11月15日公開の映画「紙の月」を鑑賞した。

この映画は角田光代原作の紙の月を映画化した作品で、

専業主婦から銀行の営業員となって4年目の女性がある日

若い男と出会った事で不倫関係に陥り、

次第に銀行の金を横領して堕ちて行くストーリーである。

銀行員であるほどお金の管理が厳しくなければならないが、

1つ間違うと大きな横領事件として人生の転落を迎えてしまう事になる。
人は1度は大金で色々な事をしてみたいと誰も考えると思う。

ただ実際にそんなことできるのは世界で限られた人たちしかいない。

故にそんな大金を動かせる人間なんてごくわずかしかいない訳だ。

しかしそのお金が目の前にあれば正攻法では扱えないが、

経理や銀行員ならそのお金を扱う事ができる。

そんな銀行員の営業として勤務していた1人の女性が

ある日ある1つのキッカケで横領を始めていく。

その経緯は本当に些細な事であるが、

その些細な事が次第にエスカレートしてしまった先に待っていた結末とは?

キャスト

梅澤梨花演じる宮沢りえ

平林光太演じる池松壮亮

相川恵子演じる大島優子

梅澤正文演じる田辺誠一

隅より子演じる小林聡美

井上佑司演じる近藤芳正

平林孝三演じる石橋蓮司

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

バブル崩壊直後の1994年。

夫と二人暮らしの主婦・梅澤梨花は、銀行の契約社員として外回りの仕事をしている。

気配りや丁寧な仕事ぶりが上司や顧客に評価され、

何不自由ない生活を送っているように見えた梨花だったが、

自分への関心が薄い夫との間には、空虚感が漂いはじめていた。

そんなある日、梨花は年下の大学生・光太と出会う。

光太と過ごすうちに、ついに顧客の預金に手をつけてしまう梨花。

最初はたった1万円を借りたつもりだけだったが、

次第に金銭感覚と日常が少しずつ歪みだし…。

結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとしてバブルが弾けた1994年・・・

わかば銀行の契約社員として営業をしている梅澤梨花は気配り上手で

丁寧な仕事ぶりで評価されていた。

そんな梨花がある日顧客先で外資への定期の契約をしてもらい、

仕事は順調だったが、その訪問先で梨花は顧客の孫である光太と初めて対面し、

光太から梨花に近づいてきた。

その頃梨花は夫の正文とは特に不満はなかったが、

子供がおらずに空虚感を感じる日々を送っていた。

結婚して長年専業主婦だった事もあり、その間は友人と会う機会もあったと思う。

しかしそんな退屈な毎日に梨花は友人の紹介で始めた

銀行員のパートで次第にその空虚感を増していく事になる。

人は時として空虚感を感じる事は少なくない。

しかしそれを埋めるだけの事があれば例え夫婦間で上手くいかない時でも

埋められる事はある。

1人でも平気な人は趣味の中で十分埋められると思うが、

誰かといないと辛く感じる人ほど専業主婦業から働きたいと

思うようになっていくのは自然の流れだし、

この頃はまだ専業主婦でいても夫の収入があった時代でもある。

これ以降は共働きじゃないと生活するのも難しい時代になったけれど、

この時代はまだバブルは弾けたが収入はそれなりにあった時代だ。

そんな梨花は銀行員として順調なキャリアを積んでいたが、

ある日契約を取れた顧客の孫に当たる光太と出会ってから

彼女の人生は大きく崩れて行く。

当初は全く相手にして行かなかった梨花だったが、

光太の猛アタックで梨花が堕ちてしまった事から梨花は光太と不倫になる。

梨花の性格上誰かを助けなければという気持ちの強い人でもあり、

それは劇中ではその経緯となった出来事が描かれていく。

人は誰かを助けたいと思う事はもちろんある。

しかしそれは自分の生活の範囲で出せる範囲を超えない事を前提とする。

収入を超えて出すという事はそれだけ正規じゃない方法で出しているという事だ。

最もお金って使おうと思えば思いっきり使えるものだ。

しかし生活がある故に生活を考えて使うものであり、

それができない人が借金地獄に陥っていく。

実際に梨花も育った環境が裕福でお金にはそれほど執着していない人生を送っていた。

それ故に自分に対するお金の金銭感覚があまりないというべきところは冒頭で描かれている。

普通にいくら自ら稼いだからといって4万、5万の腕時計を簡単に買っている訳だから

さすがにそれだけ銀行員の契約社員は稼ぎが良いのか?と思ってしまう。

そんな感覚だったからでもあるが、梨花は光太が借金を抱えている事を知り、

その借金の額を聞くと150万の借金を抱えているという事を知る。

ただその借金はサラ金から借りたもので高い利子を支払わなければならない状況だった。

それ故に大学を中退しようと考えていたようだが、

それを梨花は何とかするという悪しき人助けに走ってしまった事で

梨花は次第に堕ちて行く。

その出所はまず最初が光太の祖父である外資の証書の横領だった。

その額200万・・・いくら光太の身内とはいえそのお金を出さない訳であり、

そのお金を貸さない祖父のお金を横領している。

これで光太の借金は返済されたが、その後も不倫関係は継続し、

次第に梨花は数多くの顧客のお金を横領して行く。

そのお金で梨花は光太と色々な豪遊をしていく訳だけれど、

これだけのお金があるからといっても明らかに自分の居場所じゃないと

気づかなければならないところだが、

こういう金銭感覚になってしまうと人を狂わせていくものだ。

しかもその間に夫の正文は上海へ転勤生活を送っており、

その間梨花は1人で証書の偽造などのためにパソコンとプリンタを購入している。

この時代のパソコンとプリンタは今ほど簡単なものじゃない時代で

どの人が扱っている時代じゃなかった。

マックを使っているけれど、

マックは画像編集や音楽編集に優れているのでこういう偽造には適していたし、

この時代だとプリンタが珍しい時代だったので紙質を上手く選べば

一般の人がわかるほど簡単なものじゃない。

それ故にお年寄り中心の顧客だった梨花にとっては

格好の騙しやすい相手だった事は間違いない。

そしてそれが膨らみ続けた先に梨花が横領した事が発覚する日が来たのだった。

果たして梨花はこの横領でどんな言葉を語るのだろうか?

結末は劇場で観てほしいけれど、人は1つの事をキッカケに崩れて行く。

それを上手く描いていた作品だ。

そして人を助けるにはどうすべきなのか?

という部分でも助ける上で自分が破たんしたら誰も助けられないという事も描かれている。

その点では実に上手く描いたと思う。

女性は孤独に感じている時に心の隙間に誰かが入る事があると

それが自身に対する自信になるケースもある。

もちろんこの事件についてはどんな理由であれやってはならない訳だけれど、

梨花がどうしてこの事件に走ったのかというのを

知っていく事がこのストーリーなので全ては動機から考え、

そしてどうしてその流れになってしまったのかを考えて行く事で

この事件がどうして起きてしまったのか?という部分に辿り着けると思う。

総評として梨花がどうしてこういう大規模な横領事件を起こした経緯は十分わかった。

その上で梨花は誰かを助けたいという想いが強かった故に

その手段の選び方を間違ったに過ぎない。

何が正しく何が間違いなのかを梨花は理解しなかったばかりに

本来助けるに至った人が逆に誰かを陥れる立場へと変貌した。

人は誰かを助ける場合自分に対して余力がある事を前提にしなければならない。

その前提があって初めて誰かを助けられる。

しかしその前提が無ければ自分も誰も助けられない

という事をこの作品は自分自身がいかにして助けられる範囲が必要なのかを示してくれた。

自分の身を亡ぼす助けは誰の助けにもならない!

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