1月20日公開の映画「ミッドナイト・バス」を観賞した。この映画は東京と新潟を往復する高速バスの運転手が離婚した元妻と再会して1度バラバラになった家族の絆を再生していくストーリーである。

地元新潟を舞台にした作品は家族の絆を描き介護の難しさを考えさせられる作品として観る事となるだろう。

2018年の劇場開幕作品として選んだのは地元新潟を舞台にする作品という事で長年色々な作品を観てきているけれど、地元新潟を舞台にする作品は私自身も非常に力を入れているだけに確りレビューしていきたいところです。


家族の再生を描いたこの作品は近年多くなる離婚後の家族との接し方、そして介護について考えさせられていく訳ですけれど、誰もが直面する家族問題を通じて観ていくといずれ多くの方がこういう問題を抱えるのだと感じます。果たして1度バラバラになった家族は再生する事ができるのだろうか?


キャスト

高宮利一演じる原田泰造

加賀美雪演じる山本未來

古井志穂演じる小西真奈美

高宮彩菜演じる葵わかな

高宮怜司演じる七瀬公

植田絵里花演じる舞川みやこ

木村沙智子演じる長谷川玲奈

山辺敬三演じる長塚京三

他多数のキャストでストーリーが展開する。


ストーリー

主人公の高宮利一は、東京での過酷な仕事を辞め、
故郷の新潟で長距離深夜バスの運転士として働く中年の男。
ある夜、利一がいつもの東京発─新潟行のバスを発車させようとしたその時、滑り込むように乗車してきたのが、
十六年前に離婚した妻・美雪だった。突然の、思いがけない再会。

美雪は東京で新しい家庭を持ち、新潟に独り暮らしている病床の父親を見舞うところだった。
美雪の疲れ果てた様子が気になる利一。利一には、美雪との間に怜司と彩菜という子どもがいる。
利一が東京で定食屋を営む恋人・志穂との再婚を考えていた矢先、
長男の怜司は東京での仕事を辞めて帰ってくる。
娘の彩菜は、友人とルームシェアしながら、インターネットでマンガやグッズのウェブショップを立ち上げていたが、
実現しそうな夢と、結婚の間で揺れていた。
そして利一は、元妻の美雪が夫の浮気と身体の不調に悩み、幸せとはいえない結婚生活を送っていると知る。
利一と美雪の離婚で一度ばらばらになった家族が、今、それぞれの問題を抱えて、故郷「新潟」に集まってくる。
家族がもう一度前に進むために、どうすればいいのか──。

十六年という長い時を経て、やるせない現実と人生への不安が、 再び、利一と美雪の心を近づけていく。
利一とは違う場所で、美雪もまた、同じ分の歳月を生きていた。
だけど、どんなに惹かれ合っても、一度分かれてしまった道は、もう二度と交わらないこともわかっている。
この数ヶ月、志穂といた利一は美雪を思い、美雪といた利一は志穂を思った。
利一には恋人の志穂が、美雪には夫とまだ幼い息子がいる──。

奇跡のような再会から数ヶ月が過ぎ、小雪が舞う中を、
美雪は利一に見送られ、東京行きの深夜バスに乗る。
ひとりになった利一は、自分が今、人生のどこにいるのかと考える。
それは、暗い昼かもしれないし、夜かもしれない。
たとえ夜の中、先も見えない暗がりの中にいたとしても、利一はそんな夜をいくつも越えてきた。
だから恐れずに進めばいい。走り続けたその先にはいつだって、きれいな朝が待っているはずだ。
利一は願いをこめて、志穂の元へバスを走らせる。
もう一度、明日へと、自分自身の人生を前に進ませるために──。

以上ミッドナイト・バスHPより



結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとして高宮利一は妻と離婚してから白鳥交通の高速バスの運転手として東京と新潟をおお服する仕事をしている。そんなある日東京で長年付き合っている女性古井志穂を自分が運転する高速バスに乗せて地元新潟へ招待する事にした。利一もそろそろ再婚を考え始めていた矢先だったが、既に10年以上付き合ってきた志穂も離婚歴がありお互い慎重な距離を築きながら交際していた。


そんな地元に戻ってきた利一だったが、実家には東京で仕事を辞めて戻ってきた怜司がまさか実家にいると思わずビックリするがそれに驚いた志穂は実家には立ち寄らずそのままホテルに泊まる事にした。


利一は志穂に家族の事をこれまであまり話していなかったようで、実家を訪れて初めて知る事も少なくなかったという事でもある。確かに家族の事については普段話す人と普段話さない人がいる訳で利一は志穂に話さないまま実家に招待したようだ。


そんな利一には離婚後に長男と次女を育てながら高速バスの運転手をしていた訳だけれど、なかなか家族と接する時間が無かった事もあり家族はバラバラの状況だった。その状況で元妻である加賀美雪と自ら運転する高速バスで再会するのだがそこから美雪の父である山辺敬三の介護問題について直面する。


美雪は東京と新潟を往復する生活をしておりこの生活に疲弊して介護疲れを起こして体調を崩していたのだった。離婚していなければ東京と新潟を往復する生活をする事もなかったようだが、美雪は以前に利一の母の介護を経験しておりその経験が原因で離婚に至った事もあり、なかなか今まで相談する事なく1人で問題を抱えていた。


離婚してしまうとどうしても相手家族の介護問題は別問題と捉えてしまうものの、血の繋がった2人の子供がいる事を踏まえるとそういう訳にもいかないのも事実であり、それが新潟に住んでいるとなればそれだけ頼りたいところではあるものの、1人家を出た身としてこれまで頼れずにいた。


東京と新潟の往復だけでもかなりの負担だけれど、私もかつて自分の祖母の介護について見てきただけにそういう生活は本当に色々な大変さがあるし、地元にいても大変な訳だ。それが全く縁のない土地に暮らすとなると更に大変な訳だ。うちの場合は兄弟は全員県外だったから地元に残ったうちの両親が面倒をみてきた経験からいかに県外から往復する事が大変なのかという事だ。


そして離婚が原因で家族がバラバラになっている事も事を難しくしている訳であり、既に成人している息子、娘も物事がわかる年齢でありながらも1度バラバラになってしまった家族について向き合えずに来ていた。


そうやって再び家族と向き合い始めた利一は自身の再婚について1度諦めようとする。これも自分の家族の事を知ってしまった志穂に対する配慮だったが再婚問題というのはそれだけ色々と難しい訳で、特に子供がいる人の再婚はさらに難しくする。それを利一は配慮した訳だけれど、志穂にとってそれは望まない事だった。こういう問題は再婚しようとする相手には確り伝えないといけないのだと感じるシーンでしたね。


息子の怜司は1度東京で仕事をしていたようだけれど、ストレスが原因でアレルギーを発症した事で会社を辞めて実家に戻っているのだけれど、1人東京で暮らしていると色々なストレスを抱えている事がある。特にそういう症状が出やすい人は尚更難しい訳で人間関係に疲れてしまった事も影響している。でも実家に戻り1度家族と向き合う事で自分を取り戻していく時間となっていくんだけれど、失業している間って色々考える時間でもある。


これは失業経験をした人でなければわからない事でもあるけれど、自分は何ができるのかを見つける事は容易な事じゃない。特に失業した後は余計にそういう心境になる。私もかつて失業経験したから怜司の気持ちは理解できるし、家族を通じてやりたい事を見つめ直していく時間は重要な事だったと思います。


娘の彩菜は地元でアイドル活動をしている訳だけれど、こういう家族と向き合う事の少ない事もありそれまでこういう活動をしている事もあまり話す機会はなかったようだけれど、人気が出てきた事で家族に仕事を手伝ってもらう事を頼みに来た事で家族と向き合う時間が生まれた。


彩菜は母親にいい感情を抱いておらず、反抗するシーンが非常に多いんだけれど、年齢を重ねてもなかなか理解する事が難しいのはわかるし、年齢を重ねてわかる事もある。1度恋人と婚約するのだけれど、相手家族の気難しさを知り始めて家族の問題と向き合っていく事が彩菜にとって転機となった。違う家族と接する機会を得る事で知ったのは彩菜にとって母親の心境を知る1番の近道だったのだと思います。


そして美雪の父とも向き合う事になった利一、怜司、彩菜は最後になるであろう家族での佐渡旅行をする事になるのだった。果たして家族の絆は取り戻せるのだろうか?


結末は劇場で観てほしいけれど、家族の在り方はそれぞれだけれど、1度バラバラになった家族を取り戻す事がいかに難しいのかを痛感する作品であるし、他の家族と接する事でこれまでわからなかった母親の心境を知る機会になる事もまた年齢を重ねて知る事になっていく心境の変化なのだと思います。


怜司も彩菜も既に成人を迎えていたとはいえそういう家族と向き合う機会が家族の介護問題を通じてというのは離婚してしまったとしても2人の子供にとっては血の繋がった親族である事に変わりない訳で1度別れた妻と介護問題で再び向き合う事になるというのはこの時代では十分あり得る事ですし、向き合わなければ解決できない問題もあるのだと思います。


介護問題は1人だけでは難しい問題ですし、地元を離れて暮らしている人にとっては切実な問題でもあります。亡くなるまで面倒を見続けていく事になる問題は誰にも起こる問題ですが、この介護問題を通じて家族の絆を取り戻す事ができた家族再生のストーリーだったと思います。


総評として地元新潟を舞台にした作品でしたけれど、私が普段暮らしている街並みを観ながらこういう素晴らしい作品に出会えたことは本当に良かったですし、地元から観るこの作品は県外に暮らしている地元出身者には切実な問題として受け止める事になるのだと思います。


もちろん新潟出身じゃない人でも地元を離れて暮らす人は切実な介護問題を考える機会となりますし、離婚して家族にとって再び家族として絆を取り戻す事は年齢を重ねる事で取り戻せる可能性がある事を示した作品だと思います。家族の絆を取り戻すにはそれだけ時間が必要であり、色々な家族の形を知る事で両親の心境を理解するに至った子供たちは家族の大切さを感じながら生きていく。この機会に家族について考える機会にしてほしいと思います。





ミッドナイト・バス (文春文庫)
伊吹 有喜
文藝春秋
2016-08-04