11月20日公開の映画「レオニー」を鑑賞した。

この映画は世界的彫刻家イサム・ノグチの母親である

レオニー・ギルモアがイサムを産んで、

日本でイサムを育てそしてイサムが成長してから

亡くなるまでを描いたストーリーである。

20世紀初頭の明治時代にまだ外国人に対して

偏見が少なくなかった日本において頼る人も少ないで中来日し、

イサムを育てていく姿には母としての強さと孤独の中での

葛藤が描かれ天才を育てたその生涯に対して時代の生き様を感じるだろう。
天才を育てる環境もあるんだけれど、

時代が時代だとその環境はある意味運命的なものになる事がある。

今回登場するレオニー・ギルモアは

世界的彫刻家イサム・ノグチの母親であるが、

当時国際結婚という国境を越えた結婚は許されなかった時代でもある。

帝国主義で軍事的な敵対などもあり、

今のように国際結婚が容易に行く時代じゃないし、

日本はまだまだ外国人の受け入れに寛容でない時代だ。

そんな中1人でイサムを産み、そしてイサムと共に日本へ来日して暮らし、

娘のアイリスを産んで育てる姿はこの時代において困難を極めただろう。

そんなイサムの母レオニーの生き様をレビューしたい。

キャスト

レオニー・ギルモア演じるエミリー・モーティマー

野口米次郎演じる中村獅童

津田梅子演じる原田美枝子

小泉セツ演じる竹下恵子

川田道彦演じる柏原崇

キク演じる吉行和子

仙田東舟演じる中村雅俊

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

1901 年、米国の名門女子大学を卒業し教職に就いていた

レオニー・ギルモアは、ニューヨークで

新進気鋭の日本人詩人ヨネ・ノグチこと

野口米次郎に雇われ念願の編集者になる。

文学上のパートナーだった2人の関係はやがて恋愛へと発展し

レオニーは妊娠するが、ヨネは逃げるように帰国してしまう。

意を決して男子を出産したレオニーは、

日露戦争を経て日本人への差別が激しくなると

幼い息子と共に日本へ旅立つのだった。

結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとして20世紀に入ったばかりの世界は

帝国主義で戦争の絶えない時代だった。

日本は当時日露戦争直前であり、

イサムが生まれた頃は日本がロシアに奇跡的な勝利を上げて

世界を驚かした時期でもある。

そんな時代にのちにイサム・ノグチを産むレオニーは

新進気鋭の日本人詩人ヨネ・ノグチこと野口米次郎と出会う。

ヨネはニューヨークで詩の編集をしてもらえる人を探していた。

そこにレオニーがヨネとの運命的な出会いをするのだった。

ヨネと出会う前にレオニーは当時留学していた

津田梅子と出会っている津田梅子は

のちに津田塾大学となる女子英学塾を設立する訳だけれど、

当時日本で英語を教える教育機関が少なく、

女性でも英語を話せる時代をと設立したのが女子英学塾である。

それは日本へ行ったあと再会する事になるのだが、

レオニーは念願だった編集者になれた事が嬉しかった。

そんな中でヨネとは自然と恋愛感情が芽生えていく。

そんな中日露戦争でヨネはニューヨークで

仕事をできる環境でなくなり帰国する事になる。

そんな時レオニーはヨネの子供を妊娠していた。

それがのちのイサム・ノグチな訳だけれど、

ヨネはそれを信じたくなく、逃げるように日本へ帰国したのだった。

この時代において国際結婚そのものが難しかったし、

子供が産まれるという事を想像していなかったのだろうと思うけれど、

父親として考えれば完全に無責任な父親という印象しかない。

そんな失意の中レオニーはカルフォルニアの実家へ向かい、

そこでレオニーはイサムを産んだのだった。

ただ時代背景としてハーフの子供は差別を受けやすい時代であり、

日本人の血が流れるイサムは差別の標的であった。

そんな中でもたくましくイサムを育てるレオニーは強かった。

そんな中日本にいるヨネから日本へ来ないか?という手紙が届く。

普通逃げ帰るようにして日本へ帰国しておいて

日本に来るような手紙を書く時点で

いったい何を考えているのだろうか・・・と思いますけれどね。

しかしレオニーをその手紙の返事を了承し

イサムを連れて日本へ渡るのだった。

しかしレオニーは日本語が全く話せず、文化にも大きな戸惑いがあった。

そんな中ヨネの計らいで英語を教える職と編集者の職を紹介した。

世間からは悪口を言われたりしたりしたけれど、

幸いっこでレオニーを日本語をそれほど覚えようとしなかった。

それがある意味何を言われているのかわからないままに

なっていた事で精神的な重圧が通常より軽減されていた

という時代背景がレオニーをたくましく生きる事ができたのかもしれない。

しかし日本で住み始めてから様々なトラブルが絶えず、

ヨネとは妻を抱えている事で裏切られた気持ちにさせ、

親しかった人との子供を妊娠しアイリスを密かに産んでいる。

アイリスが一体誰の子なのかという点については

この映画では最後まで明かされないが、登場人物の誰かなのだろう。

そんな中レオニーは学校に馴染めないイサムに家を設計させる。

そこでイサムは大工から家の作り方を学び、

自らももっと勉強したいという気持ちになり

祖国であるアメリカへ渡る事を決意し、

レオニーはそれを認めるのだった。

しかしその頃世界では第1次世界大戦が始まり

イサムはレオニーとの連絡がつかない状態となり

消息が不明になってしまったのだった。

果たしてイサムはどうなったのか?

そしてレオニーは再びイサムと再会する事ができるのか?

結末は劇場で観てほしいけれど、

激動の時代にかわいい子には旅をさせよ

という言葉通りの育て方をしたレオニーは、

あくまでイサムに実践に勝る勉強なしという教育をしていた。

これも自らが教師だった事もあるんだろうけれど、

やはり何事も実践をやらなければわからない事がある

という自らの経験もあるだろうし、

何もわからない中で日本へ来日したレオニーは

その経験から何もわからないところだからこそ

他では経験できない経験をする事ができるという事を

イサムに教えたかったのかもしれない。

イサムも一度は医者の道を歩むものの、

そこでレオニーは芸術家の道こそあなたの道というアドバイスを送る。

確かにイサムは元々芸術的な才能はずば抜けていた。

それを確り見抜いていたレオニーの先を見る目はある意味凄いけれど、

彼女の子育ては総じて実践に勝る勉強なしという事になるだろう。

総評として激動の時代に何もわからないまま日本に来日して、

子供を育てて1人でもう1人を出産した

その生き方は助けの得られない中でも

強く生きる事こそ大切というメッセージを感じるし、

どんな厳しい環境でも生きていける事を

そして育てていける事を示している。

その生き方から私たちはただ厳しいだけでなく

愛情を注いでこそ伝わるものなのだという事をレオニーを最後まで導いた。

天才を育てるにはかわいい子には旅をさせ、

実践に勝る勉強なしという方針の方が自ら考え、

そして切り開いていく力を身につけていくのかもしれないと感じました。

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