11月17日公開の映画「ふがいない僕は空を見た」(R18+指定)を鑑賞した。

この映画は窪美澄原作を映画化した作品で

同人誌のイベントで出逢った高校生と主婦が深い中となり情事に入り込み、

それが夫や姑にバレた事で世間に知れてしまうが

それを広めた人たちもまた苦しい生活の中でそういう無意味さを知っていくストーリーである。

性と不妊治療、そして出産、貧乏と生きていく中で必要な事、

そして生きている中で乗り越えなければならない事を赤裸々に描いている。
R18+指定という事でどれだけ過激なものなのか?と思うかもしれないが、

個人的にはどうしてこれがR18+指定まで格上げしたのかちょっと疑問だったりする。

確かにこの作品の状況は現行の法制度では

淫行条例違反になるのは確かにわかるんだけれど、

それが理由でR18+指定にしたなら考えものだと感じる。

この映画の主人公は高校生という設定であり、現実高校生はこの映画を観る事が出来ない。

でも高校生の視点から描いた作品である事を踏まえると

R15+指定に止めるべきだったのでは?と感じる。

作品では同人誌のイベント、貧乏な高校生の男女の関係が描かれ、

その中で出産を目指す事で生きるという意味を見つけていく。

果たしてどうして高校生と主婦が情事に入ってしまい、

貧乏な高校生の男女がその噂を広め、その無意味さを知っていくのかレビューする。

キャスト

斎藤卓巳演じる永山絢斗

岡本里美演じる田畑智子

福田良太演じる窪田正孝

あくつ純子演じる小篠恵奈

松永七菜演じる田中美晴

田岡良文演じる三浦貴大

岡本慶一郎演じる山中崇

斎藤寿美子演じる原田美枝子

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

高校生の卓巳は友人と出掛けたアニメの同人誌販売イベントで、

アニメ好きのあんずこと主婦の里美と出会う。

やがて二人は深い仲になり、里美は卓巳に自分の好きなアニメのキャラクターのコスプレをさせ、

情事にふけっていた。

そんなある日、卓巳は前から気になっていた同級生の七菜に告白され……。

結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとして同人誌のイベントで出逢った卓巳と里美は

そのイベントで意気投合し次第に深い中となっていく。

同人誌のイベントでコスプレする人は珍しくないけれど

こういうイベントに顔を出す人は現実じゃない世界に憧れているもので、

そのキャラクターになりたいという願望があるものだ。

私自身もこういうのは嫌いじゃないし、こういう世界は十分理解している。

何年経ても思い入れあるアニメはそのキャラクターになりたいものだ。

そんなイベントで出逢った卓巳と里美だったが里美は

専業主婦として家にいる事が多かったが、里美は夫との間で不妊に悩んでいた。

女性にとっては深刻な問題で里美は卵巣への卵管が狭く、

夫の精子も元気が無くそこまで辿り着けないのが原因という事のようだ。

そんな里美にとって姑の早く子供を作るようにという

プレッシャーを掛けてくる言葉の数々に精神的に追い込まれていた。

こういう時って本来なら夫が妻をフォローしてあげるべきなんだけれど、

その夫が消極的では厳しいのは否めない。

さらに里美には両親がおらず頼る人もいない状況だった。

そんな中で卓巳と出会った事で共通の趣味という事もあり、

卓巳が高校生であることを関係なく2人は次第にのめり込んでいく。

この関係は主婦里美の不倫でもあるんだけれど、

この関係は本来卓巳が高校2年生という事もあり

淫行条例違反で里美は逮捕される事になる。

すべての条件を踏まえても里美が一方的に悪いというのが現行制度の法令である。

とはいえ男女の関係は年齢を超えてこういう情事になってしまう事は

有り得る訳で卓巳があと1年経ていたらこの条例は適応されないのだから皮肉な制度だ。

そんな関係も長く続かず卓巳が同級生に告白された事で卓巳は里美に別れを告げに行くが、

次第に抑え切れない気持ちが卓巳を襲い再び情事を重ねた事が最後だった。

その間に卓巳との事が夫と姑にバレた事で里美は離婚を申し出るが、

夫は離婚に同意せず、姑は子供さえ産める人がいれば良いと

代理母を探しにアメリカへ行く事を提案する。

里美は元々不妊症で子供ができにくいという体だったから

それが里美を追い込んでいる事を姑も夫も感じていない行動の連続に

不妊治療には夫と姑の相互理解がなければならないのだと感じるものだ。

そしてこのストーリーではもう1つのドラマが描かれているけれど、

それは卓巳の同級生である良太と純子だ。

二人は貧乏な人が集まるアパート暮らしであり、両親が離婚するなど複雑な環境にあった。

そんな2人はコンビニのバイトも一緒だったが、

良太は家に寄りつかない母親、さらに痴ほう症が酷い祖母がおり生活が苦しい状況だった。

そんな良太に勉強しろと話すのがコンビニの同僚の良文だった。

良文がどうして良太を助けるのか良太にはわからなかったが、

それでも勉強をするように進める事で次第に良太は勉強し始めるようになる。

そんな良太と純子は卓巳の事が噂で広まった事で

それを近所や周りに情事にふけた写真をばら撒くのだった。

まあこれは意地悪というべきでもあり、いたずらでもあるんだけれど、

2人はこの行動でどういう事になるのか良く解っていない行動をしたという事は言える。

そんな中で純子は卓巳に告白した七菜に動画のアドレスの事を聞かれる。

純子は七菜にその動画アドレスを教えて、

七菜はその動画を観るのだが、

好きだった彼の情事にふけている動画を観たい心境って何なんでしょうね?

やはり好きな彼の事は何でもみたい心境なのでしょうか?

それとも自らの時の事を想像するため?

女性がアダルトビデオを観る心境はあまり良く解らないんだけれど、

こういう事がいずれやってくるという予習なのかもしれない。

そんなばらされた卓巳は学校不登校となり寝込んでいた。

そんな卓巳を温かく見守る助産師の母はこういう事になっても動じない。

まあ助産師にとってはこういう情事があって子供が生まれてくる事を知っているし、

綺麗事じゃない事を良く知っている事もあるだろう。

そんな中で良太に1つの転機が訪れ、卓巳にも転機が訪れるのだった。

果たして2つのストーリーの結末はいかに・・・

結末は劇場で観てほしいけれど、

2つのストーリーで性、不妊、出産、貧困と数多くの日常を描いているんだけれど、

このストーリーから感じるのは全てどんな事があっても生きていかなければならないという事だ。

卓巳もあんな事があっても生きていかないといけないし、

良太も貧乏でも這い上がらなければならない。

でもそんな時に必要な事はそれぞれ理解してくれる人が周りにいるのか?という事だ。

卓巳にとっては遠くへ行きたい心境だろう。

良太、純子にとってはここから抜け出したい心境だろう。

それでもそこから抜け出す答えを述べる人が必要だという事だ。

自らの力だけでは答えを導き出せないものだろうし、

良太にとっては卓巳のような事はただ逃げているとしか捉えられない。

最も卓巳のような事は誰もがいずれ通り抜けていく事だからね。

不倫じゃなく結婚すればね。

そして良太も卓巳を再び学校に登校するようになって

それぞれが抱えていく事を乗り越えようとする2人の姿がそこにあるのだった。

総評として、それぞれ抱える悩みには相談できる人が身近にいるかいないかで

大きく人生は違うものだ。

卓巳も良太もどうしたら良いのかわからない中で先に進む答えを差し伸べてくれた人がいた。

無論里美もまた夫がみた動画を知って最後の情事で

卓巳を受け入れた事で離婚して違う道を歩もうとした。

その犠牲を卓巳は払った訳だけれど、

何かを進むには何かの犠牲も時には必要だとも示しているし、

卓巳もその犠牲の中で立ち直ろうともがいた。

どんな辛い状況でも前へ進まなければならない事も空が教えてくれるものなのかもしれない。

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