12日ロンドン五輪が閉幕した。今大会では日本勢は五輪史上最多となる38個のメダルを獲得し、

その中には史上初、四半世紀、半世紀ぶりという

長いブランクを経てのメダル獲得も目立つ大会でもありました。

金メダルこそ7個に終わりましたが振り返れば毎日メダルを獲得した大会も初めてでしたし、

予想外の競技でメダルを獲得した競技も多く総合力としてメダル数で

全体の6位と日本の強さを示す事ができた大会だったと思います。

そんな大会を振り返りながら次のリオデジャネイロへ向けて必要な事を綴っていきたいと思います。
世代交代が進んだ今回のロンドン五輪において多くの競技で連覇はなかった中で始まった訳だけれど、

期待通りの活躍を見せてくれた選手もいれば、

そうでなかった選手もいる一方でこの大会で歴史を作った選手たちもいた事を私たちは忘れてはならない。

それは今後同じ競技が続いていく以上必ずその歴史はロンドンから始まったという事になるからだ。

各競技を振り返りながらその後の事についても語っていきたい。

サッカー

このロンドンに風をもたらしたのは間違いなく男女のサッカーだっただろう。

なでしこジャパンはメダルが義務付けられていたが、

関塚ジャパンは当初は予選リーグ突破すら絶望視された。

しかし開幕戦でなでしこジャパンがカナダに勝利すると、

関塚ジャパンもスペインをまさかの撃破に成功して勢いに乗りそのまま予選リーグを突破!

そしてなでしこも関塚ジャパンも準々決勝に勝利して史上4組目の男女ベスト4入りを果たしました。

関塚ジャパンはこの時点で予想以上、なでしこジャパンはここまで当然という感じでしたが、

必ずしも順風だった訳じゃなく、耐え忍んでの準決勝だったと思います。

関塚ジャパンの総括は別にしますが、やはりなでしこジャパンについては

準決勝でフランスに最後まで猛攻を凌いで決勝まで勝ち上がったのは

国民栄誉賞チームとして最低限の責務だったと思いますし、

この時点で彼女たちの重責は十二分に果たしたと私は感じていました。

このまま金メダルを獲れればそれは良かったでしょうけれど、

やはり過去どのチームも成す事ができなかった事もあり、

やはり簡単には成し得られない物である事をある意味痛感したし、

まだまだ日本もこれから強くなる必要性がある訳で、これをゴールにしなくて私は良かったと思います。

これを達成してしまうと次の目標が難しくなるのも事実だった訳で

逆にこの結果で今後また五輪で金メダルを目指すキッカケになったと思う。

そしてこの1年でなでしこジャパンの環境が大きく激変した訳だけれど、

ただ現実に目を向けると代表でプレーする選手を含めても

プロ契約している選手は限られているのが現実だ。

競技人口も女子は多い訳じゃなく底上げも必要となる。

その上で現状日本のトップリーグであるなでしこリーグを観てもらえばわかるが、

INAC神戸の観客数ばかり目を引くが、

それ以外のカードとなるとJ1チームで所有しているのは浦和と新潟だけで、

日テレ、千葉はJ2チームである。

そしてその観客数も1000人超えれば良い方であり

とてもじゃないが有料で採算が取れる状況でないのが現実だ。

そのJ1、J2が所有しているチームでもその多くがアマチュア契約であり、

仕事をしながらプレーしているのが現実だ。

それも地域密着型で企業の協力なくしては厳しい現実がある。

JFLはJリーグと協力してJリーグのクラブにもレディースを所有する事を

望ましいというクラブライセンス条項を入れているが、

現実所有するためにはグラウンドの確保とそれに応じた資金力が生じる訳だ。

なでしこリーグが目指すのは選手全員プロ契約でプレーさせる事になるが

その為には最低でもJ2並の資金力が必要になる。

J2下位チームでも最低5億の運営費が必要で

それを下回ると運営が厳しく選手が集まらないのが実情だが、

なでしこリーグの多くの選手がアマチュア契約だという事を踏まえれば

住居こそクラブが寮などを確保して野球独立リーグのBCリーグを基準とすれば

月給15万をプロ契約の最低ラインとして出場給などをプラスした

最低限のプロ契約ができる環境が必要となるが、

それでも試合数を考えるとサッカーでは厳しいのが実態だ。

その人件費だけで最低8千万が必要であり、

寮などの確保にさらに3千万以上必要でそれだけでまず1億は超える。

さらにクラブ施設の維持費、スタッフの維持費、さらに遠征費、用具費、

スタジアム運営費などを考慮すれば完全プロ化には最低3億は必要となる。

これを最低基準にして10チームとすれば10チームで年間30億以上必要となる。

今のなでしこリーグの運営費からしても30億という金額は容易な数じゃないし、

J1チームがレディースに2億〜3億の維持費を工面する事は非常に容易な事ではない。

現実は想像以上に厳しい訳で、完全プロ化のハードルは非常に大きなものだと感じる。

ただ今のなでしこリーグを観ているとINACのような1部の資金あるチームに

戦力が偏ってしまっており各チームの戦力差が激しいのは非常に危惧している。

最低でも代表に選ばれる選手だけでもプロ契約できるようにしたいところだ。

ただレディースのU世代についてはそれぞれのJリーグチームがユースを持っているので

そこにレディース部門を作れば良いだけで、現実に浦和や新潟はそういう部門がある訳であり、

その点で空洞化する事は防げると思う。

殆どはなでしこジャパンの総括と今後についてとなったけれど、

これについては改善するハードルは高いが着実に強化したい部門である。

陸上

多分今回の陸上競技ほど日本勢が最も期待できない競技はなかったと感じるかもしれない。

かつては有森、高橋尚子、野口とアテネまで4大会続けたマラソン女子のメダルも

北京の野口の故障を境に選手層そのものが薄くなり、現状ずば抜けた選手が誰もいないのが実情だ。

男子マラソンに至ってはやはりアフリカ勢の独占で殆ど世界と戦えないのが現実だったりする。

それ以外の競技で唯一期待された室伏選手も銅メダル獲得がやっとだっただけに

今回が最後だと思うと次回のリオでメダルが期待できるのは

やり投げのディーン元気選手ぐらいしか見当たらない。

他の競技も良くて入賞が現実であり余程中学生世代から強化を図らなければ

世界と対等に戦うのは難しいと感じる。

1番五輪の花形競技でありながら1番メダルが期待できない競技になってしまっている事を

この大会でも痛感した。

柔道

日本のお家芸と言われた柔道も今回は世代交代が大きく進んでしまった事で男子は史上初金メダルなし、

女子が辛うじて松本薫選手が金メダルを確保したが、

それ以外はメダルこそ確保したものの金メダルを期待されている競技だけに

惨敗という印象が拭えないのが現実かもしれません。

ただそれで男子が銀2つ銅2つ、女子が金1つ銀1つ銅1つの計7つのメダルを

獲得しているので日本が衰退したというより各国のレベルが上がった結果

金メダルを容易に獲得できなくなったというのが現実かもしれない。

ただやはりお家芸復活へ向けて世代交代した選手たちが

次のリオで巻き返しを計る4年間になるのだと感じました。

競泳

期待された金メダルこそ獲れませんでしたが、

それでも競泳史上最高となる11個のメダルを獲得しました。

北島康介という偉大な選手でも年齢的な衰えは避けて通れない

現実を目にした訳でもありますが、その中で世代交代を感じさせるシーンもあり、

最終的には全選手が北島選手の背中を追いかけた結果

それぞれの種目でメダルを獲得できたと言って良いと思います。

そして最後の男女リレーで女子が銅、男子が銀を獲得し

総合力では十分世界で戦える事を証明したレースでした。

次の大会では北島選手のいない大会となりますが、

北島選手の背中を観た選手たちが必ずリオでは大活躍して

2大会ぶりの金メダルを獲得してくる事を繋いでくれたと思います。

体操

団体で金メダルを目指した戦いでしたけれど、

やはり中国のスペシャリストだけを集めた牙城を崩すのは容易じゃない事を感じた大会でもありましたし、

日本も山室の骨折というアクシデントで個人種目でも苦戦してしまいました。

総合では内村選手が待望の金メダルを獲得しましたが

オールラウンダーだけでは各種目でメダルを目指すのが難しいだけに

やはり内村選手の言う通りオールラウンダー2人、

スペシャリスト3人を要して次のリオを目指して方が良いと思います。

次のリオでは間違いなく内村選手が主役である訳で、そこに新星が現れてほしいと思います。

レスリング

女子は最も期待された競技だった訳ですが、

女子については吉田沙保里、伊調馨の2人が見事に3連覇を達成し、

そこに最初で最後の五輪となった小原日登美選手が悲願の金メダルを獲得してくれました。

浜口京子選手は1回戦で敗れましたが、

リオでは吉田沙保里、伊調馨の4連覇に続く48キロ級と72キロ級に

新しい新星が現れてほしいところです。

そして男子は米満達弘選手ソウル以来24年ぶりに金メダルを奪還する

というお家芸復活の狼煙が上がりました。

それ以外でも湯元進一選手、松本隆太郎選手が銅メダルを獲得し

次のリオではこれ以上のメダルを期待したいし日本レスリングの強さを示してほしいと思います。

ボクシング

長年この競技でメダルを獲得する事が困難だっただけに

今回日本人が不可能と言われたミドル級で村田諒太選手が

ボクシングに48年ぶりの金メダルをもたらした事は予想以上の結果でしたし、

清水聡選手もバンダム級で銅メダルを獲得するなど、

アマチュアボクシングもプロで数多くの世界タイトルを獲得している事を踏まえれば

十分メダルを目指せる競技だと改めて感じました。

次のリオでは村田選手や清水選手に続く選手が是非メダルを目指してほしいと思います。

バレーボール女子

長年メダルから遠ざかってきたバレーにとって

今回のメダルはバレーが再び世界で常にメダルを目指す

ターニングポイントになった大会だったと思います。

1度は予選突破すらできなかった時代を経て地道な強化が

実を結んだと言って良いでしょう。

ただここから再び世代交代を迎えるだけに

ここから4年が新チームに向けて始動していく事になるでしょう。

重量挙げ

やはり女子史上初のメダルとなった三宅宏実選手のメダル獲得は

この競技でのメダルのブランクも長いものでしたが、

女子選手の獲得そのものが快挙と言って良いものだったと思います。

期待度があまり高くなかっただけにこのメダル獲得は

新たなる歴史を作った瞬間を目撃できた大会となりました。

アーチェリー

こちらでも史上初の快挙としてアーチェリー女子団体で銅メダルを獲得したのは

これまた歴史的な快挙でした。

古川高晴選手も銀メダルを獲得し、個人でも、団体でも強化すれば

世界を目指せる競技と認識できたと思います。

バドミントン

北京でのスエマエでも銅の壁に阻まれた中で無気力試合による失格劇があったとはいえ

フジカキがバトミントンに史上初の銀メダルをもたらしてくれました。

特に準決勝では圧倒的な格下相手に絶対勝たなければならない中で硬くなりましたが、

それでも確り決められるのは世界で戦っている力があるからこそでもあり、

やはり実力での決勝進出だったと思います。

このメダル獲得で今後更なる強化が図られれば

次のリオでもメダルは十分目指せると思います。

卓球

これまで中国の壁に散々阻まれてきたメダルへの道は総合力で

世界ランキング2位まで押し上げた団体競技で史上初となる銀メダルを獲得してくれました。

特に福原選手にとっては20年の競技生活で念願だったメダルの獲得となり

天才卓球少女と言われた頃から知っているだけに彼女にとっては

悲願達成の瞬間は20年の思いが過ぎったのだと思います。

次のリオではいよいよ金メダルを目指して打倒中国に向けてさらなる成長を期待したいところです。

フェンシング

この大会でも太田雄貴選手が先駆者として史上初団体に銀メダルをもたらしてくれました。

北京大会でフェンシング史上初のメダルをもたらした

太田雄貴は団体でも銀メダルに導き太田雄貴はこの種目の先駆者になったのは間違いありません。

団体でメダルを目指せる競技として今後強化すれば金メダルの可能性に開けてくるだけに

リオでは是非1番輝くメダルを期待したいところです。

振り返れば本当に史上初、四半世紀ぶり、半世紀ぶりという多くの喜びを毎日味わえた五輪でしたし、

史上最多となるメダル数の獲得は地道な強化が結んだ結果だったと思いますし、

こういう競技をさらに強化して行けばメダルの色を大きく変える事ができると思います。

この4年で強化費が40億台から20億台に削減されてしまいましたが、

その中では各国の強化費を踏まえれば対価効果の高い成果と言えますが、

それでもこれ以上の結果を残すためには更なる支援が必要となる訳で、

今回史上初のメダル獲得となった競技への強化費増をして頂き、

さらに選手にスポーツだけに集中できる環境作りを是非してほしいところです。

大金を手にするだけが全てではありませんが、

やはり世界と戦うためには環境が必要であり、

そのためにはジュニア世代からの強化なくしてメダルはないのが率直な感想でもあります。

やはり優勝を狙える競技は2番ではダメなんです!

やはり1番を目指してこそ感動に出会える!

そう感じた大会だったのも事実です。

史上初のメダル獲得競技や復活した競技も数多くあっただけに

それらの競技が輝けるメダルを獲れるように更なるサポートをしていく必要があると思います。

次のリオではさらに感動できる場面、そして喜び合えるシーンに出会いたいですね。

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