8月14日公開の映画「キャタピラー」(R15+指定)を鑑賞した。

この映画は第2次世界大戦期の日本を舞台に

赤紙が届き戦地へ向かった1人の兵が名誉の負傷で帰国したが、

帰国した兵は手足を失い、言葉も話せないほどの状況で戻ってきた。

それを介護する妻は軍神を崇められる夫の介護に

次第にやり切れない思いになって終戦を迎えるストーリーである。

戦後65年を経るけれど、戦争を通じた映画は数多く描かれているけれど、

負傷した兵のその後を描かれた作品は

なかなか無く戦争の無残さと戦争の後に残される後遺症、

そして生きて戻ったもののその人生の殆どを失う姿が

まざまざ描かれておりこれが戦争だという事を

思い知らされることになるだろう。
第60回ベルリン国際映画祭で、

寺島しのぶが最優秀女優賞を受賞した作品として

一躍注目を集めている作品だけれど、

思えば戦後65年を経て戦争を語れる人が減っている現実がある。

世界のどこかでは戦争が今だに続いている訳だけれど、

日本人は敗戦からアメリカなどに守られながら平和な生活を送っている。

その戦争も殆どは悲劇であり、戦争で失った事は多い。

その中で亡くなって逝った人たちばかりでなく、

生きて苦しんで帰国した人たちも少なくない。

その現実をまざまざ描いたのが

この「キャタピラー」だ。

戦争で手足を失っただけでなく、耳も聞こえず、

話せない生きた屍というべき夫を妻が支えていく姿が描かれている。

この現実を受け止めて介護していく妻の姿に介護の中の性

という事が描かれていく訳だが、

私たちは障がい者の性を考える機会が実に少ない。

健康な人にはできない障がい者の性への理解も必要なのかもしれない。

戦争の残酷さと残された者たちの苦悩をレビューしていきたい。

キャスト

戦地で負傷し戻った夫久蔵を献身的に支える黒川シゲ子演じる寺島しのぶ

戦地で負傷し手足、耳が聞こえず、口も話せなくなった

黒川久蔵演じる大西信満

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

第2次世界大戦中の日本。シゲ子の夫・久蔵にも赤紙が届き、

勇ましく戦場へと向かったが、

戦争から戻った久蔵の顔は無残にも焼けただれ、四肢を失っていた。

村中から奇異の目で見られながらも、

多くの勲章を得た久蔵は「生ける軍神」として崇められ、

シゲ子は戸惑いながらも久蔵の尽きることのない食欲と性欲を埋めていく。

やがて日本に敗戦の影が色濃く迫り、

久蔵は自ら戦場で犯した悪行に苦しみ始める。

結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとして戦争に行って生きた戻れたものの、

その体は手足を失い、耳も目も話たり聞ける事もできずに

それでも生ける軍神として崇められる。

妻のシゲ子はそんな現実は最初を受け入れる事ができなかった。

確かに亡くなる現実を受け入れる事も難しいのに、

生きて4体を失って戻ってきた夫を受け入れる事はもっと難しい事だ。

それ以上にその夫が軍神を崇められる

という事が余計夫との関係と介護を難しくさせる。

最もこの時代の多くは夫は亭主関白、妻はその夫を献身的に支える。

その典型的な夫婦ではある。

そして夫が戦地へ行き名誉の負傷をした夫は軍神として崇められ、

それを支えなければならないという現実は

本当に困難を極めると言わざる得ない。

そしてシゲ子と久蔵の戦後までの介護生活が始まる。

そこで注目なのは人間は食欲、性欲が必要であり、

例え4体を失っても尽きないという事だ。

これはそういう障がいを持っている人たちも同じであり、

介護を通じてこの時代では戦争の無残さを感じていく。

今まで夫に服従する立場だった妻のシゲ子は

逆に夫を服従させる側にも回る。

現実に次第にやり切れないさまが描かれていくのだが、

その夫久蔵もまた戦場で犯した罪に苦しむのだった。

戦場では色々な事がある訳なんだけれど、

戦場ではここで描かれているように美談なんてなく、

一般民衆を襲撃する現実がある。

その現実を目の前にした時には我に返り精神的に崩壊するものでもある。

最終的には夫の久蔵も精神的に耐えられなくなり、

自らの罪を認め最期を選ぶんだけれど、

戦争では当然人と人が戦うから人殺しをするのは当然だけれど、

それを戦後精神的に苦しんでしまった人も

少なくないという事を認識しなければ戦争の悲劇は消えないだろう。

総評として戦争を題材にした映画は数多いけれど、

一般兵に焦点を当てた映画は少なく、

障がいを追って戦地から戻った後の事を描かれる映画は実に少ない。

さらにそこに帝国主義から来る軍神と崇められていた現実、

さらにはそこにある夫婦間の性を見事なまでに描き、

さらにその苦しさの葛藤を描いたのは実に見事だと言えるし、

これが現実にあった出来事の1つと

私たちは確り捉え戦争の残酷さを改めて

感じる人が必要なのだと実感した次第です。

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