10月20日公開の映画「希望の国」を鑑賞した。

この映画は東日本大震災から数年後の未来に起きた大地震で

再び原発事故で住めなくなった地域に住んでいた人たちが故郷を追われ、

さらに故郷に残り、生存者を探したり生きるための葛藤を描いたストーリーである。

福島第一原発事故後に描かれた作品として被災者の心境を

大きく描いた部分として見事だが果たしてこの描かれ方に対して

どう観る人が捉えるかは観る人の視点によって変わるかもしれない。
東日本大震災から1年8か月を経過した訳だけれど、

今だに原発から放射能が止まった訳じゃなく、

廃炉作業もはたしてこれから予定通りに40年で終わるのかもわからない状況のままだ。

そして半径30キロ周辺は立ち入り禁止もしくは警戒区域、

避難準備区域となっているものの、どれをとっても中途半端な事ばかりであり、

本来なら福島浜通り全域を含む50キロ圏内は移住禁止区域にしなければならないほどだ。

そんな状況なのに福島県の作物を栽培しようとする

その考え方が私には理解不能だが、現実住む事が出来ない。

住むのが困難な場所である事は間違いない。

これから甲状腺がんの患者が増加している可能性が

非常に大きく本来なら事故が起きた時点で政府は

即福島の人口半数を県外移住させるべきだった。

ただ悲しい事にそれをするだけの日本の財政がなかったゆえ

政府が決断できなかったというのがこれまでの真相だろう。

いきなり100万人を生活保護にするなんて決断できるほどの技量を持った

政治家がいなかったに過ぎない。

そんな負の歴史の後の未来は再び原発事故が起こり再びある場所は

住む事が出来なくなったというのが今回のストーリーだ。

何年後かの未来という設定なのだけれど、

果たしてこの設定をするならそのまま3.11の設定にした方が

良かったのではと思えるシーンがあっただけにその点を踏まえてレビューしたい。

キャスト

小野泰彦演じる夏八木勲

小野智恵子演じる大谷直子

小野洋一演じる村上淳

小野いずみ演じる神楽坂恵

鈴木ミツル演じる清水優

ヨーコ演じる梶原ひかり

志村演じる菅原大吉

加藤演じる山中崇

医者演じる河原崎建三

鈴木めい子演じる筒井真理子

鈴木健演じるでんでん

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

舞台は東日本大震災から数年後の20XX年、

日本、長島県。酪農を営む小野泰彦は、妻・智恵子と息子・洋一、

その妻・いずみと満ち足りた日々を送っていた。

あの日が来るまでは。

長島県東方沖を襲ったマグニチュード8.3の地震と、

それに続く原発事故は、人々の生活をたちまち一変させる。

原発から半径20キロ圏内が警戒区域に指定される中、

強制的に家を追われる隣の鈴木家と、

道路ひとつ隔てただけで避難区域外となる小野家。

だが、泰彦はかつてこの国で起きた未曾有の事態を忘れていなかった。

国家はあてにならないと言い、自主的に洋一夫婦を避難させ、自らはそこに留まる泰彦。

一方、妊娠がわかったいずみは、

子を守りたい一心から、放射能への恐怖を募らせていく。

「これは見えない戦争なの。弾もミサイルも見えないけど、

そこいらじゅう飛び交ってるの、見えない弾が!」

その頃、避難所で暮らす鈴木家の息子・ミツルと恋人のヨーコは、

消息のつかめないヨーコの家族を探して、

瓦礫に埋もれた海沿いの町を一歩一歩と歩き続けていた。

やがて、原発は制御不能に陥り、最悪の事態を招いてしまう。

泰彦の家が避難区域となり、強制退避を命じられる日も刻一刻と迫ってきた。

帰るべき場所を失い、放射能におびえる人々。

終わりなき絶望と不安の先に、果たして希望の未来はあるのだろうか?

以上希望の国HPより


結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとして平穏のどかに暮らしていた

小野親子の2世代は酪農をしながら平穏に暮らしていた。

ただ母の智恵子が病気の為ある一定の記憶しかないというのはあった。

そんな一家に大地震が起こり、そして原発事故が起きる。

まあここまでならそれもわかるけれど、

ここからポイントとしては確かに過去の事については政府もテレビ、

ラジオの発表が信じられないというのは確かにわかる。

ただ問題はこれが数年後の数十年後の未来というので

あればあまりにも先の未来が進化していないという部分については1つ問題点がある。

おそらく数年後には今の携帯の殆どがスマホに代わるのは

間違いなく洋一夫妻だったらスマホを持っているのが普通だ。

しかしここで登場する殆どがカラゲーという旧式の携帯ばかりだ。

それだとしても停電したとしても携帯の充電はそれなりにある訳であり、

ワンセグで地震、津波情報を得る事は十分可能だ。

実際の3.11では携帯は使えなかったが携帯に付属されている

ワンセグで津波の到達する高さと時間を知った人が数多くいた。

それで助かった人も多かった訳であり、

わざわざラジオにしがみつく必要性があるのか?

というのが私の感想だ。

これが泰彦夫妻のように還暦過ぎた人だけの家なら

それも有り得るかな?と思うが、

あまりにも未来を描くという点で不自然過ぎる事ばかりだ。

これは私の憶測だが監督の園子温氏が最新のIT機器に

それほど詳しくないという点はあるかもしれない。

その点を踏まえれば数多くのスマホが登場しなければならないし、

タブレットも登場したりしなければならない。

パソコンもそうだがその点で3.11より進んだ時代とは思えないのがあまりにも残念である。

そして泰彦が福島第一原発の事を良く知っているなら

どうして原発に近い住民はそういう事に対する備えや知識が不足しているのだろうか?

福島第一原発事故後各原発を抱える自治体では

多くの避難対策や避難に備えた事を市町村ぐるみで取り組んでいる。

それなのに何も備えていない状況も不自然だ。

そしてさらにこのストーリーでは事故後に避難勧告が出る訳だけれど、

半径20キロ圏内は強制、それ以外は自主というのもおかしな話であり、

これが3.11の時間で描くならそれも納得できるが、

未来を描くなら不自然極まりない。

さすがにこれからそういう事故があれば今度は半径50キロ圏内強制避難でしょうね。

もちろんそれ+5キロも避難勧告となるでしょう。

それにスピーディを確り活用されれば拡散も計算できるだけに

その対策が確りしていればただ半径ではなく

この地域は例え80キロ先でも避難勧告となるでしょう。

そしてここからが未来とは思えない展開をしていく訳だけれど、

まず自主避難とはいえ泰彦夫妻は智恵子の事があるとはいえ避難せずそこに留まる。

その代わり洋一夫妻は避難するように言った。

泰彦がかつても福島第一原発事故の事を覚えているというなら

その後の歴史をどう学んできたのか?という事になる。

これが3.11で描いたならこれでよい。

しかしこれは数年後、十数年後の未来だ。

避難しなければそれだけ周りに迷惑が掛かり、

その後の計画に大きな障害になるというのは

1年8か月経て十分理解するところだ。

目に見えないからという理由だけではなく

じゃあミサイルのように目に見えるなら避難する?というのだろうか?

歴史を知っているという割には歴史の何を学んだのか?というところがある。

そして原発の街という事を踏まえてもあまりにも

住民の原発に対する意識の低さ、さらに住民の知識の低さには

正直未来を描くにはどうなのかな?と感じる。

事故の起きていない市町村ですら非常に敏感となっており、住民はもっと敏感だ。

それなのにまるで他人事のような避難行動を見ると???と考えさせられてしまう。

日本人は考える力が足りないと言いたいのか?

それともパニックになると何も判断できないという事を伝えたいのか?

3.11ならその気持ちとこの状況になっていた事は

十二分に理解するところだがこれは未来を描いている。

さらにここで登場する洋一、いずみ夫妻はいずみが

妊娠して子供が生まれるとなった時放射能パニックとなる事が描かれている。

かと思えば洋一が避難したが泰彦ら両親を置いていけないという葛藤に駆られる。

まあ気持ちだけならこれで良いと思うんだけれど、

これが未来というのがね・・・

そしてさらに近所の鈴木ミツルと恋人のヨーコがヨーコの家族を探すために

警戒区域へ入り込む。

いくら学校で勉強しなかったとしてもこの行動あまりにも無謀であり、

未来として描くなら疑問視する。

この頃の子供たちの世代なら原発の危険度は教育方針に組み込まれているから

いくら勉強できないという人でもこの行動はあまりにも無防備すぎる。

最終的には泰彦夫婦はその地で命を絶ち、

洋一夫婦はさらに遠くへ、ミツルとヨーコは結婚を決意するのだが、

結末は劇場で観てほしいけれど、

正直気持ちだけを見る人に伝えたいというなら十分泰彦夫妻、洋一夫妻、

ミツルとヨーコの気持ちは十二分に伝えられたと思う。

それは気持ちという点についてはだ。

問題はこれが3.11という舞台ならこれでよい。

その時は誰もその恐ろしさを知らずどうしてよいかわからなかったからだ。

その上で泰彦がチェルノブイリ事故の恐ろしさを感じてガイガーカウンターを用意していたなら

まだ話の辻褄が合う。

ところがこれは未来だ。

未来という点では明らかに落ち度が多過ぎる。

これからの未来は退化していないという事だ。

その意味ではストーリー設定は未来にせずそのまま3.11とすべきだったと私は思う。

総評として故郷を失った人たちの気持ちを描いたという点ではパーフェストだ。

しかしこの設定が3.11後の数年後の未来、

十数年後の未来を描いている事はお粗末な設定だ。

どうして未来に拘ったのかこの映画だけ見ると図りかねるが、

未来を描くなら確り未来に対応すべきスマホやワンセグ、

パソコンなど未来を感じさせる道具を見せる必要性があったし、

その時点で未来と感じさせなかった。

監督さんがこの点で非常に疎かったというのが原因かもしれないが

それなら今を描くべきだった。

今を描けば確実に絶賛できたが、

未来を描いた時点で自らの未来への予見力を示してしまったのは非常にマイナスだった。

過去を描く点では非常に上手い描き方ができる監督さんだけに

不得意な部分を描かない方が良かったのではないだろうか?

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