10月6日公開の映画「新しい靴を買わなくちゃ」を鑑賞した。

この映画は脚本家北川悦吏子監督作品の第2弾で

パリに来た兄妹がそれぞれパリで別行動をする事になり、

兄がパリ在住の女性に助けられた事で意気投合し、

妹は恋人に会うために来たが3日間で

それぞれの想いが交錯する72時間ラブストーリーである。

わずか72時間の間の時間で繰り広げられる

ラブストーリーは世代間によるギャップもあれば、

短い時間でもそれぞれ解り合う事の出来る時間でも

ある事を教えてくれるストーリーでもあり、

気持ちを振り切るための別れも描かれており

ラブストーリーの神様の真骨頂を観る事になるだろう。
岩井俊二プロデュース作品としては実に17年ぶりの出演となった中山美穂さんだけれど、

もう10年のパリ在住歴になるだけにパリの生活にすっかり溶け込んだ彼女がそこにいた。

ここに出演する向井理さんにとっては彼女の全盛期には

テレビで観ていた人との共演でもあり、

桐谷美玲さんにとっては彼女のドラマに出演していた時代を知らない世代でもある。

もう無理もないけれど彼女が連続ドラマに出演したのが

もう10年前が最後になる訳だから

今の10代、20代前半の人たちが知らないのは無理もない事だ。

ミリオンヒット曲「世界中の誰よりもきっと」からもう20年の月日が経っている。

もうそんな時が経たのかなと思うと自分自身その全盛期を観てきた世代としては

時の流れを感じるんだけれど、40代になってもその美貌は衰えていないし、

やはり主演女優としての彼女がそこにいた。

そんな彼女が今回選んだのがホームであるパリを舞台にしたラブストーリーだった。

そこの生活で経験した事を存分に活かした脚本が成されており、

その脚本の事についてもレビューしていきたい。

キャスト

アオイ演じる中山美穂

セン演じる向井理

スズメ演じる桐谷美玲

カンゴ演じる綾野剛

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

妹に付き添って、パリ観光にやって来たカメラマンのセンは、

パリに着くなり、単独行動をしたいと言う妹スズメに置き去りにされてしまう。

泊まるはずのホテルもわからず途方にくれるセンだが、

落としたパスポートが踏まれて破れてしまい、さらに困った状況に……。

踏んだ靴の主は、パリでフリーペーパーの編集をする日本人女性、アオイだった。

パスポートを踏んだために、ヒールが折れてしまったアオイの靴を、

接着剤で直すセン。

感謝したアオイは、困ったときのために自分の連絡先を渡す。

スズメと連絡がとれないセンは、しかたなくアオイに電話をかけ、

その夜、ふたりは食事をすることになる。

話がはずみ、酔っぱらってしまったアオイを、自宅まで送り届けるセン。

結局、ホテルに戻れなくなったセンはアオイの部屋に泊まってしまう。

そのころスズメは、パリに住む恋人のカンゴを訪ね、

久々の再会を果たすも、カンゴの態度はどこかぎこちない。

センはカメラマンとしてアオイの取材にも同行し、パリを満喫していく。

ヒールが壊れた靴のまま歩き、「新しい靴、買わなくちゃ」とつぶやくアオイを、

センは優しく見つめる。

やがてふたりは、誰にも言えなかった思いも打ち明け合うのだった。

なぜひとりでパリに暮らしているのか。

これからもカメラの仕事を続けるべきなのか。

抱きしめ合うふたりの気持ちはひとつになっていく。

このまま離れたくない……。

以上新しい靴を買わなくちゃHPより


結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとしてパリに降り立ったセンとスズメの兄妹は

途中でセンを降ろしてスズメは別行動をしてしまうところから始まる。

センはカメラマンで色々なところを撮影するのだが、

スズメに置いてきぼりにされたセンはそこでアオイという

現地でフリーペーパーの編集者と出会う。

その出会いはセンが落としたパスポートを踏んで

靴のヒールが取れてしまった事がキッカケだった。

そもそもパスポートを簡単に落とすのは相当普段からだらしないと感じるんだけれど、

どうやらセンはそれ以上にアナログなタイプだという事をこの後になって明らかになっていく。

そんなセンはアオイのヒールを直して一旦その場を別れる。

その後アオイはお菓子の取材現場へ向かっていった。

彼女自身パリの実生活は10年に及ぶからパリの店は色々行きつけの店もあるだろうけれど、

今回の撮影に向けてその知識は友人から得たものだと感じるのはこのシーンにある。

彼女は普段パリで夫と息子さんと共に生活しているけれど、

パリで友人として交流があるのは元TBSアナウンサーだった雨宮塔子さんとは

普段から交流があるそうで、彼女の夫が向こうのパティシエという事もあり

身近の友人からその知識を確りリサーチしていただろうと想像つくんだけれど、

そういう普段の生活を脚本に活かしている北川さんの脚本は

それだけ自然体を出せる配慮がされている。

実際に劇中でのセリフは日本とパリとのギャップを分段に入れているんだけれど、

確かに日本から離れていると日本の流行している事は

ネットでは知る事はあってもそれを実際に体感している訳じゃないからね。

そんな彼女もここ1年半近くTwitterで色々つぶやいているけれど

そのキッカケが東日本大震災だった訳だが、

彼女のつぶやきを観ていると被災地の事や脱原発の発言を目にしたりする。

その前まで何もつぶやいていなかっただけにそれだけ彼女にとって

日本の事を案じている気持ちが伝わってくるものだ。

ストーリーに戻るけどそんな出会いをした事でセンとアオイはセンが

パスポートの再発行で大使館を訪れた後にホテルの行先がわからず

アオイに連絡する事で再び再開する事になる。

一方センを置き去りにしたスズメはパリに留学した恋人カンゴに会うために来たのだった。

そしてセンがアオイと再会した後にレストランでの食事で

センは何時もスズメの勝負所になるとお守りとして連れて行かされるという事だった。

これはどうなんだろうね。

勝負事であれば勝利の使者という感じだけれど、

恋愛成就や就職祈願や合格祈願は本人の努力次第という部分もあるだけに

10代の頃までなら良いけれど、

さすがに20代になってお守り扱いされるのは私なら勘弁してほしいですけれどね。

でもあれだけ美人な妹の頼みなら兄も断れないのは解らないではない。

そんな中でセンとアオイはパリの街をアオイの案内で回るけれど、

2件目のバーでアオイが酔ってしまいセンはアオイのアパートに行く事になる。

そこでセンはホテルに戻れず結局2泊アオイのアパートに泊まる事になるのだった。

ここで思うんですけれどセンは国際ローミング仕様のスマホを持っている訳だから

どうしてスマホにホテルの名前と住所をメモを保存しておかないかな?

わざわざ紙でというけれど確かに今のスマホって赤外線がない

スマホも増えてきたので赤外線でアドレス交換するより

口頭やメモ書きで渡すケースが実は増えているようだ。

アオイはiphoneでしたけれど1度メモをもらったら

スマホのメモ帳に記載すれば電池切れ以外は2度目も忘れる事はないと思いますが、

わざと覚えないようにした意図ならその行動も実は納得だったりするんですけれどね。

そこでセンとアオイの他愛のない会話が繰り広げられるんだけれど、

それぞれの事を3日間で知ろうとするのは短そうで長そうでという感じで

その時系列の中で2人はそれぞれの事を語り始める。

特に意気投合すると短時間でも相手の事を色々知る事ができるものであり、

その中でセンはアオイがかつて結婚して離婚し、子供がいた事を知る。

それはアオイからではなく近所の友人の一言だったんだけれど、

その経緯は劇場で語られている。

そして2人は3日間の中でお互いの事を語り、そして接近して行くのだった。

一方スズメもカンゴにある事を告げるために最後のタイミングで言い出すのだった。

果たしてセンとアオイの関係は?

そしてスズメはカンゴに何を継げようとするのか?

結末は劇場で観てほしいけれど、

72時間という時間の中でそれぞれの事を知ろうと

意気投合する姿を凝縮した描き方は見事だったし、

知らない土地で日本人同士が出会うと意気投合し易いものだと感じるものだ。

全てがそうじゃないけれど、

それでも外国人よりも安心できるのは同じ国で生まれたからでもあれば、

話が通じる相手というのがあるだろうね。

いくら日本語を外国人が話せても日本の事を知らなければ

意気投合する事は難しくなってしまいがちですが、

その意味でも異国の地での撮影だからこそ描けた作品だと感じます。

1番感じたのは世代間ギャップかな?

それを上手く描いたのは北川さんの脚本力に尽きる。

総評として異国の地で72時間という限られた時間で意気投合して

お互いの事を知ろうとする姿は会った瞬間から恋に落ちたと言っても良い位の感じだし、

ラブストーリーを描いてきた北川さんの脚本力によるものでもある。

2年前のドラマでは得意としない部分を描こうとして

大失敗したがやはりラブストーリーの部分だけなら

時代を経てもその恋愛模様を描かせたらなかなか右に出る人はいない。

年齢を重ねた事でそれぞれの年代の恋愛の気持ちを理解できるようになった事で

今後は世代間による恋愛模様も描かれるとさらに違ったラブストーリーが

描けるのではないだろうかと思わせてくれた作品でした。

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