23日公開の映画「重力ピエロ」を鑑賞した。

この映画は伊坂幸太郎原作の重力ピエロを映画化した作品で

連続放火事件が多発する事件の謎を追う大学生とフリーターの青年が

事件を追ううちに家族の過去の秘密にたどり着くストーリーである。

原作は未読ながら鑑賞しているうちに

この家族の境遇から事件への経緯が20数年前の事件に直結しており、

その血で争えない事件に誰かが救って上げれなかったものなのかを

考えさせられる作品となった。
DNAがもたらした事件という事で、

冒頭から結末までの経緯を紐解いていくとどうしてこうならなければ

ならなかったのかを理解する事はできる。

ただこれはその境遇に置かれて人でなければ理解し難いものであり、

中にはどうしてこのような結論に至ったのかを考えてしまうかもしれない。

内容として理解しつつもやった事は許されない事だし、

逆にこの事件をどうして救って上げられなかったのかを考えてしまう。

裁判員制度が始まった今このような事件を止められる術が

私たちは持つ事ができる時代となった。

そう考えていくとこの事件は防ぐ事ができたのかもしれない。

そんな事を思いながらレビューしていきたい。

キャスト

大学院生で事件の中で遺伝子に関するキーワードを見つけて

謎を解いていくがその先には自らの家族の秘密に辿り着く

奥野泉水演じる加瀬亮

泉水の弟で落書き消しの仕事をしている。

天才的な絵の才能を持つがその落書きからこの事件の

謎に関わっている事になる奥野春演じる岡田将生

元公務員で泉水と春の父親、事件の鍵となる

20年前の出来事の決断をしている奥野正志演じる小日向文世

泉水と春の母親で20年前の出来事で現在の事件に関わる

奥野梨江子演じる鈴木京香

春をひそかに追い続ける女で春の行動を全て見ている夏子演じる吉高由里子

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

遺伝子研究をする兄・泉水と、

自分がピカソの生まれ変わりだと信じる弟・春。

連続放火事件を追う二人が直面する、

その謎に隠された圧倒的な真実とは!?

「重力」とは何か、「家族」とは−溢れくる未知の感動に涙する。

家族には過去に辛い出来事があった。

その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件が起こる。

謎の連続放火事件。残された謎の落書き。

落書きと遺伝子暗号の奇妙なリンク。

すべての謎が解けたとき、

24年前から今へと繋がる家族の”謎”が明らかになる−−

結末は劇場で観てほしいけれど今回のレビューとして

この事件は悲劇の事件と考えて良い事件なのかもしれない。

冒頭から春は何時も兄の泉水と一緒に行動しているけれど、

いきなりバットを持ってレイプしている

奴らをやっつけに行くシーンから始まり、この先どうなるのか?

と思ってしまったが、事件の始まりは常に落書きされた場所の周辺で

起こっている放火事件からこの事件に何かの謎が

あるのだと泉水は感じ始める。

その周辺に書かれた落書きから何故か遺伝子記号がある事に気づく泉水、

その遺伝子から謎を追っていくのだが、

確かにこの時点からどうして落書きが書かれている周辺で

放火事件が起こるのか最初は良く解らない。

しかし事件が経過していくことで

この事件が家族に関わる謎にも迫っていく事になる。

奥野家はかつて仙台の住宅地で住んでいた。

4人家族であり父親は公務員、母親は元モデルだったが雪道で

動けなくなっているところで偶然出会ったことで両親は結婚した。

最初に泉水が生まれ幸せな生活をしていたが、

ある事件でこの家族に暗い影を落とす事になる。

その事件というのは計30人をレイプした高校生によるレイプ事件だった。

その事件に母親の梨江子は巻き込まれてしまっていたのだ。

その犯人は後々捕まり少年院に送られ更生プログラムを経て

7年で社会復帰している。

そしてその時に妊娠してしまった梨江子は正志の決断により

出産するのだった。

ここまで書いてくると事件の真相が逆に見えてしまうのだが、

今回の事件はこの事を踏まえていかなければ

理解する事ができないだけに事件の真相は

20年前のレイプ事件にある事をあえて書く事になる。

その事件によって産まれた春はその後周辺の人たちから

自らはレイプ犯の子供という目で見られて育ってきた。

その境遇の中で春は20年以上生きてきた訳だが、

そう考えていくとこの事件が何故起こったのかを理解する事ができる。

逆に言ってしまえば春はこの事件の被害者でもありその逆でもある。

もちろん春のやった事も許される訳じゃない。

果たして春はどうしてこの事件を実行する事を決意したのか?

結末は劇場で観てほしいが、

何時もならこういう事件は許されないと一括してしまうところだが、

この事件は事件として考えていくと

その事件に至った理由という事を考えれば確かに

理解できない事件ではないという事だ。

春のような境遇で産まれて人たちは

この世の中で少例だが存在するだろう。

これを語り出すとどうしても命の尊さに繋がってしまうのだが、

今回のケースでの私の考えは正直中絶を容認する結論になる。

これは私自身の考えとして愛し合う2人という事であり、

合意の上でのケースでないからだ。

これは何度か14才の母やコドモのコドモで触れているけれど、

確かに子供は宝だ。

しかしこのケースで産まれた子供の将来を考えるのなら

やはりこのようなケースになってしまう可能性があるのかもしれないと

考えてしまうものだ。

しかしこの事を受け入れ自分の息子として育てる決意をした

正志の決断は命を尊重した結果でもあり、

妻を愛したからでもあるからの結論なのだと感じる。

そうでなければこのような茨な道となる結論は出せないだろうし、

春もこの世に存在しなかっただろう。

しかしその結論をした事で春はこの世に存在する事になった。

それが春を苦しめる事になるのだが、

この家族はそんな春を本当の家族として育てていった事は

評価しなければならないし、

産まれてきた子供の事を非難する人たちこそ

本当は非難しなければならないのかもしれない。

ただそこまでの心を持つ事ができるのか?

と言われるとその心を持つ事は相当な悟りを悟らない限り

この事件に対する理解を示せない。

もし春が産まれる前にDNA上は父親を裁けたらこのような事件は

起こらなかったと感じてならない。

今裁判員制度が始まった事でもしあなたが

こういうレイプ事件に関わる事になったならあなたならどう裁くか?

と問われるかもしれない。

でも普通に考えてこういう犯人をそのまま世に放つ裁きをする事が

本当に世のためになるのだろうか?

と問えないだろうか?

再び悲劇を起こさないために極刑という結論に至らないだろうか?

よく一般の人たちで裁けないという声を聞くけれど、

その危険を未然に防げる権利を持ちながら

その権利を放棄するのはその身に危険をもたらしてしまわないだろうか?

と私は思う。30人もレイプした犯人を生かす意味は?

そう考えればおのずとこの事件を今なら防ぐ事ができたと感じるし、

少年法の中であろうともこういう事件は

光市事件のように例外として裁かなければならないと感じた事件だった。

総評としてこの事件の経緯というテーマで考えてきたけれど、

この事件はもし世の中で裁く事ができたのなら

春は今以上に泉水や梨江子を救ってあげる事ができたのかもしれない

と思うと本当に悔しい事件だ。

全てを更生の元にある今の制度に対する疑問を投げ掛けたと思うし、

こういう事件は二度と起こってほしくない。

だからこそ今その事件を防ぐ事ができる制度がある今だから

結論は簡潔にそして当たり前の結論に達してほしいと願ってやまない。

春がその運命を世の中に代わって実行しないためにも・・・

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