11月11日公開の映画「マネーボール」を鑑賞した。

この映画はオークランド・アスレチックスのゼネラル・マネージャ(GM)ビリー・ビーンが

突出した数字に目をつけて他の球団が獲らない選手を獲得して

これまでの常識だった野球に挑んで覆す実話にストーリーである。

野球で勝つにはもちろんいい選手がいる事が1番の近道だが、

それには莫大な予算が掛かりお金持ち球団しか獲れないが、

お金のない球団でもやり方次第ではワールドシリーズへ行く可能性があり、

この理論は今のMLBの主流となっており本当に必要な選手とは?

そして本当に勝つために必要なチーム作りとは?

を教えてくれる事になるだろう。
MLBでは30球団に必ずGMというチーム編成を行う最高責任者が存在する。

残念ながらNPBではその役割を専門とする人が数少なく、

その多くは野球をあまり知らないフロントが行うか、

もしくは監督自らチーム編成をおこなっているのが現実だ。

もちろんGMというのはチーム編成を間違えれば

オーナーから首を宣告される事になるし、よりシビアな仕事ではある。

でもMLBではそうした役割文体が明確に行われており

責任の所在は明確である。

日本の場合はサッカーJリーグではMLBに近い組織となっており、

NPBは残念ながら野球を良く知らない独裁者に支配されており、

独裁者の一言で全てが覆ったり決まったりしている現実がある。

MLBとJリーグが確りした組織ならNPBは中小企業のワンマン経営者の集まりであり、

その中の独裁者で全てが決まってしまっているのが現実だ。

今何かと話題のGMについてこの映画では語られているし、

実際実在の人物である

オークランド・アスレチックスのゼネラル・マネージャ(GM)ビリー・ビーンの

お金だけじゃない編成、そして統計からはじき出した補強についても触れて行きたい。

果たして本当に勝つためにはどうしたら良いのか?

そしてお金を掛けずに金満球団に勝つためにはどうしたらよいのか?

編成、采配、経営などについてレビューしていきたい。

キャスト

ビリー・ビーン演じるブラッド・ピット

ピーター・ブランド演じるジョナ・ヒル

アート・ハウ演じるフィリップ・シーモア・ホフマン

スコット・ハッテバーグ演じるクリス・プラット

デービッド・ジャスティス演じるスティーヴン・ビショップ

タラ・ビーン演じるキャスリン・モリス

シャロン演じるロビン・ライト

ミゲル・テハダ演じるロイス・クレイトン

ジョン・メイブリー演じるデイヴィッド・ハッチャーソン

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

メジャーリーグの野球選手だったビリー・ビーンは、

引退後オークランド・アスレチックスのゼネラル・マネージャーとなる。

しかし、財政が苦しいアスレチックスでは、せっかく育てた有望選手を、

強豪球団に引き抜かれるという事態が続いていた。

チームの立て直しを図るビリーは、

統計データを使って選手の将来的価値を予測するという「マネーボール理論」を導入。

イェール大卒のピーター・ブランドと共に、チームの改革を進めていく。

結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとして現在は2011年シーズンに松井秀喜選手が所属した事で知られるけれど、

10年前の2001年シーズンにはジョニー・デーモン、ジェイソン・ジアンビーのスター選手を有し、

先発ではビック3と呼ばれたティム・ハドソン、マーク・マルダー、バリー・ジトという

3人で50勝以上の先発投手陣を有していた。

丁度イチローがシアトル・マリナーズと契約し

1年目でメジャーの常識を覆す活躍を見せたシーズンだったが、

それと同時にマネーボール理論が注目されたのも丁度この時代だ。

ちなみに2001年シーズンはアスレチックスは102勝しているが、

マリナーズはこの年に116勝している。

そんな2001年シーズンオフにアスレチックスはデーモン、ジアンビーを

FAで放出するという事態に直面し根本的な打線の見直しを迫られた。

1番と3番を一機に失うというのはチームにとって一気に軸を2つ失う事になるし、

やはり1番と3番の代わりはなかなか存在しないのも事実だ。

そこでビーンはこれまでと違う視点で選手獲得を目指す。

最もアスレチックスには総合的な予算が低く、

主力がFAになると殆ど引き止める事は不可能な状況だった。

MLBで最も金持ち球団は言うまでもなくヤンキースだけれど、

レッドソックス、メッツなど金銭面の有利なチームは

多くの高年俸選手を抱えられる。

対してアスレチックスのような予算が限られているチームにはそれができない。

その代わりにドラフトなどでは優遇を受ける事となり、

大卒の選手を起用して主力に定着させる方向性で運営している。

アスレチックスの場合はジョニー・デーモンもジェイソン・ジアンビーも

ティム・ハドソン、マーク・マルダー、バリー・ジトもそういう形で主力に育てた。

MLBでは3年で年俸調停権を得られ、1年を172日とし、

およそ6年分にあたる計1032日(故障者リスト登録期間も含む)メジャー登録された選手が

FA権を取得できる。

最初の3年はどう頑張っても年俸は抑えられるが、

3年活躍すると年俸が一気に跳ね上がり、3年でFA権を手にする。

要するに6年間は最低抱える事ができる訳だが、

その間に次のチーム作りも考えなければならないのがMLBの厳しさがある。

日本は現在FA権は国内と海外に分れており、7、8年で国内、9年で海外になる。

そんな財政難の球団にとってそれだけ3割打てる1番打者、

30本100打点を稼げる主砲を簡単に見つける事は当然困難だ。

そこでGMのビリー・ビーンは発想を変えて彼らの補う選手を数人で埋める事とした。

ここでまず予算が決まっているという事はそれだけ獲れる選手が限られるという事だ。

その中でどういう選手を獲得し、どういう使い方をするのか?というのがポイントになっていく。

まず野球という競技はどういう競技かという点だけれど、

勝つためには最低1点を取らなければならない事は言うまでもないけれど、

野球においてまず負けないためにはというところから入るのが本来のベストだ。

それはチーム防御率という指標だけれど、

総得点に対して総失点がはるかに下回ればチームとして当然負ける可能性は低くなる。

そこで注目するのは防御率の良い投手だ。

これは色々考え方があるんだけれど、2人に先発投手がいるとしよう。

1人はシーズン20勝をするけれど、防御率は4点台、イニング数200イニングの投手、

もう1人は防御率は2点台前半だが10勝、イニング数同じ200イニングの投手、

あなたならどちらを獲るか?

私の答えは後者の防御率2点台前半の10勝の投手だ。

確かに20勝というのはインパクトが非常に強いんだけれど、

ここで1番見落とされているのは確かに前者は20勝をしているんだけれど、

200イニングで平均4点取られているという点だ。

つまり言い換えれば打線が5点以上の援護がなければ勝つ事ができない。

当然4点台という事は先発の指標である

クオリティ・スタート(6イニング3失点以内)の達成できている回数が少ない。

しかし後者は確かに10勝しかしていないけれど、

クオリティ・スタートを数多く達成している回数が多いはずだ。

投手というのは残念ながら0には抑えられるけれど、得点を獲る事はできない。

セントラルリーグ、ナショナルリーグのように指名打者制がなければ

自分のバットで獲れるけれど、通常それは年間1度あるかないかという確率だ。

これはチームによっては打線の援護に恵まれないゆえに

10勝しかできていないという事もあるだろうし、

チームが変わる事で本来の防御率のままなら勝ち数が増える可能性があるという事を示している。

以前Twitterでダルビッシュがユーザーから勝利数と防御率どちらを優先しますか?

という質問に防御率と答えている。

やはり投手にとっては防御率こそ純粋な評価を受ける数字であり、

投手はいくらヒットを打たれたとしても0に抑える事が本来の仕事だ。

そして次に注目点としては四死球数だ。

これは投手にとって無駄に走者を出しているいないかの数字だが、

やはり投手にとって四球が少ないということはそれだけコントロールが良いという指数を表す。

そして奪三振数についてはイニング数より多く奪三振を獲れている投手は

ピンチの時に打たせたくない時に起用したくなる。

これはリリーフ投手にはとても有効な数字だ。

リリーフの場合は監督の起用法もあるけれどホールドという指標も出ているので、

登板した時点でセーブ同様に3点以内のリードしているか

同点か勝ち越した状況で投げたイニングを0に抑えれば

その抑えた試合は勝敗とセーブに関係ない場合に1として評価される。

ストッパーもまた勝っている時に登板すれば3点以内で

1イニングか3イニング以上登板した投手はセーブが付く。

投手の指標として防御率、四死球数の少なさ、奪三振数、ホールド、セーブ数が

自力で達成できる数値だ。

その中で対左、対右もしくは対戦打者の被打率を重視して

投手を起用する事も重視される。

ちなみに私が考える投手として最低限必要な戦力は

先発は防御率3点台前後のQSを20回できる先発投手3人と

年間30セーブ以上できる抑え1人、

40ホールド以上できるセットアッパーを2人がいればリーグ優勝を十二分に狙える。

3人いい先発がいれば6連戦の3試合は計算できるし3戦3連敗は避けられる。

やはり今の野球において抑え投手がいないチームは

リーグ優勝は非常に困難だという事だ。

抑えがいればあとはそこまでどうやってつなげばよいのか

はっきりするだけに抑え投手を決めて、

セットアッパーを2人以上いれば先発6回、

セットアッパーとストッパーの3人で1イニングづつ登板させればよい。

もちろん全試合という訳にはいかないし、全試合そういう展開になる訳じゃない。

そして打線についてだけれど、

ここで1番打者について2人に1番打者がいるとしよう。

1人は打率.300本塁打10本以上盗塁30盗塁するが、出塁率が.330の選手、

もう1人は打率.260本塁打5本前後盗塁30盗塁だが出塁率.400の選手、

あなたならどちらが1番打者に相応しい?

私は後者の出塁率.400の選手だ。

この数字からして一見前者の方が良さそうに感じるが、

そもそも1番打者は塁に出塁する事が1番求められている打順だ。

打撃は確かに前者が上だけれど、足の速さが同じでありながら出塁する

シーンが少ないと当然それは得点力の低下につながる。

MLBでは2番に強打者を置くケースが多いけれど、

MLBでは1つのアウトを相手にあげるよりチャンスを広げようという考え方がある。

当然出塁して足が速いとなれば投手は走者を気にする。

そこで2番打者はボールを絞り易くなり長打率が上がる。

ゆえに2番打者は長打率の高い選手が起用されるケースがある。

日本では犠打の成功率の高い選手が起用されるケースが多いけれど、

日本でも2番に強打者を起用した例として

1999年に現巨人の小笠原選手が日本ハム時代に犠打をしない2番打者として起用されたケースや、

巨人でも1999年に3割打者の清水選手が起用されたケースもある。

巨人では以前広角に打てる二岡選手を起用したケースがあったけれど、

それができたのはそれだけの強打者が揃っていたからでもあったんだけれど、

打線はやはり2番にどういう選手を固めるかで攻撃の幅が違ってくるし、

長打を打てる選手、犠打ができる選手を起用しても3,4番に

打点の多い選手を置く事で得点力が変わってくる。

大体打線の場合は1番から5番まで固定できれば

6番以降は流動的でも問題ないので

やはり1番とクリーンナップの重要性が打線の生命線となる。

ここを固定できないと打線は得点力は低下するのは否めない。

なお私が考える1番悪い事例は巨人の坂本勇人の1番起用だ。

この映画でもデーモンの出塁率が.324で出ていたけれど、

坂本勇人も3割を打った年こそ.357だったが、

2010年.332、2011年313と1番打者として出塁していないゆえに

巨人は今季得点力が大幅に低下した。

これを見れば打つから1番ではダメなのだという事がハッキリしている。

坂本選手は今季打率.262本塁打16本149安打打っているけれど、

今季阪神の鳥谷選手は150安打で3割を打ったが、出塁率が.395という成績を残している。

2人の成績を比べれば、もし同じショートでどちらが1番に相応しいか?

と問われたら間違いなく鳥谷選手が相応しいという結論になるだろう。

このように1番は出塁率の高い選手を起用し、

2番にもそれに近い出塁率の高い選手を起用すれば

それだけ3番にチャンスが広がっていく。

3,4番に求められるのは得点圏打率と打点だ。

ホームランが多いから打点が多いとは限らない。

色々な観点で観てきたけれど、チームにとって大事なのは

25人で戦う上でそれぞれの役割に応じた起用とそれに見合った選手が揃えられるか?という事だ。

視点を変える事でチームを変える事ができるとビリー・ビーンは実践して示した。

結末は劇場で観てほしいところなんだけれど、

チーム作りに置いて1番必要なのはチームにとって

バランスよく選手を集められるのか?というところだ。

いくら予算があってもいいチームを作れるとは限らないし、

予算が無いから良いチームと作れないとも限らない。

選手を獲る上で1番重要なのはその数値を重視しつつ

どういうチーム作りをするかが重要だ。

ビリー・ビーンはこの映画の中で限られた選択肢の中から必要な選手を探し出している。

どの球団にもそういう本当に必要とするのは何なのか?

というのを突きつけられたのかもしれない。

総評として表に出る数字よりも表に出ない数字に着目する事は

それだけ才出た能力を見抜く事にもなるし、

そこから本当に必要な選手は誰なのかを知っていく事に繋がる。

ここ一番走れる選手、ここ一番チャンスに強い選手、

絶対左打者を抑えられる投手などなど1つ才出たものがあれば

チームには必ず必要な戦力になるのだという事だ。

お金では優勝を買えないけれど、お金がないから優勝できないというのは

当てはまらない事をビリー・ビーンは教えてくれたと思うし、

必要な部分を見逃さない事が重要なのだと思います。

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