サッカー日本代表の2018〜2022の戦いが終わった。この4年間日本代表にとって新型コロナウイルスにより大きくスケジュールが変わる事を余儀なくされた。

東京五輪が1年延期になり、W杯予選も1年延期になる難しい戦いの中でカタールW杯ではドイツ、スペイン、コスタリカという日本が最も難しいグループに入ったE組でドイツ、スペインに勝利し、決勝トーナメント1回戦でクロアチアに延長で引き分けてPK戦で敗れたものの、W杯史上3か国目となる前半ビハインドからの逆転勝利2度の快挙を達成し、今大会唯一のW杯優勝国2勝という結果を残す事ができた。

これから次の4年に向けての課題と目指すべきW杯優勝の為に必要な事を考えていきたい。
ロシアW杯終わってアジア杯で準優勝してから南米選手権に五輪代表中心に出場して厳しさと経験を経て迎えようとした東京五輪が新型コロナウイルスの世界で拡大した事によりそこから3年間本当に代表活動が制限された。

2020年についてはほぼ1年代表活動ができないまま終わったけれど、この1年間代表活動がなかった事で代表選手たちの長距離移動も制限されて帰国が難しくなったけれど、その分現地に留まるという事になりクラブ活動に専念できた。

1年遅れた事により東京五輪はU24となり、本来18人から23人出場できるレギュレーションに代わり、それによって5人交代制も6試合経験した事で多くの選手が東京五輪の試合経験を経た事が今回のW杯で活かされる事になったと感じている。

A代表と五輪代表を兼ねるのはトルシエ監督以来になったけれど、この兼任が世代交代を必要としていた代表にとって本当に大きな効果をもたらした。ロシアW杯では若手が殆どいない中でベテラン中心という代表だっただけに世代交代が必需だった。

その中で東京五輪を兼任した事でその中から8人も五輪に出場した選手をW杯でも起用するに至っていた訳でこのW杯の活躍は東京五輪の6試合があったからこその成果だったと言える。

東京五輪もグループリーグで南アフリカ、メキシコ、フランスとこれは全く優しくないグループリーグだった。特にメキシコ、フランスは強敵だったし、このグループを全勝で勝ち抜けたのはメキシコ、フランスと戦ってもやれるという自信をつける事になった。

東京五輪の主軸は久保建英、堂安律、田中碧、板倉滉、富安健洋中心だったが、冨安が故障で出場機会が限られたがここで板倉滉が大きく経験を積んだ事でドイツでの活躍に繋がっていく事になり、板倉滉がいたからこそドイツ、スペインと戦えたと言っても過言ではない。そこにオーバーエイジに吉田麻也、遠藤航、酒井宏樹が加わった事でこの時点で守備では連携は完成していた。

だからこそW杯で連携が乱れずに戦えたのは東京五輪があったからこそだ。攻撃陣も東京五輪に出場した選手たちが躍動した。今回ゴールを決めた堂安律、田中碧、前田大然は東京五輪に出場した経験が活かされた。

そこからすぐにW杯最終予選が始まったけれど、最初の3試合で2敗した時には残り試合全て勝たなければならない状況に追い込まれたけれど、ここから森保監督はシステムを変えてから流れが変わりここで田中碧が最終予選でA代表に定着し、守田と共にインサイドハーフで流れを掴んだA代表はオーストラリアとのアウェイ直接対決を制してW杯出場を決めた。ここで三笘薫もW杯出場を決める圧巻の2ゴールは印象的だった。

W杯最終予選が終わってからすぐにグループリーグの組み合わせ抽選になったけれど、あの時はスペイン、ドイツ、日本、コスタリカかニュージーランドって決まった時には過去のW杯を振り返ってもこれほどハードルの高いグループリーグはないというほど世界からみれば日本は終わったと思われてた組み合わせだった。

でも逆に日本にとってはW杯で初めて対戦する相手という事と、スペイン、ドイツでもプレーする選手たちがいるから相手を全く知らない相手ではないという事もあったし、W杯で戦えるチャンスもそう多くないだけにグループリーグから戦える事で今の日本の強さを知るにはこれ以上にない相手と割り切った。

ただ私自身最初に決まった時にこれがブラジル、フランス、アルゼンチンでなくてよかったと思った。ブラジル、アルゼンチンは個人技に優れているし何よりネイマール、メッシがいるから決定力ある選手がいるだけで驚異だ。フランスは言うまでもなくエムバペがいるから今大会でも得点王になったほど決定力があるのでこの3か国だけは絶対に避けたいと思った。

スペイン、ドイツも確かに強い事に変わりはなかったけれど、強いて言えばスペインにはメッシがいないし、ドイツもバーランドやレバンドフスキのようなストライカーがいない。バルサが滅茶苦茶強かった時はメッシがいた時であり、そこにネイマールもいた訳であの時代のバルサは手が付けられなかった。

しかし今のバルサが手が付けられないほどか?と問われると今はレバンドフスキがいるけれど、いなかった昨シーズンはELでフランクフルトに敗れて敗退しただけにボールを回すだけなら怖くないし、何より東京五輪でスペインの戦い方は選手たちが既に経験済みだった事も大きかった。

ドイツもクローゼが代表引退して以降の8年間CFというよりFWが定まって戦った印象がなかった。欧州予選では断トツで出場を決めたけれど決定的なFWがいないという問題は解決する事はなかった。大会前にFWの怪我人続出というアクシデントがあったけれど、ドイツブンデスリーガでやっている選手たちの活躍を考慮すれば十分守れる可能性があると感じたし、スペイン、ドイツも守る相手ではない事でチャンスが必ずあると考えた。

逆にコスタリカに決まった時には守ってくる相手ほど日本は苦戦するというのはアジア予選でも痛感していたのでチャンスはあるが厳しい戦いになるとは感じていた。

でもここで日本にとって幸運だったのは移籍した選手たちの活躍や所属するクラブがCL、ELに出場するクラブでレギュラーとして出場する選手が多かった事だ。前回のロシアW杯では長谷部誠、酒井宏樹をだけがELに出場していた位だったから、今大会ではCLに前田、鎌田、守田、ELで久保、堂安、冨安、南野がいた事でよりレベルの高い経験を積んでいた。

あと相手にとって最も大きい変化は森保監督が広島時代にやっていたミシャシステム改の3‐4‐2‐1をW杯本番で使った事だ。この4年間でわずか数試合しか組まなかった3‐4‐2‐1はドイツもスペインもこのシステムで戦ってくるという想定はあまりできていなかっただろうし、何より4年間で殆ど観る機会がなかった。

私は広島時代の森保監督が用いていた3‐4‐2‐1は元々は現札幌監督のミシャが構築したシステムであり私は広島時代を含めて浦和時代もこのシステムをよく見てきたから森保監督がやりたい事は理解していた。

ミシャのシステムを出場した選手で経験していたのが遠藤航だった。彼がいなかったらこのシステムを機能させる事ができなかった可能性があるほど遠藤航の存在は大きかった。遠藤航が浦和時代にはリベロで出場していたけれど、1人でもシステム理解者がいると周りの選手に伝授しやすい。森保監督も遠藤航がいたからこそ迷いなく3‐4‐2‐1に踏み切れたと感じている。

結果的にはドイツ、スペインに2試合とも前半ビハインドを負ってから逆転勝利というW杯史上でも2試合逆転勝ちは3か国目という見た事のない光景を日本は踏み入れる事ができた。

W杯でドイツ、スペインに勝つ事ができる事を証明した事は日本が次のフェーズへ進む上で必要な事だったし、これによって日本人選手の評価が急上昇したのは間違いない。いくら日本人選手が良いと言ってもW杯で勝っていなければ説得力がない。

今回のドイツ、スペインにW杯で勝ったという事はそれだけ日本代表が強くなる上で必要な事だったし、3位だったクロアチアには120分間互角に戦った事からも欧州中堅国相手なら互角に戦える事を証明したと言ってもいい。

ただ振り返れば今回は富安、板倉、伊藤洋輝と高さあるCBが台頭してきた事で高さでも十分対抗できるDFになった。次のW杯でもチェイス・アンリなど台頭してくると面白い。DMFには中井卓大がレアルマドリードにトップ昇格すれば間違いなく代表定着する。彼がモドリッチの後継者と言われるようなら日本代表にとって大きな存在になる。

2列目は日本代表にとって人材豊富なので久保建英、堂安律、三笘薫中心にそれに続く選手が台頭してきてほしい。個人的にはここに本間至恩が加わってくると三笘と同じ位勝負できる選手として代表に入れば面白くなる。

問題はCFだけれどここが現在長身のCFがいない。上田綺世も候補だがまだまだだし、前田大然は完全にスピードスターだから日本代表のアキレス腱は長身のCFになる。今回追加招集になった町野修斗がさらに成長すれば面白い存在なるが日本代表の得点源はあくまで2列目になるだろう。

そしてここで代表を離れる選手は川島、吉田、長友、谷口、柴崎は代表から引退もしくは外れる事になるだろう。次は遠藤航のチームになっていくだけにこの世代交代は避けられないところだ。

森保監督が続投するという事で次の代表のシステムについてだけれど、世界と戦う上では3‐4‐2‐1、4-2-3-1、4-1-2-3がベースになっていく。守ってくる相手が多いアジアでは4バックで、世界と戦う上では3バックも含めて戦い方のオプションを増やしていく事がより重要になる。

個人では1人でも多くビッククラブへ行ける選手が増える事が日本代表を強くしていく事になる。

そして代表の強化という点で言えば南米選手権の招待があれば参加してほしいし、欧州ネーションリーグに出場できるなら是非してほしい。そして欧州で強化試合を組んでいけるように国内で試合をするより欧州での試合を増やしてほしいと思います。

次のW杯ではさらに上を目指して強くなっていく日本代表をサポートしていきます。





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