12月20日公開の映画「バンクーバーの朝日」を鑑賞した。

この映画は戦前のカナダバンクーバーに実在した

野球チームバンクーバー朝日の実話のストーリーである。

戦前のカナダバンクーバーで差別に苦しみながらも野球を通じて

戦う姿は今のスモールベースボールに繋がるし、

こういう歴史は絶対に忘れてはならない。
来年で丁度野茂がMLBロサンゼルスドジャースでプレーしてから20年になるけれど、

その以前は50年前に村上正則氏がサンフランシスコジャイアンツでプレーしたのが最古だが、

カナダでは戦前から日本人だけのチームバンクーバー朝日というチームが存在した。

当時の日本人は言うまでもなくアメリカ、カナダ人と体格差がありパワーでは叶わなかったが、

走力と守備力、そして小刻みなバントで当時のリーグで優勝まで果たした

という記録が残っているという。

それを甦らせたのはイチローの活躍だと思うし、

パワーベースボールではない、

スモールベースボールの原点が戦前にあった事を知る機会になる。

今のベースボールは日本は世界3本の指に入るレベルの国となったけれど、

投手力と機動力を活かした野球を展開して2度のWBC王者に輝いた。

この実話のストーリーはWBCを制覇する前に

スモールベースボールで差別の壁を越えた先駆者たちの話だ。

戦前カナダバンクーバーで一体どんな現実があり、どんなベースボールで戦ったのか?

キャスト

レジー笠原演じる妻夫木聡

ロイ永西演じる亀梨和也

ケイ北本演じる勝地涼

トム三宅演じる上地雄輔

フランク野島演じる池松壮亮

笠原清二演じる佐藤浩市

エミー笠原(演じる高畑充希

笹谷トヨ子演じる宮崎あおい

ベティ三宅演じる貫地谷しほり

レジー笠原の母演じる石田えり

トニー宍戸演じる鶴見辰吾

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

1914〜1941年まで、カナダ・バンクーバーに実在した

日系カナダ移民の二世を中心とした野球チーム。

地元のアマチュアリーグに参戦し、

サムライ野球の原点とも言える盗塁やバント、

ヒットエンドランを駆使したスモールベースボールで

カナダ人野球チームを打ち破り、西海岸リーグのチャンピオンとなった。

白人からも熱狂的に支持されるようになった

“バンクーバー朝日”は人種間の壁を超える象徴となったが、

1941年の太平洋戦争勃発に伴い、

“敵性外国人”となった選手と街の人々は強制移住されてしまう……。

結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとして20世紀初頭日本はロシアとの戦争に勝利した勢いがあったものの、

貧しい国に変わりなかった。

そんな中でアメリカ大陸に渡り一攫千金を夢見た者たちが

海を渡りそこでアメリカ、カナダ人以上に働いていた。

そして月日は流れその地で生まれた2世たちは

そこで作られたバンクーバー朝日のチームの一員としてプレーしていた。

渡った当初は交流を目的にしていたようだけれど、

それが次第に日本人の拠り所となっていったようだ。

そしてカナダの西海岸のリーグに参加する事になり戦っていたものの、

体格の差から真っ向勝負では全く勝てなかった。

やはりどうしても飛ばすというパワーでは勝てないのは今でも同じだけれど、

そんな中でも守る、機動力という点ではアメリカ、カナダ人にはない

特性でありその特性を活かした野球を展開して行く事になる。

当時の日本人はアメリカ大陸では白人主義の時代であり、

外国人は差別的な扱いを受ける時代でもあった。

特に黒人は長きに渡りその差別に苦しんだ時代もあったし、

今でもそういう対立があったりもする。

そんな中で日本人はアメリカ、カナダ人の半分の賃金で

働いていたというのが現実だったようだ。

そんな厳しい時代に2世として生まれた人たちは

レジー笠原、ロイ永西、ケイ北本、トム三宅、フランク野島、トニー宍戸と

名前を見ればわかるように当地の名前をつけられている。

今回の撮影に際して当然野球を演じるシーンが多くなる訳であり、

その上で野球経験者を多数起用している。

上地雄輔は大きな説明は不要かもしれないが

横浜高校時代に松坂大輔とバッテリーを組んだ経験があり、

松坂の剛速球を受けていたというだけでもかなりの経験である。

亀梨和也は小学生時代にリトルリーグの世界大会に出場した経験があり、

今でも野球関係の仕事もその経験が活かされている。

それ以外にも多くの俳優が野球経験者で固めた当り本気度を伺える。

確かにこの映画をやるにはそれだけの経験者じゃないと

再現できないケースが多いだけにまずこれだけの経験者が集まった事で

より迫力あるシーンが描かれている。

そんな中で真っ向勝負ではなかなか勝てない

バンクーバー朝日はキャプテンとなったレジー笠原が

バントと盗塁から1点を取った事によって自分たちが勝つには

パワーでない部分を活かした戦いが必要だと認識し、戦い方を転換する事にした。

そしてそこから日本人特性を活かした投手力、走力、繋ぐ打線で

勝てなかったチームが勝てるチームへと変貌して行った。

野球を長年観ていると解るんだけれど、

野球はホームランバッターだけ揃えれば勝てる競技じゃない。

特に投手の部分では1人のバッターにホームランを打たれても

1点だがその後走者なしで次のバッターを迎えられるけれど、

走者を置いたまま次の打者を迎え続けると次第に追い込まれていく。

特に盗塁についてはピッチャーが1番気にするプレーであり、

盗塁でピッチャーが崩れて行くシーンは今でも多い。

WBCで日本が2度の世界一に輝いた戦いも投手力、走力、守備力を活かした戦い方だった。

その原点がここバンクーバー朝日にあったのだ。

そしてそんな中でも差別を受けていた選手たち、

日本人たちはバンクーバー朝日の戦いぶりで次第に相手チームの選手たち、

そしてアメリカ、カナダ人たちの心を掴んでいく。

パワーベースボールは確かに醍醐味だけれど大味だ。

しかしスモールベースボールは次の何をやるのかというワクワク感がある。

そんな中でもトラブルで出場停止になり窮地に追いやられた事件も起きた。

しかしそんな中でも日本人は耐え、

これまでのベースボールに心を捉えたアメリカ、カナダ人たちの抗議により

出場停止が解けて再び戦うバンクーバー朝日の選手たちには

戦争という暗い影が忍び寄っていた。

果たしてバンクーバー朝日はバンクーバーでどんな戦いぶりを見せて、

そして解散しなければならなかったのか?

結末は劇場で観てほしいけれど、困難だった時代、

そして戦争でチームが解散しなければならなくなった時代を経て

2003年にカナダ野球の殿堂入りを果たす事になるのだけれど、

私たちが生きている時代で知るのは野茂やイチローの時代であり、

それ以前の時代を知る事は資料でしか知ることはできない。

しかしこの実話の出来事を知る事ができた事は日本人にとって大きな財産であり、

悲しい戦争で1度は引き裂かれた歴史を再び呼び起こしてくれたのは

当時プレーした選手たちであり、子供、孫たちである。

もう当時プレーした選手のほとんどの方は亡くなられましたけれど、

こういう歴史を再現された事は亡くなられた選手たちにとって嬉しい事だと思いますし、

私たちもこの出来事を映画という形で知る事ができた事は大変大きな事だと思います。

今ではMLBで日本人選手が活躍する時代になりましたけれど、

当時は白人しかプレーできなかった時代において人種の壁を越えて

堂々と戦った選手たちには改めて敬意を表したいと思います。

総評として戦前に苦しい時代の中で野球を通じて

人種の壁を越えた先駆者たちの戦いぶりは長い月日を経て今に甦った。

私たちの時代は野茂、イチローの活躍を観た世代だけれど、

私たちはそれ以前に日本人がアメリカの地で活躍したという歴史を知らなければならない。

スモールベースボールの原点がその時代にあった。

ベースボールを通じて当時大きな壁だった人種の壁を越える事ができた事を知り、

それが今の時代に戦争という苦難を乗り越えて再び交流する時代を迎えられたのは

こういう先駆者たちがいたからこそであり、

野球を愛する者たちはこの出来事を絶対に知って

後世に語り継いでいかなければならないと思います。

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バンクーバーの朝日 オリジナルサウンドトラック
渡邊崇
アドニス・スクウェア
2014-12-17

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