6月27日公開の映画「渇き。」(R15+指定)を鑑賞した。

この作品は第3回「このミステリーがすごい!」大賞の大賞受賞作

「果てしなき渇き」を映画化した作品で、

ろくでなしの元刑事が行方不明になった娘を捜索するが、

その先に娘の本当の姿を知らないろくでなし親父が娘の本性を知っていき、

深い闇の事件に巻き込まれていくストーリーである。

事件を追った先に知る真相はあまりにも異常で常軌を逸し、

常識では測れない中にそれぞれの闇を見る事になるだろう。
ある程度覚悟して鑑賞する作品だと思いますけれど、

まあ最初からこれはいけませんと片づけたら

この映画の意味そのものが否定される訳で、どうしてこの事件が起きてしまい、

どうしてこのような結末を迎える事になってしまったのか?

というところを検証しなければならないと感じます。

今の世の中は家庭が軽薄と言われる時代において

子供が何をやっているのかわからない。

そして何を考えているのかわからない。

そんな状況からこの事件は進んでいく。

それ以上に家庭の問題の深刻さも描かれており、

この事件に登場する全ての人たちが病んでいる。

この事件で登場する藤島加奈子は一体何をやり、

そして何故失踪したのか?

事件を追っていきたい。

キャスト

藤島昭和演じる役所広司

藤島加奈子演じる小松菜奈

「ボク」演じる清水尋也

浅井演じる妻夫木聡

愛川演じるオダギリジョー

松永泰博演じる高杉真宙

遠藤那美演じる二階堂ふみ

森下演じる 橋本愛

長野演じる森川葵

藤島桐子演じる黒沢あすか

咲山演じる青木崇高

辻村医師演じる國村隼

緒方演じる星野仁

小山順平演じる 葉山奨之

チョウ演じる康芳夫

東里恵演じる中谷美紀

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

容姿端麗な優等生の娘・加奈子が部屋に全てを残したまま失踪した。

元・妻の依頼でその行方を追うことを請け負った元父親・藤島昭和。

家族が破綻した原因が自分の性格や行動であることには一切目もくれず、

自分の“家族”像を取り戻すことだけを夢想し、なりふり構わず娘の行方を調査する。

過去と現在の娘の交友関係や行動をたどりながらやがて、

今まで知らなかった娘・加奈子の輪郭が徐々に浮かび上がっていく。 

果たして父は娘を見つけ出し、

あの頃夢見た“幸せな家族”を取り戻すことができるのだろうか?

結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとしてある夏の日コンビニで3人が殺される殺人事件が発生した。

その現場に駆け付けた警備人が重要参考人になるほどの事件である。

その重要参考人となった藤島昭和はかつて大宮署の刑事であり、今は警備人にしている。

その藤島昭和は離婚し、子供とも疎遠だった。

そんな翌日離婚した元妻から連絡が入り、娘の加奈子が行方不明になったという。

まだ警察に連絡していないという事で加奈子の部屋を調べるととんでもないものが出てきた。

それは違法ドラック、そして覚せい剤だ。

この世代でこういうのが簡単に手に入るのは今の時代珍しい事では無いものの、

その多額の資金をどうやって手に入れたのか?

そして加奈子は一体これをどう手に入れたのか?

そして加奈子は何をしたのか?

この時点ではその違法ドラック、覚せい剤以外に証拠がなかった。

そこから加奈子を探しに向かう昭和はまず加奈子の友人である森下と面会する。

森下は高校の同級生で人知れず加奈子との接点がある人だった。

この時点で知るのは加奈子の事を昭和が何も知らないという事だ。

故に加奈子の事本当に知っています?という言葉を投げかける。

確かに親が子供の事を知らない事は少なくないし、

実際に昭和と母親は加奈子が何をしていたのかすら知らない訳で、

これは親に言わない子供の現実がある訳です。

最も子供が親に言わない事はこれだけじゃないし、

普通に親が子供のしている事を知っている人っていったいどれ位いるのか?

逆に市場調査をすれば知らないという回答は少なくないでしょう。

今はLINEやTwitterなどSNSでやり取りしているから

余計スマホなど見られなければ知る由が無い。

逆に親の世代の方がSNSの事を知らないほどだから余計に子供が

何をしているのか理解する事も難しい。

そんな中で次にお会いしたのが加奈子の中学時代の担任だった東里恵という人物だ。

高校の担任に行かないのはもう縁が無いからなのだろうし、

親の世代は卒業アルバムからしか辿れないからでもあるんですけれどね。

そこで出てきた証言は驚くべきものだった。

加奈子は精神的に病んで、うつ病でやつれていたというのだ。

昭和にとって加奈子を知るのはわずかな記憶しかない訳で

その頃の加奈子を思い出す事が無理なのだからその言葉を

信じるしかないが信じられない自分がいた。

それ以上に昭和が相当アルコール依存、たばこ依存など精神的に病んでいた訳で

実際に昭和にも大きな原因がある訳ですけれど、

家庭環境を考慮すれば止んでいたとしても不思議はない。

そんな中浮かび上がってきたのが加奈子の同級生の証言で松永泰博という男だった。

松永は加奈子の同級生で中学時代に接点があり、

森下や警察の情報でかなりの札付きの悪という事だった。

加奈子はその松永と接点があるという事で松永を追う。

しかしその最中森下からある証拠書類が入っているロッカーの鍵を渡される。

そして森下の友人が危ないとある場所へ駆けつけると森下の友人長野が殺されていた。

これによりこの事件がいかに闇の深い事件であるかという事が明らかになる。

そんな中昭和も闇の組織から追われ、

加奈子がとんでもない事をしてくれたということだけ告げられるのだった。

その中で加奈子が事件のキッカケになる3年前の中学時代のエピローグが

並行して行く訳だけれど、ここではボクという少年が加奈子に助けられ、

そして夢中になって堕ちて行く姿が描かれていく。

そんな中で事件が進行した先に昭和はこの事件が加奈子が犯した

重大な事実を知っていく事により更なる事件へと続いていくのだった。

果たして加奈子は何処へ行ったのか?

そして加奈子が犯した事件の真相とはどんなものだったのか?

結末は劇場で観てほしいけれど、

この事件は一言では片づけらないほど重い事件だという事だ。

それだけ加奈子はとんでもない事を仕出かしてくれたという事にもなるんだけれど、

ではどうして加奈子はこの事件を起こすに至ったのか?

というところから検証しなければならない。

この事件でハッキリしている事は加奈子が違法ドラック、そして覚せい剤を使用し、

ばら撒いていたという事実だ。

この時点でいくら高校生とはいえ重大犯罪人であり、

実刑判決間違いなし懲役10年以上というのが妥当な線だろう。

ここに殺人も加わればいくら未成年でも死刑となる。

現実未成年でも死刑判決の事例があるのでざっと言えば死刑妥当になるほどだ。

その心理状況から言えば1番の問題はやはり家庭環境になるだろう。

昭和と元妻は元々それほど仲の良い夫婦ではなかった。

加えて昭和そのものが仕事ばかりで家庭に目もくれず、

酒とたばこ依存が酷く、さらに元妻が不倫した事も重なり元妻と離婚している。

その直後刑事を辞めているので、

普通に考えれば刑事を続ける事は無理だったというしかない。

その上で精神的にもかなり病んでおり、DVが日常茶判事だった。

故にそれが加奈子にも及び、

昭和に殺されかかった事も加奈子が壊れる一因だったのは否定できない。

身近に信じられる者がいなかった加奈子にとって

家庭とは滅茶苦茶な場所としか知らずに育った事がまず起点である。

血は争えないというけれど、私は血よりもむしろ環境さえ問題なければ

血はそれほど左右される可能性が大きくないと思う。

同じ血を継承していてもその能力や考えまで受け継がれる訳じゃないし、

環境次第で人は考えは変わっていく。

ただ加奈子にとっては両親の夫婦関係が上手くいっていなかった事が

最大の原因である事は否定できない訳で、

加奈子にとってもし親が選べていたのならこの事件は起きなかったのかもしれない。

人は環境1つで変わってしまう事があるというのをこの作品では上手く描かれている。

そして加奈子がどうしてそんな世界と繋がれたのか?

というのが最大のポイントになる訳だが、

確かに加奈子は誰もが羨む美少女であった。

それだけなら何処でもいる訳だが、

ここで加奈子が最大の悲劇と言えるのは松永と出会ってしまった事に他ならない。

あの家庭環境でもそういう悪い奴に出会わなければ

加奈子は堕ちなかったのかもしれない。

ただこういう時に限って加奈子の身近に松永のような人物がいた事が

彼女の悲劇だったというしかない。

そこから加奈子はある実力者に気に入られて

絶大なる実権を握った事が悲劇の広めてしまった。

彼女にとって家庭環境が滅茶苦茶、さらにそこに絶大なる権力、

そしてエクスタシーを知ってしまったら

もうこの時点で彼女は悪魔と言われても仕方ないほどである。

しかも加奈子はそこに来て頭が切れるから余計周りの友人が巻き込まれて

最後は滅茶苦茶にされていった事は否定できない訳であり、

好奇心旺盛の世代にとって友人の誘いを簡単に断れないのはある意味仕方ないところだし、

この世代では世界を知らない故にどうしてもその判別をするのは無理だという事だ。

中学時代って色々知り始める世代であるけれど、

その良し悪しを確実に判別できる世代でないのも事実である。

私も中学時代を振り返ればそんな良し悪しを判別できるような知識がなかったし、

今は数多くの知識と経験、そして理解ができるけれど、中学生ではそれは困難だという事だ。

中学生に違法ドラック、覚せい剤がどれ程危険なものなのかを

義務教育課程で教える事はまずない。

これは医学的な話になるので義務教育課程では難し過ぎる話しと

言ってしまえばそれまでだけれど、

あれだけACジャパンで違法ドラックの広告を流しながら、

その危険性を詳しく伝えていない事も正直道を誤る1つなのだと思う。

どうしても人間の本能として快感を覚えてしまうとその快感から逃れられない訳で、

それが抑えられないと昭和のようなアルコール依存、

たばこ依存になって次第に正常な判断ができない人になってしまうという教え方も必要だし、

そこに違法ドラックを使えばさらに異常な判断しかできない人になってしまう

という事を大人は教えていないのが現実だ。

そうなってしまえば加奈子が堕ちるところまで堕ちてしまうのは必然であり、

滅茶苦茶しか知らない加奈子が実権を握れば事は滅茶苦茶しか残らない。

それが何故いけないのか?を知らずに・・・

私たちは常に何故いけないのか?

正しいのは何か?

を示せているだろうか?

というのが正直ある。

いけないのは問題ではない。

いけないのは理解できる。

ならどうしたら良いのか?

それが示せなければいけないとは言い切れないものである。

色々と振り返れば加奈子もまた1人の被害者とも問える訳であり、

本当の原因は何処にあるのかと問われたら言うまでもなく

昭和が加奈子にもたらした環境というのが最大の原因であり、

最大の犯行動機と結論付けられると思う。

総評として事件の真相を知れば加奈子のやった事はいけない事だと

認識する事は誰でもできる。

しかしここで1番の問題はどうして加奈子がこの事件を起こしてしまったのか?

に辿り着かなければこの事件の真相と真実が見えてこない。

真に許されないのは加奈子ではないという事にもなる。

真に許されないのは加奈子がそういう環境に置かれる事になった

加奈子の境遇に他ならない。

そしてここで1番重要なのはこの事件はどうしたら防げたのだろうか?

という事を考えられる思考が必要だという事だ。

事件が起こりました。

問題を起こした人を排除しました。

以上終わり!

では解決ではないという事だ。

問題を起こした人を排除するだけならその場で終わり、

その起こる環境は残される。

真にこの事件を解決したいというのなら違法ドラック、

覚せい剤を提供した人ではないという事だ。

そこに手を出させない環境作りこそ事件を防げる最大の方法論だという事だ。

それが加奈子の悲劇を起こさないために残された人たちが

加奈子に償える最大の方法論である事に辿り着かなければ再び加奈子が現れる事だろう。

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