9月23日公開の映画「セカンドバージン」を鑑賞した。

この映画は2010年10月に放送されたNHKドラマ「セカンドバージン」の劇場版で、

17歳年下の男と不倫した出版社の編集長の女性が

5年前に疾走した男を偶然見つけるもその男は銃弾に倒れ、

生死を彷徨う男を看病しながら出会ってからの回想をしていくストーリーである。

NHKでは珍しく評判の良かったドラマの映画化となったけれど、

ストーリーの展開に欠如があり、

不倫の末に迎える結末を考えると

ドラマの枠を超えるべきじゃなかったのではないかと感じてしまうかもしれない。
NHKでは確かハゲタカが評判良く映画化して成功したけれど、

今年はセカンドバージン以外にもツレがうつになりましてを控えているので

NHKドラマも民放各局のような感じでヒットを狙おうとしているようだが、

民放の場合は連ドラの映画化以外にも独自企画での

映画化も多数手掛けているので連ドラの映画化をしたとしても手馴れている。

しかしNHKの場合は民放と異なり受信料で放送が成り立っているテレビ局故、

これまであまりNHKドラマの映画化という点では民放よりノウハウがないのは否めないとしても、

あまりにもヒットドラマの映画化に走ってしまった感じだ。

私自身セカンドバージンを視聴していないのでどういう流れで

どういう結末を迎えたのは実は知らない。

そういう人が観ているのもあるが、

それを差し引いても単独でこのストーリーを理解しようとするのはかなり難解だったりする。

実際にどうしてわざわざマレーシアまで撮影に行く必要があったのか?という事もあるし、

殆どの主要キャストは3人しかいない。

他は殆どエキストラで成立する映画も最近では珍しいが、

とにかく私が感じた限り酷かったと言わざる得ない内容だった。

どうして酷かったのかをレビューしていきたい。

キャスト

中村るい演じる鈴木京香

鈴木行演じる長谷川博己

鈴木万理江演じる深田恭子

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

出版業界では名の知れた辣腕専務、中村るいは、

出張先のマレーシアで鈴木行と運命の再会をする。

彼は、るいよりも17歳下で、既に万理江という妻がいたが、

かつてふたりは激しく愛し合った恋人同士だった。

日本から遠く離れた異国の地での思いがけない再会――

しかし、行は彼女の目の前で突然銃弾に倒れてしまう。

なぜ、行はこんなことになったのか?

なぜ、5年前、何も言わず彼女の前から突然姿を消したのか?

るいの脳裏に、行との思い出が蘇ってくる・・・・。

金融庁のキャリアを捨て、ネット証券会社「モンディアーレ証券」を立ち上げた

野心溢れる行に興味をもったるいは、彼の著書を出版し、大ヒットさせて時代の寵児にした。

行はるいより17歳も年下で、しかも万理江という妻がいたが、

やがてふたりはお互いを激しく求めあうようになる。

「17歳年下のあなたを愛してから、誇りも自信も一気に崩れ去ったわ。

年を重ねることなんか、ぜんぜん怖くなかったのに・・・・自分の年齢が辛くなった――」

若くして離婚して以来、男を愛さず、仕事一筋に生きてきたるいだったが、

一途に、情熱的に愛を語る行に強く惹かれていく自分を押さえることは出来なかった。

ふたりの愛に立ちふさがったのは、思いがけない事件だった。

(るいと行の関係に気付いた万理江の告発により)

「モンディアーレ証券」が金融商品取引法違反で摘発され、行が逮捕されてしまったのだ。

仮釈放されたものの、全てを失い、抜け殻のようになってすさんだ生活をおくる行。

るいはそんな彼をありのまま受け止めようとするが、

行にとっては、るいの力強い愛情が重荷になっていく・・・。

すれ違うふたりの想い――抱き合えば、誰よりも深く理解し合えたのに――

そして突然、行はるいの前から姿を消した。

突然の別れから5年―――

日本から遠く離れたマレーシアの密林に囲まれた病院で、

コーランが遠く聞こえる中、生死の境をさまよう行。

触れられるほどそばにいるのに、切ないほど彼を遠く感じるるい。

「どんな行さんも好き・・・今も昔も・・・あなたは私の命よ」

そしてふたりの前に、思いがけない人物が現れる・・・・

以上セカンドバージンHPより


結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとして、

これ描く意味があったかな?

と思うほど何故?

という感じの映画になってしまっている。

その理由は言うまでもなくドラマを観た人じゃないとわからないような作り方でもあるんだけれど、

ドラマを映画化する場合は連ドラの続編を描く上で独立性を求められるケースも少なくない。

確かに連ドラの続きは劇場でというケースもあるのだが、

それを差し引いても連ドラを観ていない人でも入り込めるような演出が必要だった。

ちょっとドラマの最終回当りを調べてみると

ドラマではシンガポールで行が殺害された事になっている。

という事は最期だけをシンガポールからマレーシアに変わり、

そこで行の最期を迎えるというシナリオに変更しているが、

ドラマ視聴者ならその流れでもどうしてるいと行が恋に落ちてしまい

転落して行ったのかが理解可能だと思うんだけれど、

そうじゃない人が観てしまうとハイライトで描かれてしまっており

恋に落ちてしまった訳が解らずに過ぎてしまう感じだ。

ドラマなら40分×10回なので時間的にも描きやすいんだけれど、

120分しかない映画ではこれを短く埋めるにしたとしても

そこまで行く過程を通して描かなければいきなり亡くなる直前だけ

という描かれ方でその回想だけというのは・・・

確かにこれまで色々な回想を軸とした映画を観てきているけれど、

そこに辿り着くまでに駆け足で駆け巡るものの、

確りしたポイントを描いている。

しかしこの映画の場合そのポイントとしてるいと行の恋に落ちたシーンがキスシーンだったのか?

と思うとその途中が抜け落ちていないか?と感じてしまう。

会いたいと何度もメールを送りながら社員同伴で対面し、

その直後車でキスシーンってね・・・・

その途中の過程をどうして入れなかったかな?と思うし、

ドラマで描かれたというM&Aによる違法取引の逮捕された理由も

誰がこれを告発したのか描かれていないので、

ドラマで万理江が告発したという事すら映画では語られていないので、

これだと全てるいが悪い事になって描かれている感じになる。

これだと万理江は悲劇の妻って感じにしかならない。

ドラマではその部分が確り描かれているから一概にるいだけでなく、

万理江も悪かった部分として捉えられたのだろう。

だから必ずしもるいだけが悪者という感じで観る事がないのだろうが、

この映画の描き方だと万理江は非のない悲劇の妻で終盤のシーンで

るいをブツシーンを観るとるいがブタれて同然であり、

付き添う資格なしという見方しかできない。

ゆえにこの映画だけしか観ていない人にとって

るいが行を強引に出版させ、その勢いで行がるいと関係を持ったまま

泥沼になったところでM&Aで有罪を受ける流れになるので

ここで万理江が何もしてないようにしか映らない。

終盤で万理江が行との回想シーンがあるけれど、

幸せだった時の事しか描かれておらず、

るいがどうして万理江に態々行を探しに万理江の自宅へ行ったのか理解しかねる。

いくら何でも不倫相手の妻に面識なしにあったように感じるし、

M&Aで逮捕されるまでに万理江が描かれていないのでその過程がサッパリわからないのだ。

ゆえにこれを成立させるのに納得した描き方がされていないというのが

私が観て感じる部分なのだ。

だって万理江の出番が行が行方不明になった後と面会に来たシーンだけですからね。

本来は回想シーンでるいと行が不倫関係に陥ってその後M&Aで捕まるシーンまでの間に

登場しなければならないはずなのにそこがどうして省略したのか?という感じだ。

恋に落ちてしまった理由をこの映画だけで理解しなさいというならかなり厳しいと思います。

確かに17歳年下の男と恋に落ちる事はないとはいいません。

ただそれを20年間男を知らないという理由の中で

明確な心理絵写を短時間でも描かないと訳が解らないまま

ストーリーだけ進んでしまうという事になるのだと・・・

総評としてドラマ視聴者しかわからないような描き方をした時点で

この映画は失敗だったと言わざる得ないし、

万理江の存在があまりにも軽視した描き方をしたために

肝心のキーワードが見えない中で終わってしまった。

ドラマの最終回だけ違う終わり方をしたいと考えたのだろうが、

それにしても回想シーンで肝心なところが抜け落ちている事に

数多く映画を観てきた人にとっては完全なるコマ落ちしているとしか観れない。

こういう事に手馴れている民放の連ドラの映画化なら

こういう事態には陥らなかっただろうけれど、

そういうノウハウを確り持ってないと何故?

という中で終わってしまう作品だと思う。

それ以上にこういう別の結末を描くならラストシーンから始めるのではなく

確り最初から最後まで流れの中で描くべきだったと思う。

ヒットしたドラマの流れに乗って制作するのは結構だが、

制作する上で観ていない人でもポイントをわかるようにするか、

独立性をもって描いてもらわないと映画として上映する意味合いが何処にあったのかな?

と感じてしまうので、人気ドラマの描き方をこの映画で改めて考えさせられた。

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