10月16日公開の映画「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」を鑑賞した。

この映画は時給11万2千円の高級バイト料で

7日間の心理実験を行うが、

そこで殺人事件が発生し事件の犯人捜しと生き残るための

サバイバルゲームが繰り広げられるストーリーである。

高いほど危険な仕事はないというし、

心理的に殺意を生み出していく様は

このゲームの主催者が1つのゲームとして楽しんでいる

悪意を感じる事になるだろう。

ホリプロ所属俳優総出演という同じ事務所だけの配役も珍しいけれど、

これだけの人たちが揃うのも珍しいけれど、

同じ事務所だからこそできたキャスティングでもある。

映画は久しぶりのサスペンスストーリーという事で

時給11万2千円という金額そのものが信じられない訳だけれど、

このゲームそのものが最初から殺人ゲームという訳でなく、

この空間が殺人ゲームを作り、

それを演出する事そのものが殺人ゲームを作り出している

というのがこのストーリーの根源となる。

人は不安に駆られると防衛反応を起こしてしまうものだけれど、

それが追い込まれれば追い込まれるほどその殺意が生まれてくる。

果たしてここに集まった10人は最後まで生き残る事ができるのか?

キャスト

貧乏なフリーター結城理久彦演じる藤原竜也

謎の美人元OL須和名祥子演じる綾瀬はるか

トラウマをもったWebデザイナー関水美夜演じる石原さとみ

統率力ある研修医大迫雄大演じる阿部力

結婚が命のネイリスト橘若菜演じる平山あや

リストラにあえぐ中年西野宗広演じる石井正則

最年少の単独プレーヤー真木雪人演じる大野拓朗

無口なはみだし者演じる岩井荘助武田真治

ミステリーマニアの主婦渕佐和子演じる片平なぎさ

アル中の元社長演じる安東吉也北大路欣也

以上のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

リーターの理久彦は、謎の美女・祥子に紹介された

時給11万2000円のアルバイトに参加する。

その内容は、暗鬼館という場所で、

男女10人が7日間暮らすという心理実験らしい。

久利彦が与えられた部屋に入ると、

そこにはベッドなどの他に、謎の箱があった。

その中には火かき棒が入っている。

これは武器なのか…?

次の朝、ある参加者の遺体が発見された。

暗鬼館のルールでは、誰かが“探偵”になり、

“犯人”を決めなくてはならないという…。

結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとして時給11万2千円のバイト料を目当てに集まった

10人は7日間の実験に参加する事になる。

実はこの実験はインターネットなどを通じて

視聴する事ができるようになっているが、それを10人は知らない。

そしてそこで暗鬼館のルールが言い渡された途端10人の表情が一変する。

ルール1 ひとりにひとつずつ鍵のかからない部屋が与えられる

ルール2 ひとりにひとつずつ異なる殺傷力を備えた凶器が与えられる

ルール3 22時から翌朝6時までは自分の部屋から出てはならない

ルール4事件が起きたら、”探偵”は解決せよ

ルール5”探偵”の解決が正しいかどうかは多数決で決定せよ

ルール6 多数決で”犯人”が決まったら”探偵”は”犯人”の投獄を宣言せよ

ルール7 実験終了は7日目を迎えるか、”生存者”が2名になった時点とする

ルール8 なお、当バイト、下記の特別手当てあり

     探偵ボーナス・・・報酬2倍

     犯人ボーナス・・・報酬2倍

     死体ボーナス・・・報酬2倍


以上のルールが暗鬼館のルールだ。

これはつまりルール上では事件が起きた時の想定がなされている訳で、

これを聞いた時点で10人はこのバイトで事件が起きるんじゃないか?

という疑心暗鬼に襲われている。

確かに7日間何も起こらなかったら

1612万8千円もらえる訳だから・・・

何も起こらなければ・・・

ただこういう状況に応じて必ずと言って良いほど

不安に駆られる人が出てくるもので、

当然のようにこの中に殺人鬼がいるんじゃないか?

犯人がいるんじゃないか?

という疑心暗鬼を初日で持つ事になった。

しかもそれぞれの個室にはそれぞれの凶器が

存在する事でその謎をさらに深めて行く事になる。

初日は各自自己紹介をして終わったけれど、2日目に事件が起きた。

事件は参加者の西野宗広が何者かに殺害されたのだった。

殺害方法は銃撃によるものだ。

参加者の結城理久彦の部屋には最初は火かき棒だったが、

事件後どういう訳か銃にすり替わっていた。

そして最初に探偵役となった大迫雄大が

この状況で犯人は岩井荘助だと断定し多数決を取る。

実はこの多数決最初の出会いから

その後にそれぞれ何かあった時には賛成に回る事を根回ししていた。

その多数決は賛成は大迫雄大、橘若菜、真木雪人、渕佐和子、

反対が結城理久彦、関水美夜、安東吉也が回り

須和名祥子だけが決めかねていた。

ここでドローにすればこの推理はなしになったところだが、

須和名祥子はどういう訳か棄権してしまう。

それにより岩井荘助は投獄されるのだった。

これでこの暗鬼館のルールを熟知した事で

このバイトが恐怖のバイトだと錯覚するのだった。

確かに殺された事で誰かが犯人だと感じるのは仕方ないだろうし、

誰が犯人か?という疑心暗鬼に襲われる訳だ。

この事件に対して検証すると

どうして拳銃が結城理久彦の部屋の火かき棒とすり替わったのか?

しかもその拳銃には1つも銃弾が使われていなかった?

それを意味するものとは?

一体何なのだろうか?

そして事件はこれに留まらない。

その連鎖で次々と殺人事件が起きて、

それぞれ参加者による殺し合いが始まってしまった。

それにより残されたのはわずか3人・・・

果たしてこのゲームで生き残るのは誰か?

そして犯人は誰なのか?

結末は劇場で観てほしいけれど、

わずか3人になるまでの殺人事件は本当に疑心暗鬼から起きたものだった。

参加者の1人が死に、そこから残り9人しかいない場所で

誰が犯人なのか周りは疑い続ける。

でも実際には最初の事件で犯人は9人の中にはいなかったのだった。

確かにこの場では凶器となるものは10しかない。

その10の中のどれかで殺されたとなれば当然10人の誰かを疑うし、

それにそれぞれの部屋を自由に入る事ができる事で

凶器のすり替えも容易にした。

これにより誰が最初に持っていた凶器を知らずに

過ごす事になったのだった。

初日にそれぞれの部屋の凶器を見せなかった事で

さらに周りを疑い続ける事になる訳だ。

そしてラストでは衝撃的な結末を迎えたんだけれど、

そのラストを観た時これほど心理を突かれ、

心理に押し潰されるのが人間なのだという事、

そして本当に何を信じて何を信じないべきなのか?

という事を感じるのだった。

総評として、このゲームは最初から殺人を前提にしていないゲームだ。

ただ人はそういう所にそういう事件が

起きた時の想定されるルールがあると

そういう事件が起きるものだとどこかで錯覚してしまうものだ。

冷静に考えればそれぞれを信じ合えれば

起きない事件も信じられなければ起きるという事を実に上手く演出していた。

最後のシーンでお金より大切なものは何なのか?

を生き残った人たちは感じる事ができただろうし、

そういうラストシーンで良かったと思う。

実際にこういうバイトがあったら犯罪だけれど、

こういう状況に追い込まれた時本当に信じる者はそれぞれの常識、

それぞれの情報に惑わされない事が大切だという事を

痛感させられる7日間の臨床実験でした。

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