1月25日公開の映画「小さいおうち」を鑑賞した。
この映画は中島京子原作の作品を山田洋次監督で映画化した作品で、
田舎から都会に出てきた女性が女中としてある小さなおうちに奉公し、
そこで起きた出来事を亡くなる直前にノートに残したエピソードを綴っていくストーリーである。
当時は都会にお金持ちの家に奉公するのが当たり前だった時代に
その家で起きていた出来事に今の人たちはどう捉えどう感じるのだろうか?
この映画は中島京子原作の作品を山田洋次監督で映画化した作品で、
田舎から都会に出てきた女性が女中としてある小さなおうちに奉公し、
そこで起きた出来事を亡くなる直前にノートに残したエピソードを綴っていくストーリーである。
当時は都会にお金持ちの家に奉公するのが当たり前だった時代に
その家で起きていた出来事に今の人たちはどう捉えどう感じるのだろうか?
鑑賞したのはもう1か月前なんですけれど、
色々あってなかなかレビューするに至りませんでしたが
ようやく書ける心境になったので書きたいと思います。
その間に黒木華さんがベルリン国際映画祭で
最優秀女優賞(銀熊賞)で受賞するというニュースもありましたが、
演技した人がそういう評価を受けるのは見た側としても嬉しいものです。
さて映画の方ですが昔は田舎の人が奉公で都会に出て女中で働く事は当たり前だった。
戦前まではそうでしたが、今の時代の人たちにとって女中は
ある意味お手伝いさん(執事、メイド)という位置づけがイメージし易いと思う。
ただ当時の女中は常に御主人様の言いつけ通りに動かなければならず、
御主人様の意志を読み取らなければならなかった。
その意味ではかなり大変な役であるけれど、
そんな女中をしていた女性が晩年その時の経験をノートにしたためた。
はたしてその時一体何が起きていたのだろうか?
キャスト
平井時子演じる松たか子
布宮タキの晩年期演じる倍賞千恵子、青年期演じる黒木華
平井雅樹演じる片岡孝太郎
板倉正治演じる吉岡秀隆
荒井健史演じる妻夫木聡
小中先生演じる橋爪功
小中夫人演じる吉行和子
貞子演じる室井滋
松岡睦子演じる中嶋朋子
柳社長演じるラサール石井
カネ演じるあき竹城
花輪和夫演じる笹野高史
花輪の叔母演じる松金よね子
平井恭一演じる幼年期秋山聡、少年期演じる市川福太郎、晩年期演じる米倉斉加年
酒屋のおやじ 演じる螢雪次朗
治療師演じる林家正蔵
荒井軍治演じる小林稔侍
荒井康子演じる夏川結衣
ユキ演じる木村文乃
他多数のキャストでストーリーが進行する。
ストーリー
昭和11年。田舎から出てきたタキは、東京郊外に建つ少しモダンな、
赤い三角屋根を構える平井家のお手伝いさんとして働きはじめる。
そこには、主人である雅樹と美しい年下の妻・時子、
二人の間に生まれたお坊ちゃまが穏やかに暮らしていた。
そんなある日、板倉という青年が家族の前に現れる。
奥様の心が彼に傾いていくのを、タキは複雑な思いで見つめ続ける。
それから60年後の現代。晩年のタキが大学ノートに綴った自叙伝には、
“小さいおうち”で過ごした日々の記憶が記されていた。
結末は劇場で観てほしいけれど、
今回のレビューとして晩年のタキさんが親戚の健史に
自伝のノートを残した事から物語は始まる。
既にタキさんは亡くなっており、
その遺品整理の時に亡くなる直前に自伝のノートを健史に見せていた事を思い出した。
その物語は昭和初期の昭和11年から始まる。
丁度日中戦争が始まる直前の時代の話だ。
当時の日本は満州国を建国し、領土拡大で欧州列強と戦っていた時代でもある。
当時の東アジアは中国が植民地化状態にあり、
その力は日本が日露戦争で勝利して以来アジアの盟主は日本だったと言える時代だ。
当時日本がここまで頑張らなかったらアジアは
今頃欧州の植民地化されていた事だろう。
それぞれ国の事情があるので歴史的には
その後アメリカとの太平洋戦争へ突入して行く訳だけれど、
その直前までタキさんは東京の平井家で女中として奉公する事になる。
そこでタキは主人の雅樹、妻の時子、まだ幼かった恭一の3人家族だった。
そこで女中として奉公した直後に恭一が小児麻痺に掛かり
タキが恭一の足は毎日マッサージする事が日課になっていった。
これがタキにとってこの家での最大の奉公のはじまりになる訳だけれど、
確かに今ならなかなかこういう事は無いが、
当時は女中がいる事でこういう事があってもやってくれる人がいた時代だった。
そんな中でタキは女中として奉公して行くうちに平井家に
板倉という青年が出入りするようになった。
板倉は雅樹の会社の社員で上京して何かと不便だという事もあり、
平井家で世話になるようになった。
それにより時子と板倉が次第にただならぬ中になっていくのを
タキは感じ取っていたのだった。
当時は今ほどこういう事があると不貞と言われた時代に
時子と板倉が次第に惹かれていく姿を見るのだった。
その葛藤でタキは誰にも相談できず1人で抱え続けていく。
確かに女中って相談する人がいるか?と言われると実はいなかったりする。
ある意味秘密すら漏らさない秘書のような存在ですからね。
もちろん時子に直接問いただした訳でも、雅樹に告げ口すらもしていない。
女中はそんな葛藤とも闘わなければならないのだ。
そんな中次第に戦争により生活が悪化し、板倉も徴兵される事になり、
板倉と最後の別れに時子は最後に板倉に会おうとする。
しかしそれをタキは止めてある提案をしてタキは板倉の下に向かうのだった。
そしてその後タキは平井家を離れ、山形の田舎に戻る。
戦争が終わったが再び平井家の人たちと対面する事は無かった。
そんな出来事を抱えたままタキは亡くなるのだった。
果たしてタキは平井家での秘密をどう守ったのだろうか?
結末は劇場で観てほしいけれど、
今の人たちの当時の事を飲み込んで理解するのはなかなか困難な事だと思うし、
実際にタキが守った秘密を果たして教えるべきだったのか?
と問われると実に難しい事だ。
もう時効になっているとはいえね・・・
知らなければそうなると思うけれど、
時には知らない方が幸せという事もある事をタキは親戚の孫たちに教えたかったのだと思うし、
亡くなるまで誰にも言わなかったタキさんは女中中の女中だった。
総評として、人には秘密を守秘する義務を生じる事がある。
その秘密は口止めされたのではなく、これは告げるべきではないというものだ。
その告げ口をしなければ誰も知る事は無い。
タキさんが残した出来事はもう全員亡くなっている事を前提にしたものだと思うけれど、
その対象者が生きているうちは絶対に封印すべき事が
世の中にはあるのだと教えてくれた作品だ。
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色々あってなかなかレビューするに至りませんでしたが
ようやく書ける心境になったので書きたいと思います。
その間に黒木華さんがベルリン国際映画祭で
最優秀女優賞(銀熊賞)で受賞するというニュースもありましたが、
演技した人がそういう評価を受けるのは見た側としても嬉しいものです。
さて映画の方ですが昔は田舎の人が奉公で都会に出て女中で働く事は当たり前だった。
戦前まではそうでしたが、今の時代の人たちにとって女中は
ある意味お手伝いさん(執事、メイド)という位置づけがイメージし易いと思う。
ただ当時の女中は常に御主人様の言いつけ通りに動かなければならず、
御主人様の意志を読み取らなければならなかった。
その意味ではかなり大変な役であるけれど、
そんな女中をしていた女性が晩年その時の経験をノートにしたためた。
はたしてその時一体何が起きていたのだろうか?
キャスト
平井時子演じる松たか子
布宮タキの晩年期演じる倍賞千恵子、青年期演じる黒木華
平井雅樹演じる片岡孝太郎
板倉正治演じる吉岡秀隆
荒井健史演じる妻夫木聡
小中先生演じる橋爪功
小中夫人演じる吉行和子
貞子演じる室井滋
松岡睦子演じる中嶋朋子
柳社長演じるラサール石井
カネ演じるあき竹城
花輪和夫演じる笹野高史
花輪の叔母演じる松金よね子
平井恭一演じる幼年期秋山聡、少年期演じる市川福太郎、晩年期演じる米倉斉加年
酒屋のおやじ 演じる螢雪次朗
治療師演じる林家正蔵
荒井軍治演じる小林稔侍
荒井康子演じる夏川結衣
ユキ演じる木村文乃
他多数のキャストでストーリーが進行する。
ストーリー
昭和11年。田舎から出てきたタキは、東京郊外に建つ少しモダンな、
赤い三角屋根を構える平井家のお手伝いさんとして働きはじめる。
そこには、主人である雅樹と美しい年下の妻・時子、
二人の間に生まれたお坊ちゃまが穏やかに暮らしていた。
そんなある日、板倉という青年が家族の前に現れる。
奥様の心が彼に傾いていくのを、タキは複雑な思いで見つめ続ける。
それから60年後の現代。晩年のタキが大学ノートに綴った自叙伝には、
“小さいおうち”で過ごした日々の記憶が記されていた。
結末は劇場で観てほしいけれど、
今回のレビューとして晩年のタキさんが親戚の健史に
自伝のノートを残した事から物語は始まる。
既にタキさんは亡くなっており、
その遺品整理の時に亡くなる直前に自伝のノートを健史に見せていた事を思い出した。
その物語は昭和初期の昭和11年から始まる。
丁度日中戦争が始まる直前の時代の話だ。
当時の日本は満州国を建国し、領土拡大で欧州列強と戦っていた時代でもある。
当時の東アジアは中国が植民地化状態にあり、
その力は日本が日露戦争で勝利して以来アジアの盟主は日本だったと言える時代だ。
当時日本がここまで頑張らなかったらアジアは
今頃欧州の植民地化されていた事だろう。
それぞれ国の事情があるので歴史的には
その後アメリカとの太平洋戦争へ突入して行く訳だけれど、
その直前までタキさんは東京の平井家で女中として奉公する事になる。
そこでタキは主人の雅樹、妻の時子、まだ幼かった恭一の3人家族だった。
そこで女中として奉公した直後に恭一が小児麻痺に掛かり
タキが恭一の足は毎日マッサージする事が日課になっていった。
これがタキにとってこの家での最大の奉公のはじまりになる訳だけれど、
確かに今ならなかなかこういう事は無いが、
当時は女中がいる事でこういう事があってもやってくれる人がいた時代だった。
そんな中でタキは女中として奉公して行くうちに平井家に
板倉という青年が出入りするようになった。
板倉は雅樹の会社の社員で上京して何かと不便だという事もあり、
平井家で世話になるようになった。
それにより時子と板倉が次第にただならぬ中になっていくのを
タキは感じ取っていたのだった。
当時は今ほどこういう事があると不貞と言われた時代に
時子と板倉が次第に惹かれていく姿を見るのだった。
その葛藤でタキは誰にも相談できず1人で抱え続けていく。
確かに女中って相談する人がいるか?と言われると実はいなかったりする。
ある意味秘密すら漏らさない秘書のような存在ですからね。
もちろん時子に直接問いただした訳でも、雅樹に告げ口すらもしていない。
女中はそんな葛藤とも闘わなければならないのだ。
そんな中次第に戦争により生活が悪化し、板倉も徴兵される事になり、
板倉と最後の別れに時子は最後に板倉に会おうとする。
しかしそれをタキは止めてある提案をしてタキは板倉の下に向かうのだった。
そしてその後タキは平井家を離れ、山形の田舎に戻る。
戦争が終わったが再び平井家の人たちと対面する事は無かった。
そんな出来事を抱えたままタキは亡くなるのだった。
果たしてタキは平井家での秘密をどう守ったのだろうか?
結末は劇場で観てほしいけれど、
今の人たちの当時の事を飲み込んで理解するのはなかなか困難な事だと思うし、
実際にタキが守った秘密を果たして教えるべきだったのか?
と問われると実に難しい事だ。
もう時効になっているとはいえね・・・
知らなければそうなると思うけれど、
時には知らない方が幸せという事もある事をタキは親戚の孫たちに教えたかったのだと思うし、
亡くなるまで誰にも言わなかったタキさんは女中中の女中だった。
総評として、人には秘密を守秘する義務を生じる事がある。
その秘密は口止めされたのではなく、これは告げるべきではないというものだ。
その告げ口をしなければ誰も知る事は無い。
タキさんが残した出来事はもう全員亡くなっている事を前提にしたものだと思うけれど、
その対象者が生きているうちは絶対に封印すべき事が
世の中にはあるのだと教えてくれた作品だ。
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