サッカーJ2アルビレックス新潟2020シーズンが終わった。

14勝15分10敗勝ち点57得失点差0で11位で昨年より3勝少なく、4分多く、4敗少なく終わったが順位は昨年より1つ落として11位で終わった。

2020シーズンの新潟は世界で1番過酷なJ2リーグで色々な事がありながら戦い抜いたが1年を通してベースを作れたシーズンとなった事は間違いない。

この1年J1昇格への希望の開幕戦となった直後に新型コロナウイルスにより4か月の中断期間に入った事で今シーズンの全てが変わってしまった。中5,6日で戦い続けられていたならもっと違うシーズンになっていただろうと感じるけれど、それ以上に今シーズンは新型コロナウイルスによってクラブをどうやって残すのか?という事がJ1昇格よりも大きなテーマになってしまった。

是永前社長が中断期間中にこのままでは10月に資金が底をつくという話が何度かニュースになったけれど、元々新潟は2018シーズン終了後に純資産が2億を切っていたところからどうやってクラブを残すのかという事で是永体制で2年間やってきた。

もちろん未来を見据えてそしてクラブを10年後に30億以上の収入あるクラブに変えていくというビジョンが昨年のカンファレンスで示された時にはそういう未来を是永さんと共に描いていた人は少なくなかった。

ただそれも全て新型コロナウイルスによって全てはクラブを残すためにどうするべきか?という事になってしまうシーズンになろうとは誰も予想できる訳がなかった。今季の開幕時の戦力を踏まえると確り中6日でやっていけば確実に勝ち点を積み重ねられるという部分があったと感じているメンバーだった。

ただ新潟は過去4年監督交代を繰り返し続けて柳下監督退任以降計6人も変わり続けてきた事で戦うだけの戦術が全く白紙状況だった。その中で昨年吉永前監督によってある程度の道筋がついた事でアルベルト監督がベースを作っていった。

中断期間の4か月は個人的には選手に対して戦術理解度を向上させるには良かった期間だと感じている。キャンプでは常に練習試合が組まれて実戦形式の練習中心に試合の中で戦術を浸透させようとしてきただけに、本来は試合を重ねる事によって向上していく。ただ全ての選手が戦術理解度に優れている訳じゃないので練習によって戦術理解度を向上させられた事で前半戦の15試合まではそれほど悪い戦いはしていなかった。

ただ今季の6か月間で41試合を消化するという世界でもこれだけ過酷なリーグもないほどJ2リーグは過酷な戦いを強いられた。最後の33試合では5連戦が6度も続いた訳で、大宮、福岡、愛媛、甲府に至っては11連戦、最後の9連戦という過酷さだった。

3連戦程度の連戦ならまだ選手たちもやれるのだが、試合に観戦する側でも5連戦6度というのはこれ以上にない過酷な日程だったし、新型コロナウイルスによって観戦スタイルはこれまでの世界とは全く違うものだった。

私自身今シーズン無観客試合を除いてホーム20試合全て参加したけれど、これまでの人生でこれほど命の危険と隣り合わせの中でスポーツ観戦をする事は本当になかったと思えるほどだった。5000人に制限が緩和されてから試合に行き始めた訳だけれど、常にここで感染者を出したら再び無観客に逆戻りしてしまうという危機感は常にあった。

私自身メディアの取材を受けたけれど、試合を楽しむという以上にここで感染者を出してはいけないという事を強調していた。シーズン通して選手、スタッフ、観客に新潟では感染者は1人も出さずに乗り切れた。しかしシーズン通して選手に陽性者が発生し、観客にも感染者が出た事もあったが観客からはクラスターを発生させる事なく終える事ができた。

この要因は何と言っても声を出さないという事、消毒の徹底、発熱のある37.5C以上の人は入場できないという厳しい制限は想像以上に効果があるという事を私自身20試合観戦して感じた事でもある。

スタジアムでは是永さんと広い場所で話した以外は話す相手はいなかったので広い場所でマスクをして話せば問題ないと感じていたし、食事も1人で周りとの距離を確り保つか、指定席で周りに人がいない事を確認して食べていたら問題ない。今季は給水タイムが前後半2度行われたけれど、これも水分補給をする事は周りに飛沫を飛ばさないのでこれも問題はない。それでわかったのは会食せず、声も出さず(多少マスク越しに小言は良い)に観戦する事で予防は可能だという事だ。

殆どの感染原因の多くは長時間の飛沫の跳ぶおしゃべり、会食なのでプロ野球、Jリーグのガイドラインは理に適ったものだった。最初にガイドラインを読んだ時にはこれどうすればいいんだ!というほど厳しいものだったし、何より声を出さずに観戦する事がプロ野球、Jリーグにとって声によって盛り上がるスポーツにはかなり酷なものだった。しかしいざやって見ると声を出せなくても伝えられる事はある事も感じたし、色々な事が未知だったけれど、そういう事を経験したからこそ改めて伝える大切さを感じるシーズンだった。

シーズンの戦いについては怪我人、不祥事による解雇など多くの離脱者を出してしまった事で次第に戦えなくなったというのが率直な感想だ。ずっとフルメンバーで戦えたなら選手を上手く入れ替えながら戦えたと思うけれど、それでもCBのように替えの利かない選手はいた訳で、そういう選手たちは終盤になって昇格が無くなった時点でもう動ける状況ではなかった。

負傷者だけでも新太、福田、ロメロ、コンザロ、新井、小島とこれだけでも厳しいのに、そこにファビオ、マンジーと計8選手も欠いてしまった。特に攻撃では7月末にファビオが離脱した事で高さで競り合う事ができなくなるほど前線に高さある選手がいなくなった。どんなに良い選手でも体格差は補えない部分はあっただけに8月の戦いで勝ちを伸ばせなかったのはファビオの離脱が大きかった。そして終盤になればなるほど色々なポジションの選手が故障で不祥事で離脱していった。

原因はハッキリしているので原因不明はない事が救いではある。ベストメンバーで戦い勝利がないのならそれは戦術の問題か、選手の問題になるのだが、連戦により最後の8試合は選手の殆どは動けないほど疲れ切っていたし、これも昇格争いをしていたらまだプレーできるのだが、目標を失った状況ではもう限界だった。

そして攻撃もパスを出せる選手が不在となり、攻撃も高さある選手が鄭大世以外にいなくなった事で全く戦えなくなった。これは怪我人と不祥事による離脱が原因なのでメンバーが戻れば十分戦える力は持っていた。

原因がハッキリしている分攻撃は高さあるFW及び攻撃的MF、司令塔で攻守でプレーできるDMFと補強ポイントはハッキリしている。

この時点で新井がセレッソへ移籍し、森、大谷は契約満了となり、新加入に千葉、鈴木が加入した。

千葉は10年ぶりの新潟帰還となり名古屋では出番に恵まれなかったが広島では黄金期を支えたリベロとして活躍した。新潟時代にはボランチとセンターバックでプレーしたので現状マウロの去就もあるがセンターバックかボランチでの起用が濃厚だ。

鈴木は琉球時代の2019シーズンに27試合で15ゴールの結果を残してセレッソから獲得オファーを受けて移籍した実績がある。試合に出場し続ければ得点感覚に優れているのでFWとして期待している。

あとは新外国人FW及びMFが必要不可欠だ。最終ラインとサイドバックは現有戦力及び期限付きからの復帰を検討するだけの余地がある。

ここでどれだけの戦力を揃えられるかが来季の戦いによって変わってくる。

そして最後に是永さんがファビオの不祥事を報告せずに謹慎させずに試合に出場させてしまった事で社長辞任になってしまったけれど、やってはいけない事というのは100歩譲ってわかっている事ではあったのは言うまでもないけれど、これを発表してしまったらJ1昇格の希望をサポーターから奪ってしまうという葛藤があった事は容易に想像できる。

是永さんにとってはサポーターの希望を奪いたくないと悪魔のささやきによってこのような事になってしまった訳だが、これは是永さんだから起きた事ではないとだけははっきり申し上げたい。あの立場なら他の人でも同じ事を選択する人はいる事は想定できる事だからだ。これまで数多くの不祥事を観てきたけれど、選手の実力があるケースは何かと引き替えに選手を守ろうとしてしまうケースを多く見てきている。

色々な改革を行ってきただけにこの1度の失敗で全てが悪いとはしたくないが、現実は1つでも悪い事をしてしまうと全て否定されるのが日本の現実でもある。失敗をあまり許さないという風潮が強い日本ではこういう失敗はなかなか許さないという事だ。

私はスタンドの横断幕は謝罪のシーンに集中していたので観ていなかったけれど、風通しが悪いという書かれ方はハッキリ言って心外だった。風通しが悪い組織だったら私は是永さんと2年間の対話する事なんてありえない話だからだ。私もこの21年このクラブに在籍してカンファレンスを除けばクラブの方とまともに話したのは是永さんと今はレディースの社長の山本さんしかいません。

21年通じて中野さんとも田村さんともカンファレンス以外では話した事はありませんよ。というよりもスタジアムの外に出てきたところ見た事がない。だから対話するチャンスなんてないですよ。

この2年私は是永さんとクラブの事について真剣に対話してきたし、毎試合のようにホームでは話していたからこそこの2年は私にとって本当にクラブとの接点が強くなった2年だった。その中ではチーム事情も知る事ができたし、Jリーグの事情も知る事もできた。もちろん経営面についても話していたので様々な事情を聞く事ができた。それはカンファレンスで意見を述べるよりも本当に充実したものでした。

是永さんが去った事で私は現在クラブとコンタクトを取れる人はいませんので契約こそ更新しましたが来季は殆どのイベントには参加せず試合だけ観に行くという感じになりそうです。今の組織では私が直接意見を伝える事ができたとしても反映されないでしょうからね。

最後にこの1年アルビレックス新潟を残すためにやってきました。シーズンパスの返金を求めずに寄附とし、9試合分のチケットを購入して観戦し、グッズ及び支援金と21年で1番出資額の多い1年でした。

それでクラブを残せれば私自身本望だっただけに来季も厳しいですが何とか残すために契約更新をした次第ですし、私自身選手、スタッフ、アルベルト監督と共に戦いたいという気持ちがあるので来季も選手たちに給料を払う為にやっていきます。



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