件とは何なのか?


結末は劇場で観てほしいけれど、青春群像を描いたこの作品は6人の心理的な難しさを描いている訳だけれど6人をそれぞれ振り返りたい。


ハルナ

彼女は山田を観音崎からいじめられているのを助けてから山田と話すようになり、こずえとも接するようになった。彼女の場合3人の立ち位置の中で山田とこずえの同性愛、観音崎の孤独と向き合っている。彼女は登場人物の中で1番孤独と向き合っている人物ではあった。


山田

彼の場合男にしか興味がなく、それが原因なのか観音崎にいじめられるという不遇に遭う。それ以前にもいじめられた過去がありあまり人と接しない生活を送っているが、その容姿からカンナと付き合う事になるが、それが重荷になってしまう。ハルナとは恋愛関係はなく良き相談相手であった。こずえとは同性愛同士という事でわかり合える部分を持っていた。


観音崎

ハルナの元カレであり、山田をいじめていた張本人だけれど、家庭では孤独であり自分自身の居場所が見つけられない状況から山田に当たったり、色々な女性と交際を重ねていくが、ある事件をきっかけに自分自身の弱さを突きつけられてしまう事になる。


こずえ

人気モデルとして芸能活動をしているものの、体型を維持するために拒食症を患っている。そして山田同様同性愛者であり、山田と共に死体の秘密を知る人物でもあるが、ハルナと接してからはハルナに対しても自ら抱える悩みを打ち明けていく。


ルミ

ハルナとは同級生であり、観音崎と付き合っているが、家庭では姉妹の仲が悪く、観音崎と体を重ねていくが妊娠した事で観音崎に殺されそうになり、それが原因で姉にも殺されそうになり居場所を失っていく。


カンナ

山田の事を一途に好きな年下の後輩になるが、山田の事が好きな故にハルナと接しているところを見た事で嫉妬心が芽生え、行動は次第にエスカレートしていく。ハルナと山田が飼っていた猫を殺し、更にはハルナを殺そうとしたところに彼女は思わぬ行動に出るのだった。


それぞれ6人の置かれている立場を踏まえた時に生きる意味をそれぞれが探しているものの見つけられない姿がそれぞれ描かれている訳だけれど、10代から20代というのは生きる意味を見つけられるほど簡単ではない訳で特にこの6人はそれぞれの家庭に問題を抱えているからこそ生きる意味が見つけられずもがき苦しんでいるという状況にある。誰かを頼っているからこそ苦しく辛く、そして裏切られたと思ってしまうほど絶望に追い詰められてしまった姿には生きるというのは簡単な事じゃないとそれぞれの立場で描かれていた。


総評としてそれぞれが生きる意味を見つけるのはもう少し先になると思う。でも生きる意味を見つけられた時にこの時代の出来事は必ず意味があった事だとそれぞれが感じる事になるだろうし、理解されなかった時代の苦しさがあるからこそ、理解されたいという気持ちをそれぞれが理解していく事になるのだと感じる。これも人生経験という事になるのだろうけれど、誰もが自分の事を理解してほしいと思っている中で理解されない苦しさを6人の視点から描かれた。











リバーズ・エッジ
岡崎 京子
宝島社
1994-06



リバーズ・エッジ 愛蔵版
岡崎 京子
宝島社
2008-10-09