5月18日公開の映画「クロユリ団地」を鑑賞した。

この映画は老朽化したクロユリ団地で奇妙な事件に遭遇する

若い女性が次第に自らの過去とこの団地で起きた事件に

呪われていく姿が描かれたホラー作品である。

リングの中田秀夫監督による作品として注目されているものの

内容的には10年前の「仄暗い水の底から」と同じテイストに

感じる作品であるだけに怖さよりどうしてこうなってしまったのかを

注視した方が良いだろう。
ホラー作品は約1年ぶりになったんだけれど、

この作品は怖さというよりも心理的に追い込まれた

主人公の女性がどうして追い込まれてしまったのか?

という所が注目点として見る事になると思う。

正直怖さで観ようとしたらこの作品は完全に失敗してしまうのでまずどうして?

という部分を追ってほしいところだ。

その上でこの事件の結末に至るまでの経緯を辿っていきたいと思う。

キャスト

二宮明日香演じる前田敦子

笹原忍演じる成宮寛貴

二宮勲演じる勝村政信

二宮佐智子演じる西田尚美

ミノル演じる田中奏生

松浦刑事演じる諏訪太朗

篠崎老人演じる高橋昌也

野々村早苗演じる手塚理美

以上多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

老朽化したクロユリ団地へと移り住んできた明日香は、

隣室から聞こえる何かを引っかくような音にへきえきしていた。

ある日、鳴りやまない目覚まし時計の音を発端に、

隣室で亡くなっている老人を見つけてしまう。

それを機に周囲で頻発する怪現象に対する恐怖、

老人を救えなかったという罪悪感から、

精神的疲労を募らせていく明日香。

老人が何かを伝えようとして音を立てていたのではないかと思った彼女は、

遺品整理で隣室を訪れる特殊清掃員・笹原とその真意を探ろうとするが。

結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとして飛鳥は介護の専門学校に通うために

近くのクロユリ団地に引っ越してきた。

そこで父、母、歳の離れた弟の4人で暮らし始めた。

そんなある日明日香は隣の部屋から目覚まし時計が鳴って目を覚ます。

最初はただうるさいだけで止めたものの、

次第にそれが毎日続いた事で明日香はおかしいと言い出すも

家族の会話はどういう訳か毎日同じセリフしか話さない。

ここで少し種明かしをしてしまうと明日香は実は1人暮らしをしていた。

しかし明日香は昔ある大事故で奇跡的に助かった1人だった。

それ以来明日香は自分を責める罪悪感に取りつかれていたのだった。

でもどうしてここに引っ越してきた時に3人の霊が見えたのか?

というところが引っ掛かるが、

これはクロユリ団地には3人以外にも霊の力が果てしなく強い場所だった事にあるだろう。

明日香がここに引っ越してくるまでこういう現象があったのか?

という部分が描かれていないので何とも言えない部分はあるものの

このクロユリ団地に引っ越してきた事で明日香は3人が生きている

という霊を見たのだと考えられる。

そんなある日明日香は団地の公園で1人遊んでいる少年をみつける。

その少年はミノルくんといって何時も1人で遊んでいた。

最初は逃げ出したが、何回か見かけるうちに明日香はミノルくんと遊ぶようになる。

それから数日して隣の団地の住人が何時までも音信不通という事で

明日香は隣の部屋がカギが開いている事で入る事にした。

そしてそこで明日香が見たのは数日前に亡くなった老人だった。

明日香はそれからある現象をさらに感じるようになる。

その部屋を整理してきた遺品整理屋の笹原忍と出会った

明日香はこの部屋には近づかない方が良いと警告を受ける。

それから数日後ミノルくんが明日香の部屋に遊びに来て部屋に入れてしまった。

そこで明日香は数日後あの老人の霊によって

死ぬという言葉が離れず忍に相談すると忍は霊媒師を紹介した。

その霊媒師の紹介でその老人は明日香にあるメッセージを残していたのだった。

しかしそれ以上に霊媒師は深刻な事態を告げるのだった。

明日香は霊媒師と忍の協力によって老人が告げた霊を

成敗してもらう事になるが果たして明日香はこの霊から逃れることはできるのか?

結末は劇場で観てほしいけれど、

ホラーとしての怖さというよりこの事件の行方という感じで見たんだけれど、

事件の経緯から語ると明日香は隣の亡くなっていた

老人を発見する事から事件は進展して行く。

どうしてこの老人が亡くなったのか?

という部分は検死の結果が出ているのだけれど、

ただこの老人もあの霊に取りつかれていたのは間違いないだろう。

そうでなければ老人の霊が明日香にあのメッセージを残す事はまずない。

そして明日香自身だけれど、

明日香は10数年前にバスの転落事故で2人しか生き残らなかった

奇跡の少女として当時の取材雑誌などで取り上げられていた。

明日香はその事故以来自分だけ生き残った罪悪感に苛まれていた。

まあこれは彼女だけじゃないが大事故で1人しか生き残らなかったというケースもある。

中越地震で落石の下敷きになった車で1人生き残った

子供の奇跡の生還を私は思い出すんだけれど、

そのように人は何かの偶然が重なった奇跡によって助かる事もある。

それが記憶に残るか否かはその人によると思うんだけれど、

かすかに残る記憶が気づかないうちに自分の記憶として

残っている可能性は十二分にある。

明日香もそういう生き残った罪悪感が霊を近づけてしまった1つなのだと思う。

そしてその霊についてだけれど、どうしてその霊がこの団地で出るのか?

というのが結末部分で描かれているのだが、

確かにこれは子供ならやりそうなことでもあるだろうし、

何より不運だったのは誰も中身を確認せずにやってしまった事だ。

やはり何事も確認していればこの事件の続きは起こらなかったかもしれない。

そして忍もまた自らの罪悪感に付け込まれ明日香を庇って・・・

霊は相手の弱みを突くのが実に上手かったというしかない事件だった。

総評としてこの作品はホラー部分より事件として追った方が良いと思うが、

それでも私はこの事件の結末は何も解決していない事に対して

一体何をどうすべきだったのか?という部分無く終わっている。

霊媒師の成敗があのまま言った通りにしていれば助かったのか?

と問われると実に難しいだろうし、あの霊はどうやったら成仏できたのか?

という答えが無いまま終わってしまった事は非常に残念だ。

もしその原因をわかっていたのならもっと違う解決方法があったのかもしれないし、

例の成仏せず今だに遊ぼうと徘徊している事で

次の犠牲者が出続けることになるのかもしれない。

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